ネオ天草ブログ

ONE PIECEや胎界主の感想を主に書いています。

胎界主 第三部 翻訳儀典 師匠国篇『安らぎ売りの美女 01~04』感想

 もっとレックス個人に焦点を当てた回想になると思っていたんだけれど、思いのほか帝王閥の核心ついても触れられてきたなあ。

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【レックスの出生】

 代行組織がインフルエンスではなくヘッドになってるから、レックスが生まれたのは大惨事以降の時代なのか。

 大惨事が起きたのが約250年前。
 そして、少なくとも1度は999ヶ月の記憶リセットがされてるってことは、レックスって200年も生きてないのね。

 となると、阿州はもう既に骸者に滅ぼされているわけだから、南アフリカで金貨を作らせたという第1部の話と矛盾が……。

 と当初思ったけど、大惨事以降のアフリカ大陸には残留した骸者がいる訳だから、「汚染された南アフリカに乗りこんで、そこの骸者達をボコって金貨を作らせた」んだとすれば矛盾はしないか。
 骸者だから子作りはムリだろうけど。

 

【地獄の指輪】

 あ!?
 これてっきりレックスが自分の子育て失敗を責任転嫁してるだけだと解釈していたのだけれど、今回の「ボス」みたいに地獄の指輪の影響を受けて、本当に子供達が腐っていってたってこと!?

 で、レックス自身は地獄の指輪のせいだと気付いておらず、自分の胎界主としての性質故だと思い込んでいる、と。
 うわー……だとしたら辛過ぎるな。

 地獄の指輪には周囲の人間に地獄の扉を開かせる性質があり、それにより前任者の「ボス」の「美しいものや尊いもの」も腐っていき、レックスの子供達も煤けて淀んだ大人になっていったんだとすると、帝王はそんなもん使って何がしたかったんだろ。

 あー、いやそっか。
 ここのサタナキア陛下の台詞からすると、〈主流〉こそがこの世界の閉塞の根源っぽいから、帝王はおそらく〈主流〉を打ち破ろうとしていた。

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 その為に必要な「真の胎界主」は、〈主流〉とは逆の「傍流」にこそ生まれると考えて、敢えて持ち主の周囲をヘドロに変える「地獄の指輪」を創ったとか?

 もっとも、地獄の指輪で何をしようとしてたにしろ、帝王にとっては事態打開の為の「お試し」の一つに過ぎなかったんだろうけど。
 しかも今はそれにも絶望し、とっくに見限って世界を徘徊しているのに、配下だけが未だに無意味で無価値なそのプロジェクトをずっと続けているわけだ。

 ひ、悲惨……。

 

【帝王の計画】

 サタナキア六王陛下って、他の六王とすら計画を共有せずに一人で動いてるのか。
 というか、結構具体的な計画内容を帝王から授けられていて、それを基に行動しているのね。

 ただ、サルガタナス六王陛下なんかも副王陛下と協力して何かやろうとしてるようだが、帝王がサタナキア六王陛下だけに計画を伝えているなら、勝手に動くのは妙な話だ。

 また、塔へのゲートを守らせることを検討した際に、サタナキア六王陛下はマルコキアス六王陛下の名前しか出していない。

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 どうやら、(ある程度戦力になる六王の中で)サタナキア六王陛下に協力してくれるのは毛嫌いしてるマルコキアス六王陛下だけで、他の六王は協力すらしてくれないようだった。

 だが、これもサタナキア六王陛下だけに「計画」が伝えられているのならば、おかしな話だ。
 彼に対する協力を拒否するということは、帝王の計画に背くことになるのだから。

 

【3つの計画?】

 思うに、マルコキアス六王陛下には無いだけで、上位六王にはそれぞれ別の計画が帝王より授けられ、各々が与えられた計画を達成すべく動いてるのではないだろうか。

 即ち、「帝王陛下の代理」という翻訳儀典。

 これを賜ったのはサタナキア六王陛下だけではないという可能性だ。

 例えば、サタナキア・アガリアレプト・サルガタナスの上位3名には「帝王の代理」という翻訳儀典と共にそれぞれの計画が授けられ、一方でフルーレティ・マルコキアス・アスモデウスのバトルジャンキーな弟たちには「戦いを楽しむ」翻訳儀典が与えられたというわけだ。

 計画を遂行する兄たちが、必要に応じて弟たちの手を借りる仕組みなのかもしれない。
 サタナキア六王陛下は帝王の意向もあって計画の内容を他の兄弟に語らないようだが、逆に言うとアガリアレプト・サルガタナス六王陛下の計画は共有して良いことになっており、弟たちにも知らされている可能性はある。

 そして、「帝王の代理」を務める3名は、自身が授かった計画こそが至上にして最優先だと考えているから、競争はしても互いに協力し合うことは基本的に無いのだとすれば、六王間で連携が取れていないことにも筋が通る。

 三大主の派閥で大公達が軍閥競争を繰り広げているように、六王もまた父からの寵愛を巡って兄弟で争い合っているのだろう。

 

【不老の躰化】

 地獄の指輪の前任者の末路を見ると、どうも彼もイシス=デメテルの不老のようだ。

 魔王ではなく妖魔が授けられるってことは、イシス=デメテルの躰化はクール・ピッピ総統が求めた「タロット二十型の不老不死」ではないわけか。

 まあ、イシス=デメテルが20型で、元々は妖魔でも付与できていたけれど、その躰化者となったレックスが大暴れしたせいで規制が厳しくなった可能性もあるけどね。

 

 あと、胎界主Wikiでは癒す力がタロット二十型と書かれてるんだけれど、上記の通り確定はしてないよね?

 誰か修正しておいて欲しい。

 

【その他】

・オベロンが所属してるのが帝王派閥のヘッドだとすると、現在も帝王派シフトが存在して総統もいるのかな。
・六王が男爵魔王からすらもタメ口だったことを考えると、帝王派シフトがあったとしても、他のシフトからは軽く扱われてそう。
・実際、シフト総統議会にも呼ばれてないし。

・レックス達を集めたヘッドは帝王閥なのか、ベール派なのか。

・「スカウト」自体は別に地獄の指輪の適合者を見つける為ではなく、通常の誓約者捜しの一環っぽい。

・サタナキア陛下も「ウーティス」として扱う際には呼び捨てだったから、六王は「ことばの力」でウーティスの存在級位が上昇しないようにしてるのかな。

・やっぱ王族魔王の直属妖魔ってインプ以下ではあってもめちゃくちゃ偉いのね。
・メフィストフェレス君主陛下直属のボガートも、作中で本人が言ってた通り、本来は鮒界市の小さい小屋にいるような地位の妖魔ではないんだろう。

・「世界恐慌」の時期次第ではあるけど、思った以上にレックスが長く生きてないんだとしたら、この子供達の中にフョードルがいたりして?

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・いや、さすがにそれは長生きしてなさすぎか。

・全てに絶望して自殺を図ったはずの「ボス」も、いざ死ぬとなれば「待っ……」と命乞いしてしまう辺りがかなしい。

・てっきり「安らぎ売りの美女」はレックスの母親で、娼婦かなんかだったんだろうなと思ってたんだけれど、スカウトを統括してた女性のことっぽい?

・この「候補者」達は何を基準に選出されたんだろ。
・不合格だからと言って殺す必要が無さすぎる。

・指輪を賜った「魔王様方」ってのは六王のことなのかな。
・サタナキア陛下の「夢の中なら無敵」という力も指輪によるもの? 

・専有指輪として「夢の指輪」とか着けてるのかもしれない。