丁度アニメがこの辺りの話なので。
※以下、ネタバレ注意
シャーロット・プリンが麦わらの一味(というかサンジとその仲間達)の味方となった展開について、彼女の過去の所業を忘れられず、未だに納得できていない読者もいることだろう。
彼女の悪行の一つが、囚われの身となったルフィとナミの元へ出向き、「ネタバラシ」をした件である。
これは実に不合理な行動だ。
計画実行を前にしてルフィ達に真相を明かすメリットなど全く無いし、むしろ、ビッグマムの「大人しくしておけば解放する」という嘘を台無しにした点で有害とさえ言える。
この不可解な行動については、プリンの性格が陰湿だから、わざわざ必要もないのに真相を語って聞かせ、ルフィ達を嬲って楽しんでいたんだと長らく考えられてきたが、彼女はただ自分に嘘を吐いて悪女を演じていただけであり、本当は優しい女性だと判明した今となっては、それでは説明がつかない。
無論、悪女に成りきる一環として、こんな行動に出た(悪女ならきっとルフィ達を嬲るはず、という自己暗示から)ということも考えられるが、私はプリンちゃんが本気でルフィ達に怒っていたという説を唱えてみたい。
ナミがローラのビブルカードを持っていたことを侍女から聞かされたプリンは、麦わらの一味がローラを殺した(ないし害した)のだと思い込んだのではなかろうか?
怒りの軍団に加わっていたシャーロット兄弟や部下達がそうだったように、海賊である麦わらの一味が他人の持ち物を所持しているのを第三者が知れば、「貰った」のではなく「奪った」と考えるのは自然なことだろう。
ローラはプリンにとって大好きな姉だった。
そのローラを麦わらの一味が傷つけたかもしれないとすれば、怒りを覚えるのは当然のことだ。
しかし、プリンはローラの為に怒ることはできない。
なぜなら彼女は自身を「三つ目の醜い化け物」と規定し、「醜い化け物に相応しい振る舞い」を心掛けてきたからだ。
醜い化け物は、ビッグマムを裏切り出て行った姉が傷つけられたからといって、その為に怒ったりはしない。
そんな無意識下での葛藤の果てにプリンが選んだ行動が、「醜い化け物として、必要も無いのにルフィとナミに真相を明かして絶望させる」ということだったのではないか。
そう考えれば、彼女が流した涙の意味も理解できる。
彼女が単純にルフィ達を嬲りたいだけならば、ここで泣く演技を見せる必要など全くない。
つまり、この涙は演技ではなく、プリンの本心が零れ落ちたものだったのだ。
彼女はきっと、どこかで死んでしまったかもしれない大好きな姉のために涙を流したのである。
今のプリンちゃんはサンジの人柄を通して、麦わらの一味への誤解も解けていると思われる。
もう一度彼女と一味が正面から会話する場面が来るのが、今からとしても楽しみだ。