ネオ天草のジャンプ胎界主ブログ

ジャンプ感想を主に書いています。

幻影旅団の異常性

携帯電話から記事を書くと文字に色をつけたりはできないんですね。不便だ。

さてハンタのコミックを読み直している中で考えたことを徒然と。

幻影旅団は冷酷な殺人集団です。

クルタ族の一件がクラピカによって語られた通りであれば、大人しく暮らしていた無辜の人々を襲撃し、女子供も容赦なく殺戮、目玉をえぐり盗ったわけですから、少なくとも大多数の日本人の価値観からすると、彼らは人間のクズであると言えるでしょう。

ただ、作中で彼らが殺した、つまり読者が殺害シーンを見たのは、マフィアという「悪党」や、念を使う「一定の覚悟を持つ(はずの)戦闘員」だけなので、それが幻影旅団への読者の高い好感度の一因になっているのでしょう。

そういう意味で非常に巧妙なキャラ付けです。

それはともかく。

彼ら“クモ”が無辜の民への殺戮すら何とも思わない(ウボォー談)ような、「普通の人々」とかけ離れた価値観を持つようになった原因は流星街出身であることによると匂わされ、自分もそれで納得していました。

しかし最近、どうも旅団と流星街の一般的な価値観にもまた大きな開きがあることに気がつきました。

流星街のエピソードの中で、彼らの同胞が冤罪で3年間投獄されたことへの報復として、裁判に関係した三十名以上の人間を自爆という手段で殺害したという話がありました。

それ自体はこの話をしたハッカーが言うようにに確かに異常です。

流星街が(我々の考える)一般的な価値観から外れていることは間違いありません。

ですが、この話は裏を返せば「同胞の冤罪が(偶然に)判明するまで、流星街は彼の投獄を黙認していた」ということになります。

このことから流星街は、「流星街の住人が、別の社会の法で裁かれた場合、その判決の不当性が明らかにならぬ限りは流星街はそれを受け入れる」という方針であると考えられます。

では、幻影旅団の場合はどうでしょう。

クラピカやマフィアンコミュニティーへの対応からも明らかなように、彼らは他者の法など認めません。気にもしないでしょう。

一応は他の社会の法を尊重する流星街とは全く違うと言えます。

また、流星街がキメラアントに襲撃された際も、彼らの議会は報復の基準として「変化させられた同胞が元に戻れるかどうか」ということを想定していました。

これも、クモには考えられない方針ではないかと思います。

もし旅団のメンバーが念能力で変化させられれば、その時点で彼らはその敵を殺しにかかるでしょう。

流星街と旅団の価値観にはこれほどの乖離があるわけです。

レオリオも言っていましたが、まさに旅団は異質な流星街の中でさらに異質な存在なのでしょう。

ゆえに、幻影旅団のメンバー達がこれほどまでに歪な精神構造を持つに至った理由は、単に「流星街出身だから」では説明できない部分があります。

もちろん、流星街出身であることも一因ではあるでしょうが、「ではなぜ他の流星街の人間と比べて、これほど異常になったