いつもはここに大体の評価を書くんだけれど、公式からネタバレ禁止令が出ているので、敢えて何も書きません。
※以下、映画と40億巻のネタバレ注意。
【エレジアの真相】
泣いちゃったなあ、普通に。
いやまあ、ウタが引き起こした事件を赤髪海賊団が引き受けた上で、彼女を守る為に置いていったことは読めたんだけれども、ウタがその真相を知ったが故に、己の罪を償おうと暴走していた真実は予想外だった。
赤髪海賊団の選択に勘づいた際には、「いや、例え真実を覆い隠そうと、彼女は『父親に裏切られた』心の傷を負ったが故に、こんな凶行に走ったんだから、それはエゴでしかないよ」と思ったんだけれど、実際、真相を知るまでウタは真っ当な歌い手として育ちつつあったのだから、ゴードンならと信じて託したということなのだろう。
海賊への民衆の憎しみと、シャンクスに捨てられた自身の恨みを一体化している中で、それが実は自身の犯した大罪だった事実を突きつけられて、受け入れられなかった感情は理解できる。
とはいえ、ンマー、だとしても、最初から彼女の犯した罪も含めて受け入れてやってさ、一緒に過ごしてやれば、いつかウタも立ち直って、こんな結末にはならなかったんじゃないかなあ。
尾田先生は40億巻で、ウタの末路を「死」ではなく「逃げた」と表現していて、その上で「逃げることは悪なのか?」と問うているけど、それでもやっぱりシャンクスが真実を伝えていればこんな悲劇は……と思わざるを得ないや。
【死】
つれぇ~~~~。
思ったよりショックだわ。
ジワジワと辛さが効いてきてる。きっつ……。
2時間程度の映画なのに、ウタのことを好きにさせられてしまってたのね……は~~~~……つらい。
なんかやけに今回はワンピース公式がネタバレに対してピリピリしているから、てっきり本編に関わる重大な情報でも明かされるのかと思ってたんだけれど、なるほど、こういう事だったか。
そりゃ、「ウタが死んだって悲しい~~~」とか、「ラストで泣いちゃった」とか言われたらお終いだものね。
いや、そういうアホはいくら注意喚起されたところで言うんだろうけど。
は~~~~~~~。つら。
【ルフィ×ウタ】
公開前に冗談で、「【ルハン】【ルナミ】の2強だったルフィのヒロイン界に、突如として幼馴染ヒロインが現れた」みたいな話を冗談で言ってたんだけれど、映画を見たら本当にウタは一番ルフィとお似合いだと思うようになっていた。
その状況からの死って……はああああ。
20年以上の歴史を誇るワンピの中でポッと出のキャラでしかないのに、まるで正ヒロインが死んだかのような衝撃だや。
マジできっつ……。
【皆殺しの尾田】
これってやっぱり、ワノ国編と連動した尾田先生からの表明でもあるよね。
「こっからは、容赦なく殺していくから覚悟しておいてほしい」という。
本編での人死には白ひげとエースという例外中の例外しか無くて、これまでも散々「どう考えても死んだとしか思えないキャラが生きてた」と繰り返してきた漫画だから、ワノ国編でのイゾウやアシュラ童子、ペドロなんかもどうせ生きているんでしょ? と半信半疑だった。
だが、FILM REDでようやく理解した。
尾田先生は本気だ。
最終章では、おそらく出番が多いキャラも含めて、多くの死亡者が出ることになるのであろう。
何があっても人が死なない漫画から一転、尾田先生が尊敬するあのアニメ監督の異名で呼ばれる日も近いかもしれない。
はああああ。マジか……ウタ。つら……。
【楽曲】
公開前に一部で懸念されていた、「曲数が多すぎて、ウタのライブがメインで、麦わらの一味含めたその他のキャラはオマケになるのではないか」という懸念はまったくの杞憂だったね。
各曲がきちんとストーリーに組み込まれて、バランスよく配置されていた谷口監督の腕前はさすがと言うしかない。
ウタの声優さんとアド先生の歌の橋渡しも、上手い事やってたしなあ。
マクロスFのシェリル程とは言わないまでも、楽曲提供者がそれぞれ違うことから、曲によって変動するアド先生の歌声とウタの演技をこれ以上無いくらい組み合わせられていたと思う。
谷口監督以下、今作のスタッフだからこそ可能だった芸当だろう。
ただ、私が一番気に入っていた『逆光』はもう少し長い尺で聴きたかったな……という思いはあるが。
それでも、『逆光』が流れた際には、何度も聴いた歌にも関わらず、秀逸な演出と合わさって思わず身震いするほど良かった。
でも、本編見終わった後に改めて歌詞を読むと、この歌は海賊ではなく、ウタが自分自身に対する怒りを表した歌だったんだよね……。
はあ~~~~~……マジでしんどい。
【シャンクス天竜人説】
の記事を書きました。
【ジャンプ編集部はカス】
さて、一通り言うべき感想は語りつくしたので、ここからは細部の話をしたいと思う。
まず、ルフィがウタに扇動された市民から海水を浴びせられて脱力したシーン。
同様の場面は前々作の『FILM GOLD』でもあったのだが、本来の悪魔の実の能力者の設定と矛盾している。
