ヒストリアが孕んだ子供はエレンだと確定したのに、それを理解していない読者が少々いるようなので、全ての疑問に答えました。
- 【何を捨てるか】
- 【世界一の悪い子】
- 【ミカサの「理想」】
- 【エレンが見せた幻影説】
- 【平行世界説】
- 【結論】
- 【いってらっしゃい、エレン】
- 【ミカサはそんなことしない】
- 【エレンだってしない】
- 【始祖ユミルの未練】
- 【エレヒスに関するよくある誤解】
- 【世界滅亡はヒストリアの為】
- 【ヒストリアはエレンを受け入れた】
- 【ヒストリアが孕んだのはエレンの子】
- 【NTRやんけー!】
- 【フリーダの人格】
- 【天気の子】
- 【転移】
- 【無垢の巨人】
- 【まとめ】
- 【その他】
- 【元ネタ】
【何を捨てるか】
そうなのよね。
ミカサは「最終的には諦められる」側の人間なんですよね。
エレンと違って。
今さらながらフロックの言葉が効いてくる。
ここの分析も的確過ぎてな……。
エレンは大事なものが捨てられない。
絶対に諦めない。
だからヒストリアとその子供の巨人化が前提となる、「限定的な地鳴らしを見せて抑止力とし、技術が追い付くまでの時間を稼ぐ」という『穏健な』方法を決して受け入れられず、壁外人類の滅亡にまで走ったわけだ。
合理的であるが故に壁外人類を滅亡させても平気なフロックと、大事なものを決して捨てられず、合理的な判断ができないエレンが、価値観の絶妙な相違の妙で協力し合うことになったのが面白い。
ミカサはヤンデレっぽい描かれ方も多かったキャラだけど、エレンなんかよりもよっぽど良識人なんだよね。
彼女が世界より自分を選ぶことは無いと悟ったからこそ、エレンはミカサに何も打ち明けず、遠ざける事で守ろうとしたのだろう。
「家族」として。
【世界一の悪い子】
一方、ヒストリアはエレンから全てを打ち明けられて、それでも彼を受け入れた。
壁外人類全ての命よりも、エレンのことを選んだわけである。
例えもう二度と、胸を張って生きられなくなっても。
そしてエレンの方も、「世界一悪い子」として自分を救ってくれたヒストリアなら、今度もまた「私は人類の敵だけど、エレンの味方」と言ってくれるはずだと信じて打ち明けたわけだ。
彼はヒストリアの為に世界を滅ぼしてる訳であるが、それと同時に彼女に甘えてもいるのよね。
ヒストリアは、ユミルが遺した願いに背を向けて、二度と胸を張って生きられなくなってでも、「ヒストリアを犠牲にしたくない」というエレンの『我が儘』を受け入れることを決めた。
ある意味このシーンは、ヒストリアを巡るユミルとの「競争」に、エレンが勝利した場面とも言えるだろう。
褒められて死ぬことだけが望みだったクリスタの仮面を脱ぎ、ユミルの提示した胸を張って生きるという生き方すら捨て、ただエレンの想いに応える道を選んだ。
愛だよね~。愛と呼ぶしかないわよね~。
【ミカサの「理想」】
第138話で描かれたエレンとミカサの逃避行について、私は彼女の妄想だと解釈したわけだが、一方でエレミカ派を中心に、これを「現実の出来事」ないし、「エレンの意志が反映されている」と受け止めた読者もいるようだ。
もっと言うと、それらの解釈を通して、「エレンがミサカに恋愛感情を抱いている」と思いたがっている読者がいる。
だが、これは考え難いと言わざるを得ないだろう。
そもそもの話、マガポケで公開されているネームにおいて、諌山先生自身が「ミカサの理想」と書いている。
「現実」ではない。「理想」なのだ。
もっと言えば、エレミカ派の人たち自体、言ってることがバラバラで、統一されていない。
ここでは、私がTwitterでよく見かけた2つの説に反論していこう。
【エレンが見せた幻影説】
一つ目は、始祖の力を使ってエレンがミカサに干渉し、幻影を見せたという説だ。
根拠として挙げられているのが、エレンの顔に浮かんだ巨人化の痕である。
巨人の力の痕跡をわざわざ描いているのだから、あれは単なるミカサの妄想の世界ではなく、エレンが見せたもので、彼の本当の望みに違いない、というわけだ。
たしかに、ミカサはなぜかエレンの本体が巨人の口の中にあることを看破していた。
彼と何らかの精神感応が起きて、それにより居場所を察知できたと考えるのが自然だろう。
が、そこまでである。
既に述べたように、これはあくまでも「ミカサの理想」なのだ。
である以上、エレンに付与されたのではなく、ミカサ自身が作り出した幻影ということになる。
あるいは、エレンがミカサを戦意喪失させる為に、彼女の心を読んで「理想」を汲み取り、それを再現してみせたのだろうか?
