つまり、サンジはクイーン様の甥っ子なのでは。
93巻の表紙で、クイーン様が金髪であることが明かされた。
外見的にはどちらかというと辮髪の中国系に見えた為、その髪色に驚かされたものだった。
当時はそれ以上何も思わなかったのだが、最近、アニメ派の方がクイーン様のその金髪に驚きを示しているのを見た時、とある考えが唐突に私の脳裏に浮かび上がった。
金髪と言えばヴィンスモーク家の本来の髪色である。
ひょっとして、クイーン様も元はジェルマ66の出身だったのではないか? と。
私がそう考えるに至ったのには当然理由がある。
その最初のきっかけは、第936話『大相撲インフェルノ』だ。
クイーン様が機械工作に秀でたキャラであることは、初登場時に自身の義手を弄っていたことから既に明らかであった。
その上で、彼が土俵に反応する高度な首輪を作っているのを知り、一つの仮説を導き出した。
即ち、かつてベガパンクやシーザー、ジャッジ王が在籍していたとされる「海外の無法な研究チーム」に、クイーン様も所属していたのではないか、という説だ。
機械工作に秀でた敵キャラクターが登場することはあまり無い。
その違和感もあって、WCI編にて「無法な研究チーム」が取り沙汰されたこともあり、ほとんど思い付きで言ってみたわけである。
ところが、その「思い付き」は第948話や第949話を経て確信に変わった。
クイーン様が独自の「ウィルス」すら作成していることが判明したからだ。
これはもう、素人の科学者モドキのお遊びでは済まない。それなりに学術的な研究を行っていなければ不可能だろう。
一方で、そんなクイーン様が作った「傑作」の一つであるミイラは、「割と簡単なウィスルだった」とチョッパーからあっさり切り捨てられている。
つまり、クイーン様は生物化学兵器の分野においては、シーザー・クラウンの足元にも及ばない事を意味する。
彼が「無法な研究チーム」に所属していたとしても、あまり優秀な科学者では無かったのだろう。
と、ここで意味をなしてくるのが、ヴィンスモーク家と同じくクイーン様が金髪だったことである。
ジェルマ王国国王たるヴィンスモーク・ジャッジが現在56歳なので、もし2人に血縁関係があるとすれば、兄弟というのが妥当だろう。
ジェルマ王国300年の無念の魂を背負い、その宿願を果たす為にとある研究チームに身を投じたヴィンスモーク家の王子が2人。
兄は血統因子の研究によって、戦争に有用なクローンの開発と、血統因子を使った人体の強化の研究を順調に進めつつあった。
ところが一方の弟が出来たものと言えば、簡単な機械工作や、ごくありきたりのウィルスの製造がせいぜい。
同じ科学の国であるジェルマ66の出自ながらも、兄と弟の科学者としての力量の差は明白である。
果たして、研究通りの成果を出せなかったサンジをあのように遇したヴィンスモーク・ジャッジが、思うように才覚を発揮できぬ弟をどのように扱っただろうか?
その答えは明白である。
兄から失望され、ジェルマ王国に無用の長物と蔑まれた弟は、「無法な研究チーム」の解散に際して、もはや祖国ジェルマには戻らず、一人海に出た。
そして、いつしかカイドウという名の海賊に拾われ、彼の部下として仕える事となった。
これがクイーン様の背景ではないだろうか。
これまでの戦闘において、ゾロが敵組織のナンバー2を相手にすることが多かったのに対して、サンジはナンバー3と戦う役割になりがちである。
また、特にこのワノ国編では、ゾロが「地獄の底まで斬り伏せる」という『閻魔』を手にしたことで、「堕天使族(仮)」であり「地獄のインペルダウン元職員(仮)」であるキングと戦う可能性はかなり高くなっている。
となれば、当然、サンジの相手はクイーン様になると考えられる。
想像してみて欲しい。
かつて兄から切り捨てられた弟が、同じくその兄に見捨てられた甥と決闘する。
これほど燃える『取組』は、長いONE PIECEの歴史の中でも数えるほどしか無いと私は思う。