10年間、ずっっっと応援し続けて来た甲斐があった……。
※以下、ネタバレ無し
【エレン×ミカサ】
なんの保証も無く委ねたものが
実るのね
とても清々しくて
いい気持ち
そして
頼り無く
恐ろしい
これが
そう
信じるって
事なのね
いやあ、感無量である。
エレンは鈍感かつ基本的に色恋沙汰にはとんと無縁な主人公だけに、どこかいつもミカサが一方的な想いを募らせてるところはあったんだけれど、こうやって最後に報われると喜びも一入だよね。
正直な話をすれば、私もずっとエレミカ派だったわけではない。
訓練兵時代は、エレン×アニに気持ちが傾いたこともあった。
とはいえ、10巻のこの場面を見てしまえば、もうミカサ以外を応援する気にはなれまい。
最終章では悲しい顔ばかり見る事になったミカサだが、こうやって最終回でエレンと心を通わせられたことが解って、私の方は今、歓喜の涙が滂沱として流れ落ちている。
ヒィズル国の復興の為に、キヨミ様について海を渡ったミカサだが、前回で彼女自身が決意するように、生涯エレンのことを忘れることはないだろう。
いつかはヒィズル国の人間と結ばれるかもしれないし、あるいは、ジャンが一途に彼女を追ってきて、2人が結婚する未来も考えられるけれども、それでもミカサの胸の裡にはいつも、エレンの姿があるはずだ。
メゾン一刻ではないが、相手が誰であろうとも、ミカサの将来の旦那様には、「貴方もひっくるめて、ミカサさんを貰います」と言えるような、そんな器の大きい男であって欲しいものである。
【さよなら、全ての巨人の力】
さてさて、全ての元凶たる光るムカデが退治されたことで、無垢の巨人にさせられたジャンやコニー達が元に戻るというのも、前回の予想通り。
巨人の力がこの世から消滅したことで、「巨人化の脅威」という『人種問題』の一言では片づけられぬ対立の種も解消するから、今後、時間をかけてユミルの民と多人種は和解していくことになるだろう。
正直なことを言えば、前回あれだけ地獄を演出したのに、次の最終回でいきなり元に戻すのは若干の肩透かしな感は否めないが、このエレンを追う最終決戦では、教官や元帥にしろ、ハンジさんにしろ、王道少年漫画のような最期が多かったからね。
無垢の巨人にさせられた面々が元に戻ったのは、このハッピーエンドの流れの中では予想の範疇ではある。
【今後の世界】
エレンによる壁外世界の滅亡は阻止されたものの、世界の多くは既に地鳴らしによって蹂躙され、壊滅状態になってしまった。
いかに100年遅れた島とはいえど、この数年で多くの技術を海外から取り入れたエルディア王国こそが世界を主導していくことになるだろう。
ザックレー総統やピクシス司令を筆頭とした兵政権の中枢を担う上層部は全滅し、調査兵団の長であったハンジさんすら戦死してしまった。
残されたアルミンやジャン達だけで政権を立て直すのは容易ではないだろう。
ましてや、崩壊した外の世界を復興させるとなればなおさらだ。
だが、外国の脅威も、内政での抑圧も失われたのは確かである。
あとは死線を潜り抜けてきた彼らの力量を信じるしかないだろう。
幸いにもエルディア王国では、女王ヒストリアが民衆からの高い求心力を持っている。
彼女を後ろ盾にすれば、若いジャン達でも政権を運営することは可能なはずだ。
【人類は一丸となり、争いをやめる】
さて、3巻にてエレンとピクシス司令は↓のような会話を交わした。
読みが浅く、知能も足りない愚かな読者がこの最終話を読んで、「エレンが言ってた呑気な世界になってる! ご都合主義だ!」などと喚き散らす未来が私には見える。
しかし、もちろん、彼らの言ってることは全く的外れだ。
残された世界はエレンという共通の脅威を前にして団結したりはしていない。
マーレ兵と収容区の民のように、あの極限状態の中でもいがみ合いを続けた。
戦後の世界が比較的平和に回っているのはひとえに、地鳴らしによる壊滅的被害によって「エルディア王国と戦えるだけの国力が各国に残っていないから」こそなのである。
共通の敵が現れたから団結したのではない。
エレンの手によってパラディ島に逆らえない程、徹底的に痛めつけられたからこそ、仮初の平和が現在は保たれているだけだ。
ご都合主義とは真反対の、「圧倒的な暴力と殺戮」によって強制的に与えられた「団結」に過ぎないのである。
エレンを止めたのもエルディア人とはいえ、世界を滅ぼしかけたのもまたエルディア人の仕業なのだ。
生き残った僅かな人類の中で、パラディ島への恨みと憎しみが消えることはないだろう。
当面の間はエルディア王国が世界を主導したとしても、復興した各国が今後どう出るかは解らない。
もっと言えば、若年のアルミンやジャンが率いる政権に、生き延びた国内勢力が大人しくしているとも限らないのだ。
争いは続いていく。
未来永劫、人類が滅ぶまで。
【まとめ】
さて、まだ最終話を読んでいないからまとめも何も無いのだが、私は進撃が話題になり始めてから読み始めた読者ではあるものの、それでも10年近く追って来た作品なので、いよいよ最終回を迎えるというのは万感の思いがあります。
詳しい総評は実際に最終話を読んでからにするとして、とにもかくにも、諌山先生、長い間お疲れ様でした。