きっっっつ……。
久々に映画館でこんな駄作を見てしまった……。
あまりにも見るのが苦痛で、眉間に皺を寄せて歯を食い縛りながらスクリーンの前にいた。
辛すぎて吐き気がする。
まるっきり、金と時間の無駄。
※以下、ネタバレ注意
【イモい演技】
役者が総じて不自然で過剰な演技をしてるのは、どういう意図なんだろう。
演技指導してるであろう監督のセンスが終わっているのか、それとも昔の特撮ならではの演技を意識してるのか。
いや、昔の特撮がこんな演技だったのかは知らないけど。
電話をとった時の「なに!? ○○が✕✕だと!?」みたいな今時コントでも見ないような不自然な台詞を大真面目に言わせてるとはさすがに思えないので、おそらくわざとではあるんだろうが、狙ってやってるにしても、見てらんないよ……。
狙ってやったなら大スベリしてるし、真面目にやってんなら救いようがない。
【つまらない映像】
映画の撮影技術については全く詳しくないけど、こんな映像が許されていいのかね。
登場人物の顔のアップを長々と映して喋らせてみたり、特禍隊の人達を不自然に並べて上を見上げる場面といった工夫も何も感じられないつまらない映像が延々と流れていて、心底うんざりした。
なんだこれ。プロが作る映画の域に達していないだろ。
学祭でやってくれよ。
【シュールな展開】
長澤まさみの巨大化とかね……。
初代で実際にメフィスト星人がやったことらしいけど、それを今の時代にそのまま見せて面白いと思うわけないでしょうよ。
いやまあ、班長が長澤まさみに呼びかけた瞬間、「赤井さーん!」という声が脳内に流れたから、そこはちょっと笑っちゃったけど。
他にも、背中無い星人が拉致したウルトラマンを担いで廃工場まで運んでいたり、手錠で拘束していたりしていたのもバカバカしいし、そもそも殺せないから眠らせて拉致したはずなのに、海に墜落した(これもよく発見できたよね)ウルトラマンが普通の医療技術で治療されていたりと、考え無しに話を作っているとしか思えない内容だった。
【怪獣をくれ】
言葉を喋る知的生命体を連発させてたのもなあ。
今時ああいう宇宙人の姿はどうしても滑稽に映っちゃうから、止めた方が良かったと思うのよね。
多くの観客は怪獣と戦うウルトラマンの姿を期待しているだろうし、もっと物言わぬ怪獣との戦いに焦点を当てるべきだったのでは。
聞くところによると、初代に比べてセブンではああいうよく喋る知的生命体の登場が多かったそうで、シン・ウルトラマンのスタッフは初代よりもセブンに強く影響を受けているのかもしれない、とウルトラマン好きの知人は考察していた。
たしかに、「ウルトラマンのシュールな場面」としてバラエティなどでたまに見る『セブンと宇宙人が卓袱台を挟んで会話する』シーン。
おそらく、本作のウルトラマンとメフィラス星人が居酒屋に行く場面なんかはこれを意識してそうだ。
そういうトンチキなことをやりたがる姿勢が、余計にこの作品を駄作にしてたと思うが。
【総じてダサい】
能力の低い監督と庵野の作るキャラクターが組み合わさるとこんなダサい奴らができあがるのか。
長澤まさみの尻叩きの癖とかね。
絵面がキツ過ぎて頭抱えちゃったよ。
エヴァのヒロインとかならまだ見られなくは無かったんだろうけど……。
戦闘シーンもなあ。
序盤の怪獣相手のプロレスはまだ良かったのだが、偽ウルトラマンとのヌルヌルしたCGとか、ゼットン相手のシューティングゲームみたいな映像には失笑するしかない。
素直に怪獣相手のプロレスやってた方が、よっぽど見応えがあったろうに。
ウルトラマンの空中縦回転なんかも原作にあるやつなんだろうけど、それを現代の映像でそのまま使っちゃうところが、なんとも浅はかというか。
YouTubeでやってんならともかく、金払って映画館に来てる客にあんなチャチな絵を見せようという思考が理解できないわ。
平行世界に吸い込まれまいと抵抗するウルトラマンの場面なんか、素人がフィギュアでも使って撮影してるのかと。
【ファン向け?】
ここまで酷評してきたし、実際クソ映画だと思うが、過去のウルトラマンを視聴済みの人間にとっては、懐かしさを覚えたり、「これはあそこが元ネタだな」とニヤリとできたりして、存外悪くないらしい。
とはいえ、初代を大昔に一度だけ見た程度の私にとっては、紛うことなき駄作である。
【まとめ】
かつて実写版進撃の巨人を撮影したときに「脚本段階では『巨人の足の腱を斬って倒れさせる』だった場面を、『人間が巨人を一本背負いする』場面にしてしまった」という逸話を持つ樋口監督の作品だから、最初から警戒してはいたが、それでも庵野が総監修として抑えている以上、進撃ほど酷い出来になることはないだろうと高を括っていた。
まさか進撃の再来かと思わされるほどの駄作を見せられるとは……。
こうなると、シン・ゴジラが奇跡的に上手くいってそこそこの作品になっただけで、庵野の実写における手腕も実は大したことないのではないか、と疑わざるを得ない。
次回のシン・仮面ライダーは再び庵野が監督を務めるようだが、こちらもあまり期待しないで見た方が良いのかもしれない。