BLOOD-C 第12話 「わすれじの」
TV版最終話。
面白かった。劇場版が楽しみです。
【朱食免】
結局この漢字が正解という認識で良いんだろうか。
朱食免とは政府の極秘文書の名。
「国が手に入れた」という言い回しだったので、国が一方的に発行したわけじゃなく、どちらかといえば古きものと約定を結ぶことが出来た結果、得られたという種類のものであるようです。
古きものと、食う人間の「限度」を決める「約定」を結んだのはずっと昔のことで、それ以来時の政権が変わっても、朱食免は代々伝えられてきたのでしょう。
その朱食免を使って古きものの力を手に入れられないかと文人に持ちかけた人物なり勢力なりがあり、彼らの要望に従って、文人は今回の行動に出たそうです。
【七原文人】
小夜の血は古きものを使役する力がある。
そして、文人がどっかのお偉いさんから持ちかけられたのは「古きものの力を手にすること」。
あれ? じゃあ、小夜を確保出来た段階で目的は果たせてないか?
となると、この大がかりな「実験」は丸々文人の趣味ってことなの?
あるいは、古きものの力がどれほどのものか試す「実験」でもあったのかもしれませんが。
どの程度、古きものが操られるかも実際にやってみないといけないですしね。
さて、この文人という男、一体何者なんでしょうね。
私設兵を持ち、どっかのお偉いさんから依頼を受け、そして過去の犯罪を揉み消したり、東京都知事さえ自分の力で選べる。
あまつさえ、町一つを実験場にし、そこのキャストを簡単に虐殺してのける。
独裁者か。
この世界の日本はどんな国になってるんだよ。
小夜について「日本政府や米軍が隠しておきたいのも分かる」みたいなことを言っていましたから、政府の人間というわけではないようですが。
劇場版はこいつを倒す話なんでしょうね。
思ってた以上に性格が悪かったので、是非とも劇場版では惨めにやられて頂いてスッキリしたいのですが、キャラ的にそうならないような嫌な予感もします。満足げに死んでいくパターンとか。
彼の言う「作りたいものと確かめたいもの」も不明のままですので、これが劇場版での文人の目的として出てくるのでしょう。
【実験】
人は根本的な部分から変わるのかどうか。
てっきり小夜は「変わりたい」と望んでいて、人間として生きたがっているのかと思っていましたが、逆でしたね。
彼女は自分は変わらないと答え、文人は変わればいいと思った。
だから、小夜が元に戻ろうとする度に、暗示と(薬入りの?)コーヒーを与えていたわけか。
ということは、この賭けは文人の負け?
小夜に褒美も与えていないですし、敗者としての罰も受けていないですが。
小夜が勝った場合の「人間を殺せるようにする」という褒美は彼女が望んだものなんでしょうか。それとも文人が勝手に決めたのか。
文人が勝った場合のことを言いかけたまま止まっていたので、それも劇場版に関わってきそうです。
【更衣唯芳】
更衣は偽名だそうですけどね。
人と古きものが交わって産まれた存在。いわゆる半妖ってやつ?
文人は小夜の血を飲んで「元に戻った」と言っていましたが、どちらかといえば小夜の言うようにあれは操られて凶暴化しているだけで、今まで小夜に接していた姿や、今際の際の姿が元の唯芳でしょう。
つまり、文人は、いつかは分かりませんが、自分が小夜の血を飲ませて凶暴化していた時の唯芳を「元の唯芳」と言っているわけで、その辺も彼の性格の悪さが垣間見えます。
文人は唯芳に自分の血を与えていたようだったので、2人の間にはそれなりの信頼関係があるのだと思いこんでいたのですが、ただの駒でしたね。
唯芳をちゃんとした部下として見ているかどうかで文人への悪役としての好感度もかなり変わってくるので、これには少し残念に思いました。
どっかの基地みたいなところで小夜を襲った時点で文人に操られていたのかなあ。
しかし、それには小夜の血が必要ですよね。
それとも、文人に自分の意志で協力していたんだろうか。詳細が語られてないのでこの辺は不明。
「初めて会えた己に近いもの」「それは偽りで、だからこそ苦しかった」
きっと半分人間ということで、古きものにも疎まれていたのでしょうね。
そんな偽りの関係に浸っている唯芳を、7話の鎧武者は「愚か」と言ったわけか。
かなり馬鹿にした口調だったので、前々から半妖の唯芳を馬鹿にしていたのかも。
でも、赤目の小夜に瞬殺された鎧武者より、渡り合ってた唯芳の方が強いような。
【小夜】
人ではない存在。しかし人は殺せず、同類の血を糧とする。
この小夜ってBLOOD無印や+と同一人物なのかなあ。
無印では小夜の正体に関してはほとんど語られておらず、+は視聴していないので判断がつきません。
フラッシュバックに無印に出た米軍基地や電車のようなものが映ったのですが、かといってそれで無印と同じ世界観とは言えないですし。
無印の敵だった、人間が異形に変わる翼手も出てこないですしね。
先週はてっきり唯芳がそうなのかと思っていましたが、半分人間の古きものでしたから。
古きものとは別に、翼手も存在するという可能性はありますが、さて。
小夜が人間を食べられないのは、文人ではない何者かの暗示によるもの。
一体誰の暗示でしょうか。
記憶を取り戻した後も、小夜は人間を守ろうとしていましたが、あれは元からの小夜の性分なのか、それともただの暗示の名残なのか。
唯芳を「父様」と呼んだことも含めて、どちらとも取れそうです。