悪魔の実の能力者が脱力する条件は、海水そのものではなく、「一定以上の部位を水に浸かること」だからである。
詳しくは、以下の記事を読んで欲しい。
とはいえ、この件について映画の監督や脚本家の知識不足を責めるつもりは無い。
彼らが日常的にワンピース読者だったとも思えないし、ワンピースに詳しくないと映画の監督や脚本を務めてはならないなどと言い出したら、本当に面白い映画は作れないだろう。
だが、ジャンプ編集部のワンピース映画担当は別だ。
こいつの役目の一つはアニメスタッフが把握しきれないワンピースの設定をフォローすることのはずだ。
「悪魔の実の能力者は海水を浴びただけでは脱力しない」などという設定は、ワンピースにおいて初歩の初歩の話であり、普段から読み込んでいないとしても、ちょっとネットでワンピースについて話すような人間なら誰でも知っている。
しかも、前々作の『FILM GOLD』においても同じ間違いをやらかしており、感想で散々突っ込まれていた。
つまり、現在のワンピ映画の担当者はワンピースに全く詳しくない上に、歴代の担当者から注意すべき部分について全く引き継がれていないことを意味している。
「バスターコール事件」を筆頭に、「ビブルカードのいい加減な表記」や「志賀丸太」事件など、多くの不祥事を経て読者の不信感を蓄積してきたジャンプ編集部であるが、やはり今もなお何も改善されていない現実を思い知らされた。
ワンピースが最終章に突入する今だからこそ、ジャンプ編集部はワンピースを金儲けの対象としか思っていないクズしかいねえという事実を胸に刻みたいと思う。
【トットムジカ】
ってなに……?
私は悪魔の実を古代文明が作った生物兵器だと思っているから、ウタウタの実の能力を拡張する為の兵器だと考えれば筋は通るのだが、それにしても異質な存在ではある。
まあ、映画はそういう設定も多いのは勿論そうなんだけど。
ウタウタの能力と組み合わせる必要があるだけ三大古代兵器には及ばないが、それでも強力な兵器という扱いなのかな。
『トットランド』と似たような名称なのが気になるところではあるけど、その由来を知らないから、特に被ってる意味はないのかもしれない。
【時系列】
宣伝の中でギア5の絵が載ってたことから、てっきりワノ国編後の話だと思ってたのに、まさかの「WCI編と鬼ヶ島突入の間」とかいう謎時空だったとは。
サプライズとしてヤマトが登場するんじゃないかと予想してたんだけど、そりゃ出てくるはずないよね。まだ出会ってもないんだから。
ヤマトが一味として登場したり、ギア5がお披露目される映画は次回に持ち越しか。
果たして何年後になることやら。
※ルフィがギア5になってるのが描かれているのを、2週目でようやく気付きました。これは「ユメワールド」だからこそ、現実世界ではまだ無い能力が発露されていたってことなんでしょうね。
【その他】
・「ウタを有力な海賊団に売り払う」というショボい目的の海賊が、ルフィはおろかビッグマム海賊団のことすら全く恐れていなくて笑ってしまった。
・ウタの世間知らずには理由があったけど、お前らは何なんだよ。
・予告編でも思ったけど、「権力の間」の椅子を一つ減らしたせいで板垣退助を立たせてギュウギュウ詰めの五老星に笑った。
・五老星が映像電伝虫で見てるのにウタウタの実の能力が効いていないのは何でなのかと疑問に思ったけど、単にウタが歌い出しそうな場面では「ヤベ! 早く映像電伝虫を消せ消せ!」とやってたからなのかな。
・本編で「能力を使う度に体力を削る」弱点が明言されたのはオペオペだけなんだけれど、映画のご都合でその弱点を付与されてしまったドアドアの実。
・「人質戦術が効くのは藤虎くらいで、この場にいたのが黄猿や緑牛だったら皆殺しにされるでしょ……」と思ったら、最後にはあの藤虎ですら市民の犠牲を厭わなくなるという。
・そりゃまあ当然の話で、藤虎は安易に犠牲を選ばない人だけれど、「人命は地球より重い」思想だったら海軍に入ってないだろうしね。
・ウタの世間知らずと甘い見通しがよく解る場面だった。
・結局のところ、皆を救いたいという想い自体は嘘ではなくても、己の罪から逃れる為の計画でしかないから、現実に帰りたいという声を無視してしまうんだよね。
・谷口監督だと『ガン×ソード』のカギ爪の男を思い出しちゃうぜ。
・カギ爪みたいな本物のクソ野郎になる前に、止めてもらえて良かった。
・ブルックの「スター歌手」設定が活かされるかな? とちょっと期待してたんだけれど、全く無かったね。
・まあ、その設定に関しては本編ですら死んでるくらいなので、仕方ない。
・はーあ。ウタ……つっら……。
・「なるほど! 見分色でウタの世界との連携を補助する為にカタクリさんを出したのね!」と思わせておいて、ヤソップの活躍に持っていき、カタクリさんにはそれ以降何の見せ場も無いのは正直「は?」と思った。
・カタクリさんが好きだから、こういう不当な扱いは許せない。