861話の感想で書いたように、サンジとプリンの結婚式に招かれた足長族の女性には、天竜人の奴隷の証である『天駆ける竜の蹄』らしき刺青が見られる。
これまで登場した元奴隷達は、屈辱と苦難の日々の象徴とも言えるその刺青を必死に隠そうとしてきたが、この足長族は多少デザインに手を加えただけで、堂々と衆目に晒している。
なぜ、彼女は『天駆ける竜の蹄』を隠そうともしないのだろうか?
可能性としては、「奴隷であったことを全く恥じていない」ということが考えられる。
一種のストックホルム症候群であり、自分の主人であった天竜人のことを慕っているのかもしれない。
いや、それどころか「元」ではなく「現役」の奴隷という線も否定はできない。
つまり、この足長族の女は主からの信頼を勝ち取った忠実な奴隷頭であり、天竜人の名代としてお茶会に参列したという可能性だ。
ビッグマムが極秘施設であるパンクハザード研究所の設計図という機密中の機密を入手できるほど、世界政府の中枢に浸透していることは既に描かれている。
また、北の海再征服を狙うヴィンスモーク家を排除しようとしていることからも明らかなように、ビッグマムは新世界の外の海を侵して政府と全面抗争する気は無いと考えるべきだろう。
事実、巨人国エルバフを傘下に収めたときに彼女が倒すはずだった組織として挙げたのは他の四皇だけで、世界政府や海軍の名は出てこなかった。
世界政府と関係の深い世界経済新聞社社長のモルガンズとの親密な関係を見ても、表の世界との軋轢を回避しようとするビッグマムの姿勢が伺えるのではないか。
政府に対して影響力を持つために最も手っ取り早い手段は、天竜人とのパイプだということはドフラミンゴが証明している。
設計図の一件を見ても、ビッグマムが政府高官や天竜人と繋がりを持っている可能性は極めて高く、『天駆ける竜の蹄』を刻まれた足長族の存在は実に示唆的であると言えよう。