四大魔王は全員仲が悪いと決めつけてたけど、思い込みだったかも。
【禁忌】
メフィストフェレス君主陛下によると、悪魔が「胎界主殺し」の禁忌を犯すと降格の恐れすらあるらしい。
つまり、同じく禁忌と言われている「嘘」とは違い、自らに災いが降りかかるが故に破れないのではなく、大惨事防衛法のような規則として決められているようだ。
そして、何故それが禁忌なのかと言うと、「真の胎界主が世界を根本的に書き換える」との帝王の言葉があるからである。
帝王放浪後のルキフグ派が主導権を握る魔界でも、このような制限を未だに維持しているということは、ルキフグ副王陛下はその帝王の唱えた説を信じていることになる。
【帝王への敬愛】
もとより、ルキフグ副王陛下は、帝王が出奔した後も彼の権力を保持し、自身は副王の立場に甘んじ続けている。
また、管理者リョースとの通信に使用していた謁見場には、壇上に椅子があるわけだが、傍らに6脚の椅子が控えていることから、これは帝王の玉座と考えられる。
その玉座をわざわざ見上げる形で通信を行うなど、ルキフグ副王陛下が帝王に対して最大限の敬意を払っていることは以前から伺い知れた。
私はこれを秩序と現状維持を好む副王陛下の性向から来るものだと思っていたのだが、もしかすると彼は、心の底から本当に帝王のことを敬愛しているのかもしれない。
だとすると、フルーレティ六王陛下が言っていた「たとえ分躰でも六王の命に手にかければルキフグ副王に憂いをもたらすことになる」とは、派閥間の関係の乱れのことよりも、副王自身が帝王に嫌われることを恐れている、ということだったのだろうか。
【帝王への期待】
上記の仮説が正しければ、サルガタナス六王陛下がルキフグ副王陛下の傍にいるのも、単なる両派間の折衝の為などではなく、帝王復権のために両者は協力関係にあるのかもしれない。
要するに、ルキフグ副王陛下は現状維持を旨としているとしても、それはいずれ来る悪魔の滅亡に無関心なのではなく、帝王の掲げる世界の書き換えに期待しているのだと考えられる。
サタナキア六王陛下がソロモンを使って帝王を救う道を模索しているように、ルキフグ副王陛下とサルガタナス六王陛下はまた別の方面から帝王を取り戻そうとしているのだろう。
もっとも、サタナキア六王陛下は明らかに副王陛下を軽視しているし、副王陛下の方も目の下の隈などからどうやらサタナキア六王陛下を警戒して眠っていないようなので、全ての六王と友好関係にあるわけではなさそうだが。
目的は同じでもその為の手段で対立しており、その辺りがマルコキアス・フルーレティ両六王陛下とルキフグ派魔王との険悪な関係性にも表れているのかもしれない。
まあ、ルキフグ派魔王の場合は、父であるルキフグ副王陛下がいつまでも帝王の風下に甘んじている状況を悔しがっていて、主とは違い帝王のことを好んでいない可能性もありそうだが。