いや、これも考え難い。
エレンは仲間達の自由意志を尊重すると宣言した。今さらミカサの戦意を奪おうと画策したとは思えない。
また、もしエレンが干渉して「ミカサの理想」の幻覚を見せたと仮定しても、そこで証明されるのはあくまでも「ミカサがエレンに恋愛感情を抱いていること」だけだ。
エレンがミカサに恋愛感情を抱いている根拠にはなり得ないのである。
【平行世界説】
もう一つ、よく見かけるのがこの平行世界説だ。
即ち、あれは平行世界、あるいは「起こり得た別の歴史」であり、それをミカサが垣間見たという主張である。
はっきり言って、こちらはあまり論ずる価値を見出せない。
上記の【エレンが見せた幻影説】に比べても、あまりにも根拠薄弱だからだ。
今まで影も形も無かった平行世界の設定を持ってくるなど、さすがに強引に過ぎる。
彼らの中には「ミカサの頭痛は平行世界を覗いている時に発生していたのだ!」などと述べる者もいたけれど、だとしたら、これまでの頭痛の際に平行世界の描写があってしかるべきだろう。
「本編での実態と食い違う表紙は実は平行世界を描いたものだったのだ!」といった主張もあるようだが、表紙に本編通りの場面ではないイメージ図が描かれることなど、他の漫画でもごまんとあるし、本編で一切描写の無いものを表紙とこじつけるのは、それはもう「考察」とは言わない。
単なる「妄言」である。
第一、何度も言うように、あれは「ミカサの理想」なのだ。
平行世界で実際に起きた出来事を「理想」などと書かないだろう。
そもそもの話、1万歩譲ってあれが平行世界だったとしよう。
「だから何なの?」という話にしかならない。
平行世界説を唱えるエレミカ派はそれを「エレンがミカサに恋愛感情を抱いていた」根拠としているが、平行世界は実際の世界と別の歴史を歩んでいるわけだ。
言うまでもなく、本編のエレンと平行世界のエレンも同一人物でありながら、別の人生を歩んでいる。
仮に平行世界のエレンがミカサのことを好きだったとしても、我々の知るエレンも同じだとは全く限らないのである。
以上の通り、ミカサが見たのが平行世界である可能性は極めて低い上に、エレンがミカサを好きだという根拠にはもっとなり得ない。
【結論】
ということで、結論。
「ミカサの理想」はあくまでも、ミカサ自身が思い浮かべた想像上の映像と考えるのが自然だ。
いわば、ジャンが全てから耳を塞いで、救国の英雄としての贅沢な暮らしを夢想したように。
そこに、エレンが(意識的にか無意識にかは分からないが)干渉し、「マフラーを捨ててくれ」「俺のことを忘れてくれ」と伝えたのだろう。
前半のミカサとのやり取りとは違ってこちらは現実の出来事と連関している上に、エレンに巨人化の痕が浮かんできたのがこの辺りだからである。
巨人化の痕が「エレンが干渉した証拠」なのだとすれば、普通に考えて、その痕がエレンに出てきたところが干渉の開始時点だと見るべきだろう。
【いってらっしゃい、エレン】
では、1話でエレンが見た夢の中で、今回のミカサが言った「いってらっしゃい、エレン」という言葉が聞こえたのはなぜだろうか。
私はこれを「未来の記憶が混線し、座標を通してミカサが未来で語った声が聞こえた」と解釈している。
つまり、「いってらっしゃい、エレン」という言葉はミカサが脳内で呟いたものではなく、生首エレンに口付けする直前に、実際に呟いたわけだ。
読者の中には「エレンは1話で今回描かれた『ミカサの理想』の映像そのものを見たのだ」と解釈した人間も多いようだが、ここで注目して欲しいのは、1話の夢のミカサは、顔の傷跡が存在しない点である。
一方で、現実のミカサはもちろん、『理想』の中の彼女の顔にも傷跡がある。
これは即ち、1話でエレンが夢の中で見ていたのは、未来の映像でもなければ、『ミカサの理想』の映像などでもないことを意味する。
おそらくは、実際にミカサが口に出して呟いた「いってらっしゃい、エレン」という声のみが座標を通してエレンに届き、眠りの中でその声を聞いた彼は「傷を負う前の、当時の幼いミカサの姿」を夢の中で思い浮かべた、ということなのだろう。
