以前の感想で書いたことの焼き直し。
※以下、ネタバレ注意
第892話のプリンを見ると、想い人であるサンジがナミにデレデレした態度をとっているにも関わらず、全く嫉妬したような様子が見られない。
これはある意味、当然と言えよう。
そもそも、プリンちゃんがサンジに完全に落ちたのは、「サンジがナミを抱きとめるところを見たから」なのだから。
もちろん、好意を抱くようになった直接的な理由としては、サンジに三ツ目を「美しい瞳」と褒められたことではあるだろうが、プリンはその後もしばらくは彼の言葉を受け入れきれずに、自分は醜い化け物なのだと「抵抗」していた。
彼女がサンジに対する好意を表にだすようなったのは、サンジがナミを抱き止める場面を見てからである。
サンジとナミが親しげにしている姿を見て、サンジのことが好きになった。
しかし、ナミに嫉妬はしていない。
一見すると支離滅裂のようだが、これはプリンが「ナミに対するサンジの姿を見て、彼が本当に女性みんなに優しいのだと感じ取った」のだとすれば筋が通る。
つまり、この時初めてプリンは「自分に美しいと言ったサンジの言葉は、嘘でもなんでもなく心からのものだった」という事実を受け入れたのだ。
そして、女性に対しては誰にも優しいサンジの姿を見たからこそ、自分のことを「普通の女性」として扱ってくれていることをようやく実感できたのである。
好きな異性ができたとき、その相手から多かれ少なかれ「特別扱いされたい」と考えるのが通常の心理だろう。
しかし、プリンちゃんは幼い頃から自分のことを人間ではなく「三つ目の醜い化け物」なのだと思い込んできた。
それ故、プリンちゃんにとっては「サンジから特別扱いされる」ことではなく、「サンジから他の女性と同じように扱ってもらえる」ことだけで、既に無上の喜びになっているわけだ。
彼女がナミに対して嫉妬する様子が見られないのはその為である。
プリンは今、「醜い化け物ではなく、人間の女性として扱われている」嬉しさに浸っている。
彼女の中にはまだ「サンジに他の女性とは違った接し方をして欲しい」という想いすら芽生えていないか、あるいは、芽生えてはいてもそれを自覚できないでいるのであろう。