おれは女の涙を 疑わねェっ!!!!(ドンッ
週刊少年ジャンプ2・3号(2017年) 感想はこちら
※以下、ネタバレ注意
【ONE PIECE】
第850話 一筋の光
>シャーロット・プリンの思惑
なるほど!
一体どうやってプリンがサンジを結婚から解放するつもりなのかとずっと疑問だったのだが、これで納得できた。
彼女は、ビッグマム海賊団とジェルマ66を敵対させ、お互いに潰し合わせるつもりなわけだ。
プリンが一方的に結婚を拒絶したところで、他の姉妹が代わりにサンジの花嫁となるだけ。
かといって、サンジを逃がせば、仮にビッグマムの許しは得られたとしても、ジェルマ66に報復としてゼフ達が殺されてしまう(だから、そもそもサンジは逃げることを了解しない)。
彼女がサンジを結婚から解放する手段というのは、極めて限られているのである。
それゆえ、私などはその手段自体が全く思い浮かばなかったから、離間の計という実にスマートな解決法が提示され、思わず膝を打った程である。
端的に言えば、今週描かれたプリンの黒い姿は、全て演技だと解釈すべきだろう。
だいたいが妙な話なのだ。
プリンが本当に腹黒で、その本性を家族が知っているならなぜヒソヒソと小声でルフィ達に話したのか?
それはあの会話が、オペラやチェス戎兵達に聞かれてはならないものだからに他ならない。
また、ビッグマムやオペラの反応から考えて、シャーロット家が「ルフィ一行とプリンの接触を把握していない」という点も変わらぬままだ。
(参照:【ONE PIECE考察】ビッグマムにルフィ達の情報を漏らした者とは?)
もし、オペラが「プリンは腹黒で、ルフィ達を騙して弄んでいる」という認識なのだとしたら、彼女がルフィを「君」付けで呼んだことを怪訝に思うのはおかしい。
「まだ友人のフリをするつもりなのだな」と解釈するはずであろう。
プリンはオペラ達に麦わらの一味との約束を隠そうとしている。プリンは家族にルフィ達との関わりを話していない。
なぜか? 彼女がルフィ達やサンジを裏切っていないからである。
そして、プリンがルフィとナミに自分が裏切ったと思わせたということは、おそらく彼らのことも逃がす算段をつけたうえで、彼女自身は死を覚悟しているのだと思われる。
ルフィ達がプリンの犠牲を負い目に感じないように、また、彼女を救うためにサンジを解放した後も島に留まったりしないように、敢えて憎まれ役を買って出たのだ。
それは別れを告げる際のプリンの表情を見ても一目瞭然だろう。
ここで偽りの涙を流す意味は無い。オペラは彼女の本性を知っているはずなのだから。
まんまと騙されたルフィとナミが可笑しくて仕方がないという表情でもない。それならば、今週見せているようなもっと凶悪な笑みになるはずだ。
あの涙は、悪女を演じ、ルフィ達を侮辱する中で堪えきれずに溢れてしまったものだと考える他ない。
サンジがヴィオラの目に真実を見たことと重なるのは、単なる偶然ではないだろう。
最も重要なのは、プリンの言葉を聞いてしまったサンジは「プリンのことを疑っていない」という点だ。
彼は女の涙を疑わない。故に、プリンが彼のために流した涙も、「地獄にはさせない」という言葉も疑ってはいない。
一見、最後の希望の光にも裏切られ、地の底に落ちた男のように見えるかもしれないが、事実は逆なのだ。
サンジはレイジュに対するプリンの言葉は演技だとこの時点で看破している。
だとすれば、当然「なぜ彼女はそんな演技をするのか?」ということにサンジが考え至らぬはずがない。
そこまで考えれば答えは一つ。
プリンはサンジをこの結婚から救うために、ジェルマ66を騙し、ビッグマム海賊団と争わせようとしている。
だがそれは、プリン自身の身をも危うくさせる行為だ。
ヴィンスモーク家の怒りの矛先は、ビッグマムに次いで彼女に向かうであろうし、ジェルマに偽情報を流して待望の婚礼とジェルマ66の傘下入りを台無しにしたことがビッグマムに知られれば、娘と言えどもただでは済まない。
サンジのこの表情は絶望ではない。立ち上がる決意である。
自分を救うためにプリンにここまでさせていること知り、サンジが奮起しないはずがないのだから。
(参照:【ONE PIECE考察】いいだろう、プリンちゃんの“白”に花京院の魂も賭けよう)
>ルーレット
やはりというか、ルーレットの数字は寿命だったか。
前回、ペドロが寿命を奪われたことを知った時点では、どっかの中間管理職利根川のごとく「助けるとは言ったが、寿命を奪わないとは言っていない」という詭弁を弄したのだと解釈していたから、若干ビッグマムをセコイと感じていた。