【ミカサはそんなことしない】
さて、上記のような「『ミカサの理想』は現実などではなく単なる彼女の妄想である」とツイッター上に書いたところ、「ミカサを侮辱してる!」なるお言葉を、陰に陽に頂戴する羽目になった。
しかし、それは話が逆で、むしろ私は「ミカサは仲間を見殺しにしてエレンとの余生を選ぶような女ではない」と、正しく評価しているからこそ、妄想だと断定しているのである。
現実からの逃避、目前に見える「正しさ」から目を逸らした一時の夢として胸に描きはする。
けれど、ジャンもミカサも、全てを見捨てて自分だけの幸せを享受できるような人間ではもう無い。
これまで進撃の巨人を読んで来た読者なら、そんな事は解るはずだ。
『ミカサの理想』を「現実にあり得たもの」だと強弁するのは、彼女がエレンとの短い平穏を得る為に、仲間も、アルミンすらも見殺しにする道を実際に選ぶような女だと言っているも同然である。
ミカサを侮辱しているのは、一体どちらであろうか。
第一、エレンとの平穏を手にするチャンスは地鳴らし発動後にだってあった。
虐殺を実行してしまった以上、単にそれを静観すれば良かっただけだ。
そうすれば、エレンは生き残るし、パラディ島の仲間だって犠牲にしなくても済む。
それが出来ない人間だからこそ、ここまでミカサは仲間と共にエレンを必死で止めようとしたし、自らの手で彼を殺すことを選んだわけだ。
壁外の見知らぬ他人を守るために、一番大切な人間を手に掛けられる女が、仲間が虐殺されるのを分かっていながら、エレンと自分の平穏の為だけに逃亡する、と?
は?
【エレンだってしない】
それはエレンも同じことだ。
仮に彼がミカサのことを好きだったと仮定しよう。
同胞を守るために壁外人類を皆殺しにしようとすらしたエレンが、何もかもを捨てて逃げ出す訳がないだろう。
見捨ててきたアルミンやヒストリアや仲間達はもちろん、マーレが攻めてきたら一緒に逃げたミカサだって死ぬ恐れが強いのだ。
そんな自分の短い余生だけ穏やかであれば良いなどと考える人間に、壁外人類の皆殺しなどという決断が出来るはずがない。
「平行世界」とやらではどうだか知らないが、本編時間軸のエレンとミカサは、あの妄想の中のような選択をすることは決してないと、これだけは断言できる。
【始祖ユミルの未練】
なるほどねえ。
始祖ユミルが結婚式を見つめる場面はそういう意味だったわけか。
ジークには解らず、エレンには理解できた始祖ユミルの求めたもの。
最期まで酷薄な態度を取り続けた夫の命令に従い、2000年もの間ひたすら巨人を造り続けながらもこの世に留まり続けた理由。
言うまでもなく「男女の愛」である。
具体的に何をすればこの悪霊が成仏するのかは分からないが、ミカサがエレンにキスする場面を見てニッコリしていることからすると、自分を解放すると言ってくれたエレンに自身を投影し、彼を取り巻く恋模様を眺める算段なのかもしれない。
それにしても、まさかこの漫画がこんなにガッツリと恋愛の話で幕引きとなるとは、読み始めた頃には想像もできなかったことであるよ。
前に書いたこの記事、奇しくも137話の「始祖ユミルの願いを何故エレンは理解できたか」という話とも関わってきたなあ。
要するにこの漫画、皆が手を取り合って世界を救う王道少年漫画でもあり、壮大なラブストーリーでもあったわけよね。
こうなるとエレヒスの子供にユミルと名付けられるって説が信憑性帯びてきたかなー。
世間的には始祖ユミルがエレンに積極的に協力してたとは知られてないから、エルディア人のイメージ回復運動に悪影響はないし。
【エレヒスに関するよくある誤解】
未だにエレンとヒストリアの関係について間違った認識をしてる人達をよく見かけるので、この際それをまとめて確認しておこうと思う。
【世界滅亡はヒストリアの為】
「エレンが世界滅亡に打って出たのはヒストリアの為である」と言うと、「そんなはずがない! エレンはあくまで島全体の為にやってるだけだ!」といった反発を食らうことがよくある。
無論、彼がエルディア王国の為に大量虐殺を遂行しているのは間違いない。
