ネオ天草のジャンプ感想日記

ジャンプ感想を主に書いています。

【ONE PIECE考察】いいだろう、プリンちゃんの“白”に花京院の魂も賭けよう

 おれは女の涙を、疑わねェっ!!!!(本日二度目)
白の目に

週刊少年ジャンプ4・5号(2017年)感想はこちら

※以下、ネタバレ注意

 第850話を読み、おそらく先走った一部読者の皆様は「何だ、やっぱりシャーロット・プリンは腹黒じゃないか」という感想を抱いたことだろう。

 だが、ちょっと待ってほしい。
 この場面だけを見て、本当にプリンが黒だと判断して良いのだろうか?

 結論から書けば、今回のプリンの腹黒い振る舞いは全て演技である可能性が極めて高い。

 では、なぜ彼女を白だと思うのか? その根拠を列記していこう。

根拠1.タマゴ男爵や侍女達に動きを妨害されている
 週刊少年ジャンプ49号 感想で書いた通り、このときのプリンの表情は明らかに演技ではないし、また、そもそもこの場面で演技をする意味がない。
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 「ブルックとペドロが覗いているのを知っていて、演技をしている」というのはあり得ない。
 それならば、ブルック達が宝物庫に近づくまで全く捕捉されていないのはおかしいからだ。

 「プリンの本性は家族しか知らないのだから、タマゴ男爵が事情を知らずに妨害してしまった」というのも考えにくい。
 男爵はルフィ一行が迷いの森に入ったことまで把握しており、もしそれがプリンからの密告によるものなら、こんな齟齬は起こり得ないはずだ。

(参照:【ONE PIECE考察】タマゴ男爵達がプリンを妨害した理由

根拠2.シャーロット家がプリンとルフィ一行の接触を把握していない
 まず、プリンと友達だとルフィが言ったときのビッグマムの反応を見て頂きたい。
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 反応が薄すぎる。
 プリンがルフィ達をまんまと騙していることをビッグマムが知っていて、そんな腹黒い娘が本当に「お気に入り」ならば、嘲笑の一つでも漏らすところだろう。
 
 この薄い反応は、ルフィの言葉を単なる戯言と流しているとしか思えない。

 もう一つはこちらのオペラの反応。
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 ルフィを「君」付けするプリンに対し、怪訝な表情をしている。
 もし、彼がプリンの「本性」を知り、彼女がルフィと接触したことを把握しているのならば、こんな反応はあり得ない。
 普通に考えて、「まだ麦わらを騙して弄ぶつもりなのだ」と解釈するだろう。

 これらのことから、少なくともビッグマム側はプリンと麦わらの一味が接触したことを知らないのは明らかだ。
 しかし、もしプリンが腹黒ならば、当然彼女はビッグマムに密告しているはずであり、ここにもまた矛盾が生まれる。


(参照:【ONE PIECE考察】ビッグマムにルフィ達の情報を漏らした者とは?
           【ONE PIECE考察】ビッグマムとホーミーズの能力の限界
     【ONE PIECE考察】ブリュレはルフィとプリンの約束を知っていたか?

根拠3.ルフィとの約束の件をオペラ達に聞かれないようにしている
 仮に、1と2をクリアしたとしても、まだ不自然なところはある。
 プリンが“黒”ならばとっくにオペラに把握されているはずの話を、わざわざヒソヒソと小声で話す必要はない。
 チェス戎兵に自分の本性を知られたくないのならば、そのときだけ小声になれば良いだけのことだ。

 もっとも、これに関しては「知られちゃマズいはず会話を堂々としていたら怪しまれるかもしれない。ネタ晴らしギリギリまでルフィとナミには自分を信用させておきたい」という意図と考えられなくはないが、かなり苦しい解釈だろう。
 なぜなら、ルフィ達に約束を破ったことを謝ることも、サンジにプロポーズされたことも、そもそも別に語る必要はないからだ。

根拠4.ビッグマムは約束を守る海賊
 根拠1~3までの時点でプリンは“白”だという根拠としては十分だと思うが、ついでにもう一つ加えると、彼女の語るビッグマムの人物像が、実際と乖離していることもある。

 まさに今週号で描かれた通り、ビッグマムは海賊として一つの筋は通っている女性である。
 助命を嘆願されればそれを受け入れ、盗人でもその覚悟を認めて罰を減じる。
 
 魚人島の一件もそうだ。
 自分に喧嘩を売ったルフィに免じて、お菓子の上納が遅れた魚人島を許している。
 そして、それらの約束を違えたりはしていない。

 そんな彼女が、プリンの言うように最初から反故にする気で約束を結ぶだろうか?
 私にはビッグマムが一方的に約束を破って、騙し討ちのような真似をするとはどうしても思えない。

