「あの一味はイカレた連中ばかりと聞いてるが」とか言っていたけど、最悪の世代で一番イカレてるのは多分この人。
※以下、ネタバレ注意
ビッグマム暗殺計画は、シーザーを捕らえたときから始まっている。
ベッジが立てていた本来の計画では、麦わらの一味を引き入れることは想定されていなかった。
その場合当然のことながら、現在ビッグマム海賊団と戦っているルフィ、ジンベエ、サンジ、ペドロ、ブルックはいないため、ファイアタンク海賊団のみでカタクリを初めとしたビッグマム海賊団と戦うことになっていたはずだ。
ベッジはそれを「3秒も生きてられたら正直奇跡だ」と分析している。
イカレているとしか言いようがない。
ルフィのように最初から勝算に頓着しないのではなく、冷静に成功率の低さを見極めたうえで、それでもなお実行に移そうとしていたのだ。
そのうえ、ブリュレを使った逃走経路もないから、奇跡的に生き延びてビッグマム暗殺に成功したとしても、奇声から解放されたビッグマム海賊団に終われながら、船まで辿り着かねばならない。
そんなもの、3秒持ちこたえるどころではない奇跡であろう。
しかも、これほど無謀な暗殺計画を企てた理由は、「ビッグマムの死により、残されたビッグマム海賊団が血みどろの内紛を起こすところを見たいから」ときている。
そんな娯楽のために無謀な暗殺を決行するベッジ自身もそうだが、その狂った頭目に付き従い、死ぬ確率が高い作戦を喜んで受け入れるファイアタンク海賊団の面々も相当なキチガイである。
ここ最近のベッジの描かれ方だと、まるで彼がルフィの突飛な行動にツッコミを入れる常識人に見えるが、とんでもない。
ルフィなど足元にも及ばぬ「冷静にイカレた」海賊がベッジであり、それに従うファイアタンク海賊団はこれまでに登場した組織の中でも、最も危険な狂気の軍団だと言えるだろう。
大義も何もない無謀な計画に文句も言わずについていくくらいなので、ベッジは余程部下達から慕われているようだ。
かつて頂上戦争で白ひげが傘下の海賊団を売ったという情報が流れた時、ベッジは「白ひげが仲間を売っただと!? バカバカしい!! それをしねェから奴は生ける伝説なんだ!!」と一蹴していた。
白ひげの生き様に対する敬意が感じられるこの台詞から考えると、ベッジもまた仲間のことは決して裏切らない、親と子の仁義を持った男なのかもしれない(まあ、もっとも諫言した部下をフォークで刺したりしているが)。