しかしながら、島を救うだけなら、壁外人類を皆殺しになどする必要はないのである。
憲兵団の案に乗り、ヒストリアにジークを食わせて、限定的地鳴らしを発動、その後は抑止力とすればいい。
なぜエレンがそうせずに、過激かつ非人道的な手段に打って出たのか。
偏に、ヒストリアを巨人化させるというその選択を受け入れられなかったからである。
壁外人類全ての命とヒストリアを秤にかけ、ヒストリアの方をエレンは選んだのだ。
【ヒストリアはエレンを受け入れた】
これについても未だに理解されていない方を時々見かけるが、ヒストリアはエレンの世界滅亡計画を受け入れている。
おそらくはヒストリアとユミル(そばかす)との絆を重視する層の中には、「ヒストリアが胸を張って生きられなくなる選択をするはずがない!」と主張する方もいるのだが、「どんなことをしてでも止めなければ、もう二度と胸を張って生きられない」と言っていたにも関わらず、エレンが自由の身でいた時点でその可能性は消えている。
【世界一の悪い子】の項で既に述べたように、ヒストリアはもう胸を張って生きる人生を諦め、最後までエレンに寄り添うことを決意したのだ。
【ヒストリアが孕んだのはエレンの子】
んでもって、これももうほぼ確実なのよね。
決定的なのが出産時期のズレである。
ヒストリアは現在出産してるわけだが、リヴァイ兵長によると出産時期は『数ヶ月後』だったはずだ。
つまり、彼女は兵政権に対し、妊娠時期を偽って報告したことになる。
何故そんなことをする必要があったのか?
決まっている。本当の父親を隠す為だ。
兵団はお腹の子の父親として申告された男の身元を洗っている。
当然、いつ頃から、どのような経緯でヒストリアと関係を持ったのかも調査したはずだ。
しかし、ヒストリアが男に声をかけたのは妊娠を確信してから、つまり実際の受精から数ヶ月後、のことだった。
それ故に、兵団側には妊娠時期をズラして伝え、彼がお腹の子の父親だと誤認させたのだ。
【NTRやんけー!】
さて、ここまで理解した反エレヒス派から聞こえて来るのは、「ミカサを裏切ってエレンと子作りなんてしてたらヒストリアが最低の女ってことになっちゃうじゃん!」という反論(?)である。
実際、彼女がミカサのエレンへの想い(家族ではなく異性として見ている)に気付いていたかどうかがそもそも不明なのだが、ここでは気付いていたと仮定しよう。
その場合、ヒストリアはミカサを出し抜いて、己の恋心を優先したんだろうと私は思う。
考えてもみてほしい。
彼女は「お前を犠牲にできない」という一人の男の我が儘に応える為に、壁外人類の滅亡すら容認した「世界一の悪い子」なのである。
友達が好意を抱いてる男だとしても、そりゃあ奪い取るだろう。
「ミカサがエレンのことをずっと好きだった分かっていながら、盗るなんて最低! ヒストリア好きはそれでいいの!?」などと詰る人間もいるが、こっちからすれば、「『悪い子』になった事も含めてエレヒスが好きなんだが?」としか言い様がない。
ヒストリアは「胸を張って生きる」道に背を向け、エレンを受け入れることを決断した。
その瞬間、きっと彼女は身を焦がし続けた昏い誘惑に屈したのだ。
ミカサに遠慮して死ぬまで胸に仕舞うつもりだったエレンへの想いを、とうとう口にだしてしまったのだろう。
って内容のエレヒスSSを書いたので、良かったら読んでみてください。
まあ、そもそもミカサはエレンの恋人でもなんでもないんだから、「盗る」だの「奪う」だのと呼ぶのがおかしいんだけどね。
まだ誰のものでもないエレンに子作りを持ち掛けて、彼もそれを受け入れた。ただ、それだけの話。
と、いう風にヒストリアは何度も自分に言い聞かせたことだろう。
【フリーダの人格】
そうそう、これもよく語られる誤解だから書いておこう。
「エレンがヒストリアを気に掛けるのは、先々代の始祖の継承者であるフリーダの人格の影響を受けているから」という主張が散見される。
が、これも可能性は極めて低いと言っていい。