しかし、実際にはビッグマムは最初から奪う寿命の減刑を提示しており、ペドロやペコムズを騙したわけではないことが明かされ、今週の回想で私の中ではビッグマムの格がまた上がった。
タマゴ男爵のために怒りながらも、ペドロの左目を差し出す覚悟を認めているのも好印象だ。
そしてこの描写は、「ビッグマムに麦わらの一味を生かして帰すという約束を守る気が無い」というプリンの言葉が虚偽であることを示唆していると言えよう。
彼女の海賊として筋の通った姿勢をここで見せていること自体が、尾田先生から読者へのヒントなのだと考えられる。
……それにしても、自分で奪ったわけでもないのに「今回は目じゃ済まんぞ!」と啖呵を切るタマゴはちょっと格好悪いな。
【鬼滅の刃】
第43話 地獄へ
あー。
前回の引きでは「はいはい、また鬼の可哀想な過去ね」くらいの冷めた気持ちで、実際回想の内容もかなりベタなものだったのに、不覚にも泣きそうに……。
この作品の空気感がより切なさを増しているんだよなあ。
ところで、しのぶさんが冨岡さんに鬼と人の共存についてしつこく訊いていたのは、やはり悪意からの嫌がらせなのでは。
これ、鬼に拷問の条件を突きつけるのも純粋な感情からではなく、相手が絶対に呑まないと解って追い込んでいる腹黒という可能性が高い気がしてきた。
禰豆子を問答無用で即殺しようとした時点で、「生きるチャンス」を与えるのは特にしのぶの信条という訳ではないことは明らかだしなあ。
本当は人一倍鬼への憎悪が深い人で、炭治郎が鬼を庇う(しのぶ視点で)言動をしていることと、禰豆子が保護されそうなことに苛ついて殺しにかかったと。
もしかすると、胡蝶しのぶは冨岡義勇の対となるキャラなのかもしれない。
「鬼に対して冷酷なように振る舞っているが、実際は情が深く柔軟」
「鬼に対して友好的なように振る舞うが、実際は鬼への憎悪を滾らせ、冷酷に扱う」
うーむ、正直これまで彼女のことを、いけ好かない女だと思っていたのだけれど、今週でガラッと印象が変わったなあ。
個人的には、しのぶさんには是非とも「内心では鬼に対する憎しみを燃やしながらも、顔には笑みを張り付けて、心にも無い鬼との融和を口にする(そして、鬼を憎み切っていない冨岡さんに何かと嫌味を言う)」という方向で期待したい。
彼女は冨岡さんを鬼に甘い所があると認識しているようだから、「人と鬼も仲良くすれば良いのに。そう思いませんか?」と尋ねるのは、冨岡さんに「無理だ」と言わせることで、言外に『では、なぜ貴方は鬼への甘さを捨てきれないの?』という非難を含ませているのでは。
【Canvas(読み切り)】
めちゃくちゃ面白かった。
磯兵衛にはそんなにハマらなかったんだけど、これは最高だったなあ。
絵で笑わせることにかけては仲間先生は天才ではなかろうか。
【火ノ丸相撲】
第126番 人に優しく、己に……
累の過去と同様、ドストレートで、特に捻りの無い話ではあるんだけど、それだけに王道というか。
久々にこの漫画でグッと来た。演出力の勝利かな。
【青春兵器ナンバーワン】
第10話 試験
やっぱりアンヌが出てきて一気に面白くなったなあ。
惜しい、これが短期打ち切りというのはあまりにも惜しい。どうにかならんものか。
【デモンズプラン】
腕にしか鎧が無いように見える(いや、実際腕にしか着いてないのか?)のに、銃弾で掠り傷しか負わないとか、爆風で無事とかハッタリとしても駄目だと思うんですが。
【トマトイプーのリコピン(読み切り)】
Canvasが素晴らしかったのに対して、こっちはうーん……、みたいな。
まず、可愛らしいキャラが毒を吐いたり生々しいことを言うというネタ自体がだいぶ手垢が付いちゃってるからなあ。
そのうえで、一つ一つのネタが面白いかと言えばそうでもないし。
ギャグを詰め込み過ぎていて読んでいて気疲れしてしまう。もう少し、間を意識して欲しかった。
あと、時事ネタや芸能ネタがやたら多いのもマイナス。
読者がその情報を知らないと面白さが伝わらないギャグってのは多用すべきじゃないだろう。
【はるよ、こい】
これは酷い。
エロ漫画のテンプレみたいな捻りゼロの話を読まされた挙句、合併号でぶつ切りとか。
作品の内容がどうこう以前に、企画した編集者に問題がある。
【左門くんはサモナー】
わざわざ見開き使う程の内容か、これ……?
歌詞も面白くないし、演奏している四人の絵に笑いどころがあるのかと思ったらそれも無い。
なんか中途半端な話だったなあ。
ちょっと格好良くライブのシーンを描こうとしてだだ滑りするという悲惨な内容。
【歪のアマルガム】
>「俺には心配も不安もねェ。頭ん中の電流ヒートしちまってるからなァ!」
>「今、俺の頭ん中にあんのはァァ俺の不安の種になるテメェのその強さ!!」
不安あるじゃねーか。