いったい
これは
なんだったんだ……
『推しの子』が最終回を迎えた。
真犯人がどうこうの話を始めた頃から完全に興味を喪失していたので、その最終話の内容自体はどうでもいい。
かつて私は『推しの子』を愛していた。
始まった当初は生理的な嫌悪感しか抱けず、まともに読んでもいなかったのだが、テラスハウス編を過ぎた辺り、おそらく2.5舞台編の頃(当時の自分の感想を漁る気力も無いので、具体的には思い出せない)にはドハマりしており、神漫画だと讃えていた記憶がある。
新生B小町のアイドルサクセスストーリーを描くルビーパート、アイ殺しの真犯人を探る復讐譚としてのアクアパート、そこに有馬かなや黒川あかねとのラブコメレースを絡めつつ、芸能界の舞台裏を描き出す贅沢なストーリーには毎週ワクワクさせられた。
20年代前後に始まった漫画の中では圧倒的にトップ、この世代を代表する漫画になると、そう信じていた。
一体どこから間違えた? とは問わない。
この漫画の失敗の起点は明確だ。
即ち、ルビーを闇堕ちさせたこと。
そこに尽きる。
あの話から急転直下にクソ漫画と化した。
これまで積み上げてきたものを、台無しにしたからだ。
『推しの子』の面白さを支える車輪の一つであるB小町のサクセスストーリー。
ルビーが闇堕ちして以降、なんとなんと、そこからアイドルとして売れていく姿が「ダイジェスト」で流されたのである。
バカなのか?
新生B小町の為に有名作曲家が曲を書きおろし、そのMVを撮影。
ネット止まりだった彼女達が、まさにここからスターの座を駆け上っていくその大トロの部分を、「闇堕ちルビー」が頑張りましたで全部ドブに捨てた。
こう書きながらまたフツフツと怒りが蘇ってきている。
一体全体どういうつもりだったのだろうか。
いや、ある程度は解る。
ダイジェスト風味にしてしまった理由の一つは、「地下アイドルがテレビスターとして売れていく話を描くのがしんどかったから」なのだろう。
おそらくは、アイドルに関する知識もあまり持たないで描き始めたから、「YouTubeでバズる方法」くらいまでは何とか調べて描き切ったものの、そこから先が完全にネタ切れ、スケールの桁が違うだけに「ネットで売れた人達」を取材するのとは次元の違う困難さが見えてしまったに違いない。
にしても酷すぎるだろ、あのダイジェストは!!
曲がりなりにも大ヒット作の実績を持つ漫画家なんだから、もう少し頑張れば何とかできたんじゃないの……。
結局のところ、「奇を衒った展開」という名の楽な方に流れていっただけにしか思えない。
すべてを擲った成れの果てのゴンを見た時のビスケはきっとこんな感覚だったのだろう。
選ばれし漫画だった!
……まあ、もうどうでもいい。
今はただ悲しい……
悲しい……悲しい……
悲しい……悲しい……悲しい……悲しい……
悲しい……悲しい……
悲しい……悲しい……悲しい……