この主張の根拠となっているのは、エレンがアルミンに言った「お前がアニに好意を持つようになったのはベルトルトの人格が影響してるから」云々という話だが、同じ場でミカサに突き付けた「アッカーマンの習性」が噓八百だった以上、前者の言葉を信じる理由は何もない。
ミカサにしたのと同じく、アルミンに嫌われる為だけのデタラメだったと考えるのが自然だ。
そして、エレンの台詞以外には、「前の継承者の人格に今の継承者が影響される」といった描写は何も無い。
例外が『不戦の契り』であるが、あれは第145代目カール・フリッツ王が始祖の力を使ってわざわざ縛りとして作った仕組みであって、他の継承者に当て嵌められるものではない。
エレンのヒストリアへの感情がフリーダ由来ならいい子にしてろって言うじゃんね 実際には世界一悪い子と言って大量虐殺への加担を要求している…
— 🗝airi👑 (@airi_zatta) February 17, 2021
これも全くその通りであって、フリーダはヒストリアに「いつも他の人を思い遣り、みんなから愛される優しくて女の子らしい子」となることを望んでいた。
それはまさしくエレンが「気持ち悪かった」と言ったクリスタの基となった人格であり、人類の虐殺すら容認する「世界一悪い子」を望むエレンとは真逆なのである。
以上の通り、「エレンのヒストリアへの好意がフリーダの影響」なる説は根拠薄弱な上、肝心のエレンとフリーダの方向性が完全に乖離しているという、お話にもならないヨタ話だと言っていい。
というわけで、ネットに蔓延るデマへの反論は終わり。
【天気の子】
エレンが滅ぼそうとしてるものは、「セカイ」じゃなくて「世界」であり、進撃の巨人は世界をそう描く事に成功している点で所謂セカイ系とは一線を画してる
— なおかん (@foox6741) January 9, 2021
これ見て目から鱗だったけど、言われてみれば進撃の巨人も古き良き「ヒストリアという一人の女を救う為に世界を滅ぼす」話なんだよなあ。
なおかんさんの仰る通り、そこにパラディ島をめぐる国際情勢や、巨人化の民族問題を絡めた事でセカイ系の匂いを消してるのが上手い。
天気の子が主人公の選択による犠牲者を描かず、「逃げ」に走ったのに対して、進撃は直接的な被害を与えてる分だけ、より強烈に選択の重みが描写されている。
【転移】
「ジーク死んだから獣の巨人がヒストリアの子供に移るんじゃないか」と言ってる人が結構いるけど、巨人の力の大元の「大地の悪魔」がここで死ぬだろうから、巨人の力そのものが消失するんじゃないかな。
というか、今後も巨人の力が残るなら、エレンが始祖ユミルに言った「終わりだ」は何だったんだって話だしなあ。
最後のコマが「お前が自由だ」で締められる以上、ヒストリアとその子孫、のみならず全てのユミルの民が、巨人化の運命から解放されて終わると予想してる。
それ以前に、普通に考えて力が転移するのは「今後お腹に宿る」子供であって、今まさに産道から出産されようとしてるヒストリアの子供は該当せんでしょ、と思うけど。
【無垢の巨人】
う、嘘だろ……。
マジでか……ジャン達も殺すのかよ……。
と、初見でこそ驚いたが、冷静になって考えると、今回巨人化させられた連中はまだ死んでないんだよね。
ムカデこと「大地の悪魔」を殺せば、全員が元に戻るんじゃないかな。
巨人の力の源になってるのがアイツだからね。
まー、しかし驚いたねやっぱ。
確かに、前々から違和感はあったんだよなあ。
「共通の敵を前にすれば人類はまとまる」という言説を歯牙にも掛けなかった進撃の巨人という漫画が、何だかこの対エレンの展開になってから、妙にヒロイックな死に様やら、民族を超えた和解が強調されてたのは、これの前フリだったのね。
省略されまくりのマーレ兵とエルフェィア人の和解からの、長官の「ひ……」はさすがに堪えたわ。
【まとめ】
でもって、こっからの展開予想。
まず、上記の通り、ミカサは自分にとって都合の良い妄想を断ち切り、エレンとの別離を決意したわけだ。
となると、もはや残るはエレンとヒストリアの関係だけ。
その上で、未だ現世に蔓延る始祖ユミルとヒストリアの役割を考えてみよう。
全ての巨人を操る始祖ユミルがここから一体何ができるか?
