ネオ天草のジャンプ感想日記

ジャンプ感想を主に書いています。

センリツとカチョウ王子(偽)はいずれ敵対する【HUNTER×HUNTER 第402話】

 カチョウ王子は死んだ、もういない。

※以下、402話までのネタバレ注意

【まがい物】

 本物のカチョウ王子は既に死亡しており、現在センリツ達と行動を共にしている「カチョウ王子」は、彼女の守護霊獣が姿かたちや言動を模しただけの「まがい物」である。

 そして守護霊獣である以上、特定の本能(ルール)の支配下にある。
 即ち、この「まがい物」はカチョウ王子の言動を模倣してはいるが、その性格・思考は本物と全く同じではない。
 いや、むしろ、偽ているのは表面上だけで、根底から全くの別物だと言っていいだろう。

 

【好戦的】

 本物とまがい物の差が如実に表れたのがこの場面である。

 本物のカチョウ王子も確かに、モスキート音を出すオモチャを用意するなど、彼女なりに生き延びる為の手段は講じていた。
 しかし、結局のところセンリツが声をかけるまでカチョウ王子は何も有効的な手段は打てておらず、「護衛や侍従がいざという時に妹を優先するよう/自分が死んでも妹が悲しまないように、わざと嫌われる」という非常に消極的な行動を取るだけだった。
 護衛のハンターを自身や妹の味方につける努力さえしていない。

 年相応に憶病で、争いを好まないカチョウ王子の性格が伺える。

 ところが、↑のカチョウ王子(偽)の言動は、生前とは打って変わって非常に好戦的である。
 現状、船からは逃げることが出来ないとしても、他に継承戦から離脱する手段を検討しようともせず、いきなり「他の王子を皆殺しにして、フウゲツ王子を王にするしかない」という結論にまで飛躍している。

 明らかにカチョウ王子らしくない振る舞いだ。

 

【守護霊獣は殺し合いを望む】

 このことからも、現在の「カチョウ王子」はあくまで守護霊獣に過ぎないことが伺い知れる。

 ハルケンブルグ王子の時もそうだったが、壺虫卵の儀の念獣たちは宿主の性格の影響は受けているものの、継承戦による殺し合いを拒む宿主の想いを拒み、むしろ戦いに参加させようとする。

 守護霊獣であるカチョウ王子(偽)もまた、フウゲツ王子を積極的に巻き込んで、到底勝ち目の薄い上位王子たちと殺し合いをさせようと扇動しているわけである。

 フウゲツ王子の呪いの元がルズールス王子と当たりを付けた途端に、即決で腹違いの兄を謀殺することを決めたのも、守護霊獣の本能によるものだろう。

 妹に生きて欲しいと願ったあの優しいカチョウ王子は、もうどこにもいないのである。

 

【対立】

 今週のラストで語られているように、センリツは他の王子たちを犠牲にする気など全く無い。
 これは、カチョウ王子(偽)のフウゲツ王子を王にする計画とは真っ向から反するものだ。
 つまり、センリツはカチョウ王子(偽)を騙しているということになる。

 一見すると、カチョウ王子を死なせてしまった罪悪感から、疑いもせずに(あるいは、気付いていないフリをして)「まがい物」に協力してしまっているようにも見えるが、内心では既に「これ」が本物のカチョウ王子とは全く別の存在だと看破して、本当の意味でフウゲツ王子を守る為に協力するフリをしているだけなのだろう。

 フウゲツ王子(偽)の語るルズールス王子暗殺計画を聞いている際の沈黙に、その真意が滲み出ている。

 とはいえ、現状ではセンリツ達にも継承戦から王子たちを逃がす方策を持っていない。
 参戦へと誘導してくるとはいえ、フウゲツ王子の守護者であることに間違いはない偽カチョウとは、当面協力関係を維持する必要がある。

 だが、もし今後クラピカ達が継承戦から王子たちを離脱させる方法を見つけた際には、カチョウ王子(偽)はむしろフウゲツ王子を危険に晒す最大の敵として、センリツの前に立ちはだかることになるだろう。