>「フリッツ王を刺激せぬよう壁内に侵入」とは何だったのか
これは21巻の話ではあるが、フクロウによるとマーレ政府は壁の王を刺激せぬように「マーレの戦士」達を派兵したらしい。
しかし、ライナーやベルトルト達はウォール・マリアの扉を破壊し、無垢の巨人を引き入れることで大勢の民を虐殺した。
この行動の意図は未だ作中で説明されていないが、おそらく、もしフリッツ王がウォール・マリア内に潜んでいれば、無垢の巨人に食わせることで適当なエルディア人に「始祖の巨人」の能力を移すことができるし、そうでなくても巨人化能力を発動させて居場所を特定できるかもしれない、という狙いがあったのだろう。
もっとも、普通に考えればフリッツ王が一番危険な地域にいるとは考えにくいので、マーレ側としてもさほど戦果に期待していたわけではなく、「万が一、王がいれば儲けもの」程度の作戦だったとは思う。
加えて、ウォール・マリアに人が居住できなくなれば、残された民は内側に避難することになるはずだから、潜入した戦士達が少しでも壁の王へと近づくためという目的もありそうだ
ただ、これは果たして「フリッツ王を刺激せぬよう」の範疇に入るのだろうか?
145代目のフリッツ王が「不戦の誓い」を立てていることはマーレ側は把握していないはずなのだから、国土を奪われたことに怒り狂い、壁の巨人を解放する恐れも考慮したはずだ。
にも関わらず、あれ程の強硬手段に出た理由は何だったのだろう。
そんな大博打を打たねばなぬほど、マーレは追い詰められているのだろうか。
>兵団が犠牲にするのはヒストリアではなくアルミンなのでは?
王家以外の人間が「始祖の巨人」の力を扱う方法は「王家の血を引く者を巨人にして接触する」ことではないかと推測したエレン。
しかし、このことを兵団が知れば、彼らはヒストリアを犠牲にするのではないかと危惧し、誰にも話せずにいた。
だが、ちょっと待ってほしい。
兵団が犠牲にするとしたら、ヒストリアではなくアルミンではないだろうか。
ヒストリアを巨人にするとしても、別に彼女を「無垢の巨人」にする必要はない。
現在兵団が「保有」する超大型巨人を継承させ、意志ある巨人にすれば良いだけなのだから。
兵団としても、国家をまとめる求心力であるヒストリアを失いたくはないはずだ。
彼女を超大型巨人にすればエレンの推測も試せるし、引き続き女王として振る舞わせることもできる。
アルミンとヒストリア、どちらの方が兵団、ひいては国家にとって価値ある存在かは言うまでもない。
もし、兵団がエレンの推測の内容を知れば、ヒストリアにアルミンを食わせようとする可能性の方が高いはずだ。
なぜ、エレンはこの可能性を端から排除しているのだろうか?
この選択肢を思い浮かべてしまえば、ヒストリアを犠牲にすることよりも遥かに現実的であるため、「アルミンと全エルディア人の命を天秤にかける」ことを強いられるため、無意識のうちに考えないようにしているのかもしれない。
私はエレン×ヒストリア推しなので、巨人となったエレンとヒストリアが手を繋ぎながら戦う某ダブルアーツ展開に期待したいところだ。
>九つの巨人の名
巨人の特性は継承されるものだったのか。
ユミルの巨人の外見が、継承者を食べる前から変わらなかったことから、てっきり他の巨人も最初に打たれた脊髄液の種類で得た能力なのかと思っていた。
ジークはライナーの巨人のことを「鎧」と呼んでいたし、ベルトルトの超大型巨人も継承された固有能力ということになりそうだ。
となると、アルミンも超大型巨人になる可能性が高いかな。
ユミルが継承した巨人はおそらく「敏捷性」に優れた巨人だったのだろう。
超大型や鎧のように能力が外見的特徴に現れるタイプではなかったのだと考えられる。
>ユミル
そのユミルだが、今回の回想ではいまいちどういう境遇にあったのか分からないな。
エルディア人であることを示す腕章をつけていないようだけど、マーレの収容区以外の住人だったのか、それとも腕章の制度ができる前の話なのか。
ユミルの教団を制圧した当局者の制服もマーレ治安当局とは違うから、別の国という可能性の方が高そうだ。
パラディ島はマーレ以外もエルディア人を流罪にする場所として使用しているのかもしれない。
>ループ?
進撃の巨人には昔からループ説がつきまとう。
これは1話でミカサのような女性が「行ってらっしゃい、エレン」と言ったことに起因する。
エレン・クルーガーが当時はまだこの世に存在しなかったミカサとアルミンの名前を口に出したことから、このループ説は強まったようにも見える。
だが、もう一つの可能性として、クルーガーが得たミカサとアルミンの記憶は、ループ前の歴史のものではなく、「グリシャやエレンの未来の記憶」ということも考えられる。
座標を通るユミルの民の記憶は、空間だけではなく、時として時間も超えて流れ込むのかもしれない。
「エレン」という名がクルーガー由来のものだと判明したことで、1話で描かれた「いってらっしゃい、エレン」という記憶も、エレン・クルーガーのものだという可能性も生まれた。
>このオジサンは誰?
グリシャの両親とともにジークに寄り添っていたこの人は誰なんだろう……。
グリシャの過去の話に二度ほど登場したこの人物なのだろうか。
だとすれば単に近所の優しいオジサンというだけで、大した意味はないのかな。
>議会
これは22巻の内容とはもはや全く関係ないのだが、最近気づいたので書いておく。
壁内国家の最高意思決定機関として権力を握っていた「議会」。
この四人のうち「貴族」、「兵団」、「民の代弁者」は政変後に失脚し、収容所に送り込まれた。
しかし、ウォール教のトップと思しき人物だけは、なぜか兵政権の最高幹部に加わっている。
なぜ、この人物だけは失脚を免れたのだろう。
何らかの取引が行われたのだとは推察できるが、具体的な内容が気になるところだ。
考えられるとすれば、この人物がウォール教に絶大な影響力を保持しており、下手に失脚させれば狂信的なウォール教徒達を制御できなくなる、といったところかな。
何にしろ、クーデターで倒された体制側の人間でも扱いに差があるという描写によって、世界観に深みを出している。
こういうことをさり気なくやってくるのが、進撃の巨人という作品の凄さだろう。