「分枝」というサブタイトルは、姉妹の道が分かたれていくのみならず、本人すら自覚的でない四葉の二面性が明確化することも表しているのかもしれませんね。
一『花』と四『葉』という植物繋がりに掛けたのかな。
前回の感想はこちら
※以下、ネタバレ注意
【久々の黒四葉】
一花の夢を後押しするポーズを取りながら、その実、姉妹の中で最も積極的に一花を学校から追い出そうとし、しかし、その一方でフータローに一花を任せるという二面性。
自分を送り出した時の四葉を見るフータローの表情からすると、いよいよ彼も四葉の闇を感じ取ってきたようだ。
【一花と四葉】
第90話や第88話の感想でも書いたように、これまで一花は、幼い頃、フータローに初めて出会ったのが四葉だという事実を覚えてはいたものの、四葉の演技を真に受けて、彼女がそのことに気付いていないと思い込んできた。
その為、旅館の屋根の上で(おそらく嫌味混じりに)四葉がフータローを奪われた話を持ち出してきても、何のことか思い当っていないようだった。
そんな一花が、ここに来て自ら過去の話を持ち出してきたということは、四葉のフータローへの好意にようやく気が付いたということなのだろう。
フータローを奪われた事についても話題になるだろうし、いよいよここで四葉のぶっちゃけターンが始まる可能性もありそう。
【引いてみよう】
さて、フータローの教え子という立場から離れることを決めた一花さん。
フータロー争奪戦から身を引いたとも取れるような選択ではあるが、彼女は三玖に「元に戻れると思った」と語っている。
この言葉が事実だとすれば、一花はフータローのことを諦めたわけではないだろう。
ただ、今のままだと自分が許せない。
これまでのようにフータローに接することができない。
それを解消する為に、贖罪の意味で一度距離を取る「ハンデ」を背負おうとしているのだと思われる。
とはいえ、この選択は図らずも、一花にとってプラスに働いているようだ。
一度引き下がることでフータローを追いかける側に回らせ、マンツーマンでの授業という言質さえ引き出しているのだから。
ある意味、前回の話で二乃が試みた「押してダメなら引いてみる」を成功させてしまったと言える。
それにしても、フータローのこの必死の引き留めを見せられると、こう、思わず頬が綻んでしまうな。
修学旅行のラストもそうだったが、もうこの時点でフータローが一番気に掛けてるのって一花なんだよね。
春休みの旅行のキスの時点から、フータローが姉妹のうち誰か1人のことを「特別」に感じ始めていることは既に明言されているわけで……まあ、そういうことよね。
【進路】
三玖に続き一花もと、いよいよ黒幕ことヘボ監督がかけた「良い大学に行って金を稼げ」という呪いから、四葉を解放する舞台が整いつつある。
五月は教員志望なので当然大学進学として、残るは二乃か。
四葉を除けば彼女だけはまだ将来の夢が定まっていないはずだけど、さて、何を目標にしてくるんだろう。
もっとも、二乃の場合は「私たちまだ高校生なんだから、大学に行ってから決めれば良いでしょ?」という感じで普通に進学志望でもおかしくはないかな。
他の姉妹みんながみんな具体的な将来の夢を持っていたら、逆に四葉のプレッシャーになりそうだし、彼女の気を楽にする役割になるかもしれない。
【五月】
ついつい四葉にばかり目が向いちゃうけど、彼女も彼女で母親を演じるという呪いに囚われたままなんだよね。
彼女はここまで1人だけフータローに明確な好意を寄せていないので、自動的に春休み旅行のキスの相手からは除外され、この時点でもう真・花嫁の可能性は最も低いから、果たして今後どう扱うつもりなのか全く読めないや。