ただ、日本政府や米軍がその存在を隠そうとしていたということは、小夜は彼らの側にいたという可能性はあります。無印の小夜が米国の機関に雇われていたように。
また、鎧武者の台詞から、以前から古きものとも戦っていたようですので、政府のバックアップのもと、古きものを駆除していたということは考えられそうです。
「約定を違えた人共の傀儡よ」と10話の怖い背骨の古きものの台詞は、文人の傀儡という意味ではなく、政府に雇われていた頃の小夜を指していたのかもしれません。
「光の先」の詳細は結局明かされなかったな。
オーラみたいなのを出して機動力が増し、刀の切れ味が良くなっていましたが、無印ではこんな能力は出てきませんでした。
あ、ギモーブは2話で当初思った通り、臓物の感触だそうです。
その後、双子がチューの感触とか言い出したので、小夜と同様に騙されてました。
双子のこの台詞も文人の指示かな。
あと、やはり古きものの血が混ぜられていたそうな。
少量なら小夜の記憶も戻らないってことか。
最後に眼帯をつけていましたが、小夜の回復力をもってしても眼球は戻らないのでしょうかね。
【古きもの】
小夜の血で完全に文人にコントロールされていた様子。
出てくる場所も殺す人間も指定されていたようです。
鎧武者や背骨の台詞からして、発する言葉までは制御されていないようですが。
3話で、唯芳が「八卦に現れない」と言っているにも関わらず、古きものが現れることを知っていたので「何でだ?」とは書いたのですが、さっき感想を読み直すまでに完全に忘れてました。
まあその八卦にしてもテキトーに作られた設定だったわけですが。
パン屋の店主がいなくなったことの説明をつける為に、「八卦に現れない古きものが現れた」と新設定を作ったのでしょう。
そう考えると、パン屋の店主が行方不明になり、その後一日経ってから暗示をかけられた状態でトンネルに向かっていたのも、文人の仕業だったんだな。
3話感想で書いたように、古きものはパン屋に暗示をかけることができたのに、なぜ丸一日も経ってからわざわざ別の場所で食ったんだ? と疑問に思ってはいたんですよね。
しかし、そもそも何でパン屋を行方不明にして、トンネルに向かわせたんだろ。
「古きものに初めて人間が襲われる」というイベントを作るためか?
それでわざわざ「行方不明」ということで小夜にパン屋を印象づけて、最初の犠牲者なので人目につかない場所で襲わせたということかな。
今回の古きものは殺し方がやたらグロかったです。
頭から手が生えてるのも、分身する奴も。
分身する奴は、この実験を終えて、「後始末」する時の為に封印して用意していたんでしょうね。
大きいし、たくさん増えるのでエキストラを片付けるのに便利だと思ったんでしょう。
【犬】
結局こいつは何なんだ。
小夜の願いは「己のままでいたい」というものだったようですが、小夜の記憶を戻したのは先生達なんで、犬はあんまり仕事をしていないような。
まあ、小夜にかけられた暗示について質問することで、解こうとしていたようですけど。
小夜はもう一つ、別の願いを依頼したようです。
その願いとは何かが劇場版で描かれるのでしょう。
しかし、願いを叶えるには対価を払わなければならない。
小夜は2つの願いを依頼したようなので、対価も2つ払っているはずですが、それは果たして何なのか。
もしかして、「人を殺せない」という暗示が対価?
【その他】
先生、双子、時真は……。まあいいや。
双子のどっちかのパンツが思いっきり見えてましたけど、全然嬉しくねえよ。
委員長は、小夜が好きな演技をしているうちに本当に情が移ってしまったようで。
6話で時真を睨んでいたのも、心から気にくわなかったからか。
あれだけ撃たれたのにまだ喋れるもんなのだろうかと、ちょっと気になりました。
メインキャストで唯一生き残った優花は東京都知事になりたいのだとか。
しかも、高校生でないという驚きの事実。一体何歳なんだ。そして劇場版に出てくるのだろうか。
彼女が一番素の性格と演技の性格が違いましたね。
しかし、エキストラ含めたキャストを雇い、彼らを生活させ、必要な建物を造り、壊れたら修復し、そして死体を片付けるのに一体どれだけのコストがかかったんだか。
どんだけ金持ってるんだ文人は。ある程度、政府の支援もあったのかもしれませんが。
【劇場版】
2012年6月公開。
自分が心配することでもないですが、果たして大丈夫なんだろうか、この映画。
とてもTV版が一般受けしたとは思えない。
劇場版以前に、BD・DVDの売り上げがどれほどのものか考えると。
自分は感想に書いてきたとおり結構面白く見ていましたし、映画も見に行くつもりですけどね。
大コケの予感。
いや、そう多くの感想見ていないから勝手に人気がないと決めつけているだけで、もしかしたらヒットしているのかもしれません。
【総括】
うむ、1話、特に2話はテンポの悪さにイライラしましたし、面白く感じるようになった3話以降もスロースターター過ぎないかと思ったものですが、全体的にほどよく伏線を張って、展開を色々想像できる作りになっており、実に楽しめました。
2011年夏アニメで一番好きな作品です。
予想に関しては当たっていた部分もあり、外れてる部分もあり、誤解していた部分もありですが、まあ、予想することそれ自体が楽しいですからね。
何とも思い切った作りの作品でしたが、面白く視聴させていただきました。
スタッフの皆さんお疲れ様です。劇場版を楽しみにしています。