考えられるのは大きく二つ。
・巨人を人間に戻す
・エレンの肉体を修復
これら2つを始祖ユミルが冥途の土産として為した上で、「巨人化能力」の元凶である『大地の悪魔』を殺してしまえば、(惨状を残しての)大団円となるわけである。
途中で『地鳴らし』が阻止されたことから、まだパラディ島が危機にあると誤解している読者を見るが、これも思い違いだ。
地鳴らしの巨人は既に、遠く東に位置するヒィズル国にまで被害は及んでいる。
ヒィズルは友好国であるが故に、エレンが積極的に巨人を向かわせたわけではないはず。
にも関わらず、そこまで到達したということは、世界の文明国のほとんどが既に、地鳴らしによって滅んでいると言っていい。
あくまでも、「壁外の全人類は滅ぼされなかった」だけであり、パラディ島を攻めれるような国力が残存してる国家は残っていないわけだ。
となれば、今後は国力を丸々残しているエルディア王国が、世界の復興を主導していくことになるだろう。
あとはもう周知の通りである。
最終話ではヒストリアとの関係と、ヒストリアの出産、生まれ来る子供に焦点が当たり、僅かな人命を残して、巨人の力と共に滅び去った世界を前に、エレンが我が子に語り掛ける訳だ。
即ち、
「お前は自由だ」
と。
【その他】
・突然出てきた羊の巨人は何なんだと思ったら、あれクサヴァーさんなんかい。
まー、本当はグリシャに愛されていたことを確認できた時点で、ジークの「産まれてこなければ良かった」という反出生への思いは霧散してたろうしね。
・何気ない日常を説かれただけとはいえ、人類を生かす為に協力するというのは当然の道ではある。
・妄想の中ですらエレンにこういう事を言わせるってことは、ミカサもエレンが世界滅亡に繰り出してるのはヒストリアの為だという事実はもう解ってたのね。
・エレンに別れを告げる覚悟ができたのも、その認識が既にあったからこそなんだろう。
・これ、例えば万が一エレンがミカサに逃亡を持ちかけても、彼女は断っただろうね。
・エレンがそうしないどころか、ミカサ自身もまたその選択はできないと自分でも解っている、決して叶うことのない一時の妄想。
・これは嫌みとかじゃなくて、真面目な話、エレヒスENDを予想してたら、「ヒストリアが最終話までまともに出番ないなんて考え難いし、まあこれが正解なんだろうな」と思えるんだけど、逆にエレヒスENDを否定してる読者は、こっから最終話がどうなると考えてるのか謎なんだよね。
・どうにかエレヒス否定で予想するとしたら、「このまま調査兵団同期の仲間の中でヒストリアだけちゃんと出番が無いまま終わる」と考えるしかないんだけど、それで本気で自分の中で納得できてるの……? というシンプルな疑問はあるよね。
・ここだけ見ると始祖ユミルさんは他人の悲恋を見て外野からニヤニヤする愉悦おばさんになってるな。
・ジャン達が人間に復活するとしても、全裸にはなるよね。
・と思ったんだけど、思い返すとユミルこそ全裸だったものの、普通の継承者は人間に戻っても服着てたんだっけ。
・無垢の巨人になっても、初期段階なら服は溶けないのか。