ぶっちゃけ微妙なところ。
第90話の感想はこちら。
【冥冥さん、買収されている説】
さて、私は↓の記事で書いたように、冥冥さんの事を敵側の協力者だと疑っている。
一方で、メカ丸こと与 幸吉の魂の残火は彼女を「完全にシロと確信しタ」と述べている。
その根拠として挙げているのが、「索敵に長けているにも関わらず、主戦場である渋谷ではなく明治神宮前にいること」と「呪詛師がこちらに向かっていること」の2つだ。
しかしながら、後者はともかくとして、前者は果たして根拠となり得るだろうか?
ニセ夏油と特級呪霊たちにとって、宿儺の器である虎杖は今後の計画における最重要人物なのである。
そんな彼が所属する冥冥班が、なぜか1組だけ他の3班と距離を取った場所に配置され、しかも単独でニセ夏油達の所に向かおうとしている。
十二分に怪しい状況だ。
少なくとも、冥冥さんをシロだと断ずる根拠にはなり得ない。
もしかするとメカ丸は既に冥冥さんの事を内通者だと疑っているのかもしれない。
【メカ丸による監視】
冒頭に貼ったコマを見ると、メカ丸は少年院での一件や、順平の高校での事件、そして八十八橋での伏黒の戦いを監視していた事が分かる。
これらの監視がニセ夏油達からの依頼によるものか、それともメカ丸が独自に行っていたものか、どちらなのかは不明だ。
とはいえ、順平の件や八十八橋の件はまだ「ニセ夏油や真人の動向を追う内に辿り着いた」で説明がつくが、少年院の一件はメカ丸が自分の意志で監視を行っていたとは考え難い。
「宿儺の力を試す」というニセ夏油の目的からしても、十中八九、彼からの依頼によるものだと見て間違いないだろう。
もし、メカ丸が本当に冥冥さんを「シロ」だと思っているのなら、ニセ夏油と特級呪霊らが宿儺を重視している事に全く気が付いていない事になるが、上記の経緯があったにも関わらず、彼がそこに思い至らないなどあり得るだろうか?
いくらなんでも鈍すぎる。
たった1人の力で誰にもバレずに巨大傀儡を建造し、死亡時の保険まで打つほどに抜け目のないメカ丸の頭脳が、そこまで冴えないとはさすがにちょっと思えない。
【虎杖と冥冥さんの分断】
つまり、メカ丸の本当の目的とは、嘘の分析を披露して冥冥さんを言いくるめ、虎杖と彼女を引き離すことにあるのではなかろうか。
ニセ夏油達の主目的が宿儺にある事を把握し、更には冥冥さんを既に内通者だと疑っているのであれば、彼女が虎杖を特級呪霊達の所に連れて行こうとしている今の状況は、直接の目的は分からずとも、とりあえず阻止しようとするだろう。
そして、虎杖と2人だけになった状況で、彼に全ての真相を語ろうとしているのだとすれば、全てに説明がつく。
……もっとも、虎杖もまた呪骸として黒幕の手の内にあるから、結果的にはメカ丸のこの涙ぐましい努力も無駄に終わる可能性もあるが。
それは夜蛾学長らがどれくらい普段虎杖から情報を引き出せるように作ってあるか次第かな。
【ミスリード】
さて、ここまで読んで「そもそも今週、冥冥さんが蝗GUYの等級を推量する心の声が描かれているじゃないか。この時点でシロのはずだろ」と思われた方もいるかもしれない。
だが、この描写は別に内通者疑惑を晴らすものとはなり得ない。
単純に「『虎杖単独で祓える程度の呪霊を明治神宮前駅に配置しておく』という情報は聞いていたものの、具体的な等級までは知らなかっただけ」と考えれば何ら矛盾しないからだ。
メカ丸の台詞と共に、そうやって読者の冥冥さんへの疑惑を逸らす為の作者のミスリードであろう。
【イヌ呪詛師】
冥冥さんがシロである根拠としてメカ丸が挙げたもう一つの方の呪詛師の件も、単なるブラフでしかなかろう。
他の3班は渋谷にいる状況で、冥冥班だけ別の場所にいて無事というのは怪しまれる恐れがある。
アリバイ作りとして、「敵との遭遇」という事実が欲しかったのだろう(メカ丸さえ来なければ、実際の戦闘は回避して済ませるつもりだったようだが)。
「そんな連中がウヨウヨいるのか。今までどこで何してたんだろ」という台詞には同感だけどな!
呪術協会はホント、この呪術師の取りこぼしを緊急に何とかすべきよ。
人手不足だと言う割に、野良呪詛師が多すぎる。もっとスカウトに力を入れろ。
まあ、もっとも今回の呪詛師2人は真人の改造によって強化されてそうな感じだから、本来は弱い連中なのかもしれないが。
【メカ丸の情報】
今さらだけど、現在の状況にメカ丸が詳し過ぎるよね。
五条封印後に始動したにも関わらず、読者すら知らなかった「五条を閉じ込める帳」や「術師を入れない帳」の存在を把握しているということは、おそらく事前にニセ夏油から詳細な計画の内容を聞かされていたのだろう。
「術師を入れない帳」はまだ「傀儡を使って侵入を試みたが(冥冥さんの烏と同じく)弾き飛ばされた」と考えることもできるが、既にその中に張ってある「五条を閉じ込める帳」は、五条封印後に動き出したのだとしたら実際に確認しようがないからね。
ニセ夏油も「本当は渋谷まで協力して欲しかった」的なことを言っていたが、その時点で既に詳しい作戦内容までメカ丸に説明済みだった訳か。
ここまで詳細に聞かされている以上、獄門疆を使った封印の事も知っていただろうから、ミニメカ丸が五条封印前に動き出せていれば、ニセ夏油達の思惑は完全に失敗していたのになあ。
【ニセ夏油の言葉の真偽】
ついでのようになってしまったが、今週ニセ夏油が語った台詞がどこまで本当かは怪しいものだ。
そもそも、彼は真人を含む呪霊達を見下しているのである。
彼らに向けた言葉の全てが真実だと考える方が難しい。
「入れ替え後の脳に肉体の記憶が流れ込んでくる」というのも、実際には夜蛾学長から夏油傑や五条悟の情報を聞かされている事を誤魔化す為のブラフではないかと疑っている。
五条をいつまでも封印完了せず、長々と語っていたのも、「敢えて聞かせる為」だったとしか思えないな。
【その他】
・Cの「術師を入れない帳」は、五条悟が来たのを確認した後にそれ以上の増援を防ぐ為に張ったんだろうな。
・待機していた3班もその帳の中に巻き込まれたとはいえ、あくまでも「入れない」為の帳であって出るのは自由だろうから、さほど危険が迫っている訳ではないかな。
・五条先生を封印した以上、特級呪霊達もこれ以上の無用な争いは避けたいだろうし。