 「ブリュレやスムージーは、キャロットやブルックを殺そうとしていたではないか」という反論があるかもしれないが、あれらはむしろ娘達の独断だろう。

 実際、ブリュレに対して本来下された指示は「泳がせておいていい。サンジには会わせるな」というものだ。
 その後、「怒りの軍団」にはルフィとナミのことは生け捕りを命じているのに、キャロットだけは殺していいとわざわざ個別に指示を出すとも考えにくい。
 鏡世界にいて状況を知らないブリュレが、勝手に動いたことだと見るべきだろう。

 また、スムージーに関しては、単なる伝達の不足だと思われる。
 ビッグマムは宝物庫に侵入者があることを全く予期していなかったから、「宝物庫が狙われる恐れがあるため、警備を固める」ということは、タマゴ男爵からビッグマムへは報告されていなかったことになる。

 すなわち、ビッグマムは城内にいるスムージーが麦わらの一味と戦闘になる事態を想定しておらず、「麦わらの一味は殺さず捕らえよ」という指示も下していなかったと考えるべきだ。

根拠5.作戦決行の前日にそれをバラす不自然さ
 これに関してはわざわざ論じるまでも無く、読者全員が不自然に思ったのではないか。
 ペラペラとレイジュに全ての情報を話すなど、まるで対策してくれと言わんばかりだ。

 そのうえ、第849話を見ると、「まんまと」レイジュに逃げられている。これでビッグマム海賊団とジェルマ66の決裂は決定的だろう。

根拠6.ビッグマムの「人形」
 演技が上手い娘を指して、果たして「人形」と表現するだろうか。
 「まるでお人形」というのは、自主性が無く、思い通りに動く人物に相応しい比喩だが、今のプリンが本性だとすれば人形とは真逆の人物に思える。

 自己中心的で、おそらくビッグマムの指示ではなく独断でレイジュを監禁し、計画までバラしているのだ。
 これほど個性豊かで自我の強い娘を、人形のようだと感じる人間などいるだろうか。

根拠7.魚人島編で初登場したときとキャラが全く違う
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 最初に登場したときのプリンは、嫌がるホーミーズを食べるビッグマムに対して憂鬱な表情を見せている。
 今週のような腹黒い姿が本性ならば、このような反応を見せるとは考えにくい。

 また、これもよく囁かれている「三つ目のときは性格が変わる、いわゆる二重人格ではないか」という説を否定する材料になるだろう。


 以上、現在までの情報を勘案すれば、プリンは“黒”を演じている可能性が高いとご理解いただけたことだろう。
 では、なぜそんなことをしているのかと言えば、これは当然「サンジを結婚から解放するため」である。

 サンジを逃がせば人質が殺される。プリンが逃げても他の姉妹とサンジが結婚することになる。
 そんな追い詰められた状況下で彼女が立てた策こそが、「ビッグマム海賊団とジェルマ66を離間させる」ことだったのだろう。

 ジェルマ66の傘下入りの話さえなくなってしまえば、ビッグマムもヴィンスモーク家も人質をとる意味はなくなる。
 サンジは両家にとって不要となり、再び自由を得られるわけである。
 
 危険な賭けではあるが、サンジを救うにはこれしか方法が無いのが実情だ。

 また、ルフィ達に自分を裏切者だと思わせたとなると、プリンはおそらく死を覚悟しているはずだ。
 この策が成功すれば、ジェルマ66の怒りの矛先はビッグマムとプリンに向くし、もし事態が発覚すればビッグマムの怒りをも買う。
 
 ルフィ達のことも助ける算段をつけたうえで、自分のことを気にせずサンジを連れて島から逃げてもらうために、敢えて裏切り者を演じて見せたのだと考えられる。

 おわかりだろう。
 プリンの“白”は大穴どころか、鉄板なのだ。
 花京院の魂を賭けるだけの勝算はあると私は睨んでいる。

 彼女の“黒”にベットした読者は、きっと「尾田先生はどこまでサンジを突き落とすのか」と嘆いていることだろうが、私は違う。 
 サンジは女の涙を疑わない。
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 つまり、プリンがレイジュに放った台詞を聞いた今もなお、プリンが見せた涙を嘘だとは考えていないことになる。
 即ち、この時点でサンジは「プリンが自分のために悪女を演じ、結婚をぶち壊そうとしている」ことにまで思い至ったことだろう。

 今週ラストの影のかかったサンジの顔に浮かんでいるのは絶望ではない
 その身を貶めてまで自分を救おうとするプリンのために再び立ち上がることを決めた男の顔なのだと、私は確信している。