週刊少年ジャンプ44号 感想はこちら
44号ラストの斉木の「おっふ」について、読者の間で解釈が別れているようだ。
単に「前向き過ぎる照橋さんへ呆れて出た、単なるツッコミ」という人もいれば、「今回の『おっふ』には特別な意味が込められている」と主張する人もいる。
おそらく、麻生先生は意図的にどうとでも取れるようにしたのだとは思うが、モノローグではなく初めて声に出しての「おっふ」だった点は重要ではないだろうか。
というわけで、私は後者、すなわち、「斉木が照橋さんに惹かれつつあることを初めて自覚したことを表している」という意見を支持したい。
相卜が挙げた「斉木の好みは、自分のスタイルを貫く芯のある女性」というのはでっち上げではなく事実であり(今週の内容からしてもそれは明らかだろう)、それが照橋さんにバッチリ該当することを、照橋さんの心の声でこのとき初めて斉木は自覚したのではないか。
そして同時に、照橋さんがギャルにならないよう、わざわざ自分が手を回した理由は何だったのか、ということにも思い当たり、動揺した結果思わず出たのが今週の「おっふ」だったのだと考えられる。
「スタイルを曲げない芯のある女性」という好みが、斉木か、もしくは相卜の考えた「照橋さんにギャル路線を止めさせるための方便」だったとしても、そもそも照橋さんに興味がないのであれば、彼女のギャル化を斉木が止める必要などないのだ。
あれで照橋さんが周囲に引かれるようになったりしていれば話は別だが、実際には照橋さんの人気はギャルになっても陰ることはなかった。
だとすれば、照橋さんのギャル化を止めたのは、斉木個人がそうなって欲しくないと望んだからに他ならない。
このことは、「スタイルを曲げない芯のある女性」は、本当に斉木の好みなのだということを逆説的に証明している。
彼は普段の照橋さんに対して一定の好意と、そして「執着」を抱いていたからこそ、今回のような行動に出たのである。
ギャル化を止める方便として使ったとしても、「スタイルを曲げない芯のある女性」を持ち出した時点で、それが本当に自分の好みだという自覚はあったはずだ。
しかし、その「好み」が照橋さんそのものであることにまでは気づいていなかった、あるいは気づかないようにしていた。
これまで目を逸らしてきたその事実を、ストレートに照橋さん本人の口(心)からぶつけられてしまい、とうとう口に出して「おっふ」してしまったのである。
これにより、照橋さんへの斉木の態度もまた変化が見られるかもしれない。
毎回安定して面白い照橋さん回だが、今後はより一層、二人のやり取りを楽しめそうだ。