まずは四葉からフラれる、と。
112話『最後の祭りが五つ子の場合』の感想はこちら。
【順番に】
まず大前提として、私は一花の勝利を確信している。
↑で書いているように、真・花嫁である鐘の下キスの相手が四葉でないことは既に確定しているからだ。
その上で、今回のフータローの選択についてであるが……ま、言うまでもなくこれは、彼自身は「最初に訪ねた教室にいる姉妹を選ぶ」などとは一言も言っていないのがミソだろう。
「訪れる教室がただ一つ」というのは、あくまでも五つ子側からの要求に過ぎない(そもそも、今回訪れたのは保健室であって教室ですらないけど)。
つまるところ、フータローは他のヒロインとの決着を順番につけてから、最後に一花のところへ向かうつもりなのだろう。
【ジュース】
さて、今回一花の口から、かつての夜の公園で彼女が突きつけた問いかけに、フータローはオレンジジュースで答えていたことが示唆された。
かなり曖昧な描写であり、後々何とでも引っ繰り返せそうではあるが、ここではとりあえず「フータローが持ってきたのがオレンジジュースだった」という仮定で話を進めていく。
なるほど、確かに一花の出した選択肢では、ジュースは四葉を意味していた。
更に言えば四葉の好きな食べ物は蜜柑であり、初日の教室での集まりでもオレンジュースを飲んでいたそうだ。
上記の情報を見ると、間違いなくフータローは四葉を選んだかのように見える。
だが、残念ながらこのように考えた読者は重要見落としをしていると言わざるを得ない。
オレンジジュースとは、そもそも妹のらいはの好きな飲み物なのである。
四葉が好きな飲み物は炭酸ジュースだ。
そして、一花は「ジュース」としか指定していない。
仮にフータローの頭に初日に四葉がオレンジジュースを飲んでいた記憶が残っていたとしても、飲み物を好きな女性に例える問いかけの中で、必要も無いのにわざわざ妹の好きな飲み物など選ぶだろうか?
別に何でも良かったはずだ。ブドウジュースでも、コーラでも。
だが、フータローは敢えて妹の好物を買って戻ってきた。
賢明な読者の諸兄にはもうお判りだろう。
そう、フータローは四葉を選んだわけではなかった。
オレンジージュースを買ってきた後に、らいはの好きな飲み物だと明かして、一花の問いかけを躱そうとしていただけなのだ。
だが、一花の狸寝入りと、その後のキスによってその質問そのものが立ち消えとなってしまい、種明かしの機会を逸した。
そのせいで、一花はフータローが四葉を選んだのだと誤解してしまったのである。
【迷い】
そもそもの話、あの時点でフータローはまだ自動販売機の前で延々と迷うくらい自分の想いが定まっていなかった。
にも関わらず、突然に意を決して四葉選んだ? 自動販売機の前で立ち尽くしていただけなのに?
何のきっかけもなく自販機を見つめていたら腹が据わり、初日で四葉がオレンジジュースを選んでいたことを思いだし、妹の好物を選んで一花に対して四葉が好きだと伝えようとしたと?
考え難い話である。
いや、もはや荒唐無稽とすら言えるだろう。
彼が誰か一人を選ぶことを決心したのは、最終日までの祭りを経たからこそだと見るのが自然だ。
フータローは四葉を選んではいなかった。
そして、四葉が鐘の下のキスの相手である可能性は無い。
今週のお話は、丸々ネギによる悪質なミスリードだったのである。
らしいと言えばらしいけど、何とも鬼畜なことよ。
ここまで四葉派をぬか喜びさせておいてから、地獄に叩きつけようとは。
彼女が前に歩み出す為には必要なエピソードとはいえ、さすがに四葉派が気の毒になる。
【残された謎】
それはともかく、この学園祭にはまだまだ謎が多く残されてるんだよね。
例えば、第109話でも描かれた初日夜のフータローの頬に残っている、誰かに叩かれたような痕。
私自身は全く気付いていなかったのだが、Twitterにてayumieさんとたこすゆーきさんがその件について話している。
一花見送ったのは15:20か...じゃあ叩いたのは一花じゃない。 https://t.co/A3fHWkOWW8
— ayumie (@ayumie) 2019年11月6日
15:20は教室に6人が集まった時間ですね。そして103話の二乃の場合①でその会合が終わったと思われる16:40の時計描写があり、それ以降風太郎は勇也やらいはとも合流して二乃と一緒にいるので、一花を見送ったのはその間のことだと思われます。
— たこすゆーき (@topguncross) 2019年11月6日
ありがとうございます。するとその時点で頬に傷はないから叩いたのは一花じゃないですね。一花姉さんがだんだん腹が立って来て戻ってきて殴ったなら別ですが(笑)
— ayumie (@ayumie) 2019年11月6日
まあそんな事ないでしょう
確認すると、お二人の言うように第105話で描かれた17時20分の屋台の小火騒ぎの後には既にフータローの頬に痕が見られる。
一方で、16時40分(これが15時20分からの会合が終わった直後なのかは分からないが)以降、二乃とマルオを探している時に家族と出くわした際にはまだ頬に異状は見られない。
第101話で一花を見送ったのは、二乃とマルオ捜索を行うよりも前の事だと考えられるから、フータローの頬に傷を残したのは一花ではない。
第102話冒頭のビンタでいかにも一花がやったかのように思わせているが、実際には彼女の犯行では無かったわけだ(ほんにミスリードが好きなお人やで、ネギ先生は)。
家族と別れてから小火騒ぎの間に誰かに叩かれたのか、それとも小火騒ぎの最中か直後に叩かれたのか……。
【病院と原付】
謎と言えばもう一つ。
フータローは原付に二乃を乗せてマルオの病院に向かったわけだが、その後、四葉の見舞いを済ませて一花を送る時には徒歩で帰宅している。
原付を使わなかった理由や、四葉が運び込まれたタイミングも未だ伏せられたままだ。
【譲られた屋台当番】
最後がこれ。
第106話で三玖が病院に駆けつけた際に二乃が述べた「屋台当番急に譲ってもらって悪かったわね」というお礼の言葉。
今もって二乃がいつ、何の為に三玖から屋台当番を譲り受けたのか不明のままだ。
どうやらこの学園祭には、まだまだ隠された物語があるようだ。
今回の『最後の祭りが風太郎の場合』には数字が割り振られていないから、次回以降は別の副題になるのだろうが、また別の人物の視点で語られるのかな。