もう少しこう、もう少しだけで良いんで、CLAMPとProduction I.Gは、作品に対して真剣に向き合っていただけないでしょうか……。
TV版の感想を見て頂いた方はご存じかと思いますが、自分はTV版BLOOD-Cが好きでした。
それに加えてネット上で叩かれていたのも知っていましたから、判官贔屓もあり、感想を書くときは擁護気味になるだろうなと心の隅で考えていました。
が、しかし……。しかし、これは……。
鑑賞後思わず頭を抱えてしまうくらい酷い出来で……。まったく擁護不能です。
最初に良かった点を書いておきます。
冒頭で出てきた古きもの。こいつが柊真奈の父親だとは考えていなかったので素直に驚かされました。
はい、良かったところは以上。 ここからは全て文句になります。
まず、何よりも柊真奈の声優ッ!!
Wikiで見たところ橋本愛というモデルで女優もやっているみたいですが、この人の演技が酷すぎる。
もしかしたら実写の演技は良いのかもしれませんが、少なくとも声優が務まるレベルでは全くない。
どこの間抜けだこいつをキャスティングしたのは!! と鑑賞中何度も思わされました。
下手、下手過ぎる。客を苦痛にさせるくらいの下手さです。
いくら下手でも端役ならまあ良い。
しかし、こんな主人公の次に出番が多いくらいのメインキャラに使って良いような役者じゃないだろうが!
とあまりの苦痛と怒りで震えてきました。
映画を見ていてあれほどの苦痛を受けたことは今までにありません。
次に、ストーリーに対する文句。
この映画、はっきり言ってしまえばまあ「小夜が七原文人と戦い翻弄される」ただそれだけの話です。
小夜の成長もなにもない、本当に無味乾燥な何も心に残らない平坦なストーリー。
で、あれば。そうであれば無印のようなハードボイルドテイストにしてシリアス感を強めるとか、他にもっとやりようがあったでしょう。
何が言いたいかというと、サーラットの連中。あいつら全員いらないだろ。
もう無味乾燥の話に、サーラットのキャピキャピを無理矢理絡めてきて、何もかもが中途半端。
何の為に出したのかさっぱり分からない。
殯蔵人のどんでん変えし(まあこれも後述するように読め読めだったわけですが)をやりたいがため? だとすれば脚本がお粗末と言うしかありません。
そもそもが何で劇場版まで引っ張ったのか理解不能です。
TV版で終わらせられたでしょうあんなもの。
ただひたすら文人が小夜に嫌がらせするだけの話じゃないですか……。
それ自体がTV版から何も変わってないのに、そんな繰り返し以下の話を観ていったい誰が喜ぶの?
七原文人もなにを企んでいるのかと思えばまったくしょうもないし。
何で引っ張ったんだこの程度のことを。
TV版感想で「想像以上に性格が悪いキャラだったので劇場版では惨めにやられて欲しいですが、でも満足げに死ぬ嫌な予感がするなあ」という趣旨のことを書いた覚えがありまして、実際その通り満足げに死んだわけですが、そんなことがどうでも良くなるくらいしょーもなかったです。
ラストの巨大古きものなんて、何の活躍もないまま小夜にあっさり倒されて……。 せめて東京を破壊してまわるくらいしろよ……。テキトーにラスボスを出したという印象しか残りません。
新キャラの文人の部下なんか、ただでさえ思い入れがないのに、崇拝している文人がしょーもないせいで、余計にどうでもいい感じのキャラになってましたよ。
あと、あの昔の中国っぽい変な衣装はなんなん? スーツで良いでしょうスーツで。
私設兵の鬼面からしてそうでしたが、ものすごくダサいんですよね。
あれがただでさえ緊張感のない作品の空気を更に悪くしています。
そして都知事。
扱いきれないならあいつもTV版で死なせとけよ……。
当然小夜との絡みがあるもんだと思ってたわ。
んでもって最大の問題点である殯蔵人。
どんでん返しなんでしょうけどね。もうこの展開をやる為に犠牲になってる部分が多すぎて……。
あれだけの横暴を平気でやってのける七原文人が、何でサーラットと繋がりのある殯蔵人を襲撃しないで放っておいているのか? 殯蔵人はなぜ隠れるでもなくあれだけ手薄な警備の屋敷で平然としているのか?
誰か突っ込めよ!?
バカばっかかこの世界は!
特に小夜。お前は文人がどんだけ乱暴な手段を平気でとるのかよーく知ってるだろ?
何で全く疑問に思わないいいいいいいい……っ。
TV版の時にもおかしな状況、それに対して何も疑問に思わない小夜という構図だったわけですが、あの時は薬と暗示で疑問に思えなくさせられていたわけですよね……? わざわざそんな描写をTV版で入れておいて、劇場版では「ただバカだから疑問に思わなかった」ってどういうことだあああああああああ!!!
スタッフがバカじゃ!!!!
……すみません、書いてて怒りが蘇ってきてしまいました。
映画は金を払っている分、怒りが増しますね。
あと、「殯蔵人」と書いてて思いだしたんですが、TV版では双子か誰かが「こんな変な名字の人ばっかりが集まるわけないじゃーん(笑)」と言っていましたよね……? だったら劇場版ではもっとメジャーな名字のキャラばかり用意するべきじゃないの……?
その程度のことにも頭が回らないの……?
自分達がTV版でキャラにどんな台詞を言わせたかも忘れちゃったの……?
もう何か、スタッフがこの作品に全く真剣でないのが観ていて伝わってきましたね。
それが一番哀しかったです。
監督も無名の人に替わってるし……。
最後に。
この作品でもっとも不快だった点を書いておきます。
TV版での「犬」こと四月一日君尋。
なんだったのこいつ?
小夜が、こいつに、いつ、どのタイミングで、どういう願いを、どういう対価と引き替えに依頼したの?
わざわざ意味ありげに出しておいて、なぜそれを全く描かないの?
なぜ本筋に絡めなかったの?
もうね。ただXXXHOLiCの主人公出したかっただけですか、と。
ふざけんなよCLAMP。いやさProduction I.G 。
まず他シリーズ(BLOOD)に全く無関係のシリーズ(CLAMP)を絡める時点で不愉快……、不愉快です、が。
出すなら出すでせめて出した意味くらいストーリーで表現しろよ……。
CLAMPが関わってるのに、CLAMP作品のキャラを無駄に出したらさ、自己顕示欲の塊かお前はと思われても仕方ないでしょうよ……。
そんなことすら分からないの……。
もうやだ。だいぶキツい言葉や汚い言葉を使いましたが、もう、嫌です本当に。
TV版感想を長々と書いて、わくわくしながら映画館に行った自分が馬鹿みたいですね。
もう少しこう、もう少しだけで良いんで、CLAMPとProduction I.Gは、作品に対して真剣に向き合っていただけないでしょうか……。