5巻のオマケを受けて。
※以下、ネタバレ注意
==== かつて、虎杖が少年院の任務で死亡した際、五条先生は上層部の一部を指して「世襲バカ」と罵倒していた。
この事から、五条先生は身分の低い家柄からたまたま輩出された突然変異で、叩き上げの呪術師だと思っていたのだが、5巻のオマケにて、何と五条家は御三家の一つであることが明かされた。
つまり、五条悟もまた、ゴリゴリの世襲呪術師だったわけである。
そんな五条悟が同じ世襲呪術師に対して「世襲バカ」と呼ぶということは、普通に考えればその人物は、家柄だけで実力も無いのに高い地位についていることになるだろう。
ところが、西宮と野薔薇嬢によると、少なくとも男の呪術師は実力主義らしい(ついでに、女の呪術師も実力が必須なのは変わらない)。
だとすれば、五条先生に「世襲バカ」と呼ばれた上層部の人々も、呪術師としての実力は本物だということになる。
では、五条先生は一体どんな組織を志向しているのだろうか。
上層部が家柄でも呪術師としての実力でもなく、上層部に相応しい「指導力」「統率力」を持っていること?
いや、彼のこれまでの教育を見るに、そのような能力を重視している様子は見られない。
五条先生が重視しているものもまた、あくまでも「呪術師としての実力」なのである。
要するに、彼の目的とは「既に実力主義である呪術協会を、更に急進的な実力主義にすること」なのだろう。
御三家という出自のみならず、最強の呪術師である五条が上層部の一員ですらないという状況は、確かに実力主義が徹底されているとは言い難い。
現状に対して不満を抱き、本当に呪術師としての強さだけで評価される組織に改革しようとしている、というわけだ。
つまり、自らや特級呪術師を筆頭に、強力な呪術師から順に高い地位に就けるような組織こそが、五条悟の理想とする呪術協会なのだろう
いやそれもう、ただの宿儺じゃん!!
思い返せばこの時の会話でも、五条先生は宿儺の言い分を否定したりはしていない。
宿儺のように単純に「強い呪術師が好き勝手出来る」……なんてことは考えていないだろうが、いずれにせよこれは非常に危険な考え方である。
五条はもちろん、下手すれば(民間人を百人殺す前の)夏油傑、あるいは東堂のような人間すら上層部に入って権力を握ることになるかもしれないのだ。
これがどれほど恐ろしいことか、皆さんもお解りだろう。
だが、五条悟には解らない。
無邪気に、あまりにも無邪気に「実力主義」を追い求めているのである。
彼の歪んだ思想が、このまま作中是として終わるとは到底考え難い。
ゆえに私は幾度も主張しているのだ。五条悟はこの呪術廻戦という作品のラスボスとなるはずだ、と。