思いのほかスピード解決。
第109話の感想はこちら。
【夢】
なるほどなー。
これまでいかにも五月が「母親になるという呪縛」に囚われてるかのように描写されてきたこと自体がミスリードだったわけね。
そういう意味では多かれ少なかれ我々読者も無堂と似たような見方をしてたんだろうな。
第94話では二乃ですら、「一花が学校よりも大切なものを見つけたことを喜びましょう」という五月に対して、「それは本当に五月自身の言葉なのか?」という疑惑を抱いていたくらいだからなあ。
88話での「お母さんになります」という宣言の病んだ表情が強烈過ぎたのよね。
しかし、実際にはこれは決して否定されるべきものではない、というのがこの作品の答えだったというわけだ。
確かに、当初は母を失った現実の逃避として零奈さんの真似をしていたのかもしれない。
だが、時と共にそれは単なる上っ面だけの真似事ではなく、「母親のような人間でありたい」という明確な目的意識として五月の中に根付いていったのだろう。
特に、教師という道はフータローとの出会いの中で育まれた夢だ。
フータローに教わり、また、彼の「授業」を手伝う中で、『学ぶことの楽しさに目覚める事』の喜びを見出し、その経験が尊敬すべき母という目標とも交わることで、「母親のような教師になる」という確固たる志が五月の中に形作られた。
だから、無堂の言葉などで彼女が折れることはなかった。
母の漏らした悔恨を思い出し、迷いを抱きはしたものの、それでも諦めることはなく、勉強を続けていたのだ。
その想いをフータローに言葉にしてもらい、背中を押された以上、彼女はもう迷うことは無いだろう。
【無堂】
消息を経ったの……?
ってことは、まだ離婚が成立していない可能性もあるんだろうか。
つまり、戸籍上まだ中野姉妹は無堂の籍に入っていて、マルオが未成年後見人となっている……みたいな。
いや、さすがに零奈さんの方から離婚の手続きをしてるのかな。
相手が消息不明でも離婚できるのかどうか、その辺りの制度は全く知らないが(調べろ)。
先ほど、「読者や二乃もまた無堂のように五月の母に対する感情を見誤っていた」と書いたが、我々と無堂が決定的に違うのは、五月自身の言葉で勉学や教師への夢を語っているにも関わらず、それを全否定した、というところだよね。
二乃は教師を志した五月を否定したりはしていないし、我々読者にしても先週の彼女の台詞を見て「いや、それは母親の真似事だ!」などと考えた者はいないだろう。
対して無堂は娘の言葉を聞こうともせず、独善的に彼女を否定した。
先週の感想で、
五月本人が辛そうにしているならともかく、「学ぶことが楽しくなった」と言い、「そんな風に私も誰かの支えになりたい」と母親以外の理由で教職を目指す理由を述べているのに、それを丸っきり無視して「歪」だの「呪い」だのと決めつける姿勢は、教師としても父親としても失格である。
と書いたように、父親として不合格なのは無堂の方だ。
というか、自分自身は零奈さんの死に際して姉妹の前に姿を現さず、その後の養育もマルオに丸投げしてる癖に、「お母さんが死んだ時、彼が君に何をしてくれた?」などと上から目線で言える厚顔無恥には呆れる他ない。
五月が実父への嫌悪を示唆したこの場面が、フータローの不貞を疑っていた時だったことから考えると、五つ子の懐妊中に消息を経ったというのも「女と逃げた」んだとしたら、一層無堂のクズっぷりに拍車がかかるな。
【その他】
・妻子を残して蒸発したような奴が何で全国で予備校や塾の講師ができるんだ。
・一花に無堂の話してるのは公園でキスした直後だし、二乃達に五月の異変を聞かされてるのも三玖とキスした後だしで、無堂のせいで悉く余韻が台無し。
・フータローはあの汚いアイスどうしたんだろう……彼の性格的に捨てるとは考え難いけど、まさか……。
・五月編は3話以上に渡ったか。
・ま、五月だけキス無しで終わって、次回からは「風太郎の場合①」になる可能性もあるけど。
・無堂の問題が今回で解決するかはともかく、五月の迷いについてはほぼ完全に解消されたと見ていいかな。
・100話の感想では最終章で五月の問題にがっつり尺を割いて解決すると予想してたけど、どうやらそれは無さそう。
・となれば、未だ問題を抱えたままの四葉を中心にした長編が描かれ、その後にフータローが一花を選んでハッピーエンドとなるんだろう。
【一花勝利説(追記)】
の記事を改めて書いたので置いておく。