ONE PIECE 第880話『退路0』感想【週刊少年ジャンプ44号】
※以下、ネタバレ注意
先に放送されたワンピース秋の1時間放送直前の特番にて、ルフィ役の田中真弓さんが、「この子達(ヴィンスモーク兄弟)は悪くない。(悪いのは)コイツ(ジャッジ)よ」と仰った。
確かに、イチジ・ニジ・ヨンジを人間としての情の無い化け物として生み出したのは、実の父たるジャッジであり、彼が親として最低のクズのマッドサイエンティストであることに疑う余地はない。
しかし一方で、田中真弓さんは一つ大切なことを忘れている。
それは、ジャッジもまた、父である先代、あるいは祖父の先々代の頃から、「ジェルマ帝国の復活」だけを教育され、その使命に己の生涯の全てを捧げてきたという事実である。
「血統因子」の操作を行うことで、我が子の感情すら奪い、完全なる殺人マシーンとして育て上げたジェルマの王は、無論、ジャッジが初めてだろう。
だが、彼もまた、300年もの長きに渡りジェルマ66が抱いてきた怨讐に、この世に生を受けたその時点から囚われ続けてきたのである。
そこには選択の余地などない。
生まれたときからジェルマの復讐を果たす為に育てられ、ジェルマ帝国の復活だけを目的として生きてきた。
それしか、生きる道を知らなかった。
さて、ジャッジと彼の息子達の間に、一体どれ程の違いがあるだろうか?
この事実を念頭に置いたうえでなお、「イチジ・ニジ・ヨンジは悪くないが、ジャッジだけは悪い」と言えるのか?
私にはとてもそうは言い切れない。
結局のところ、ジャッジという男も、ジェルマ66という妄執が生んだ犠牲者の一人でしかないのである。
とはいえ、逆に私は「誰も悪い人間などいなかった」などというつもりはない。
ヴィンスモーク・ジャッジという男は、狂った妄念のために息子達の感情を奪い戦闘の道具と化した、最低最悪の悪人であることに間違いはないのだから。
私が言いたいことは一つ。
「イチジ・ニジ・ヨンジも悪人じゃん」という、ただそれだけの話だ。
彼らにどんな事情があろうとも、ジャッジと同じく到底許す気にはなれない腐れ外道なのである。
サンジを幼少期から虐め抜いたこともそう。料理長のコゼットちゃんをボコボコに殴り倒したこともそう。
許せぬ。報いを受けて貰わねば収まらぬ。
父たるジャッジは既に報いを受けた。
生涯を捧げた夢が潰え、惨めな泣き顔を晒し、ビッグマムによってボロボロに叩きのめされた。
これだけ痛めつけられれば十分である。
次はヴィンスモーク兄弟の番だ。
彼らはまだサンジとのケリもつけていなければ、その罪に相応しい罰を作中で受けたとも言えない。
折しも、サンジはプリンちゃん等と協力し、ビッグマムの暴走を止めるためにケーキを作り直そうとしている。
しかし、ジェルマ66にとっては、このままビッグマムにトットランドで暴れ回ってもらった方が好都合だ。
要するに、サンジとプリンちゃん等をヴィンスモーク兄弟が襲撃し、ケーキ作りを妨害する展開になるのではないかと私は予想している。
そしてサンジはかつての自分や、コゼットちゃんが受けた理不尽な暴力の報いを、兄弟達に与えることになるのだろう。
その時こそ、サンジが本当の意味でジェルマ66での過去を清算できたと言えるのである。
ハンセイ(岩代俊明 待望論)@neoamakusaでもね真弓さん。
2017/10/02 20:57:43
それを言っちゃうと、ジャッジもまた幼い頃から父である先代の王に「ジェルマ帝国の復権」だけを教え込まれ、人生の全てをそれに捧げてきた犠牲者ってことになるんやで……。 https://t.co/Sa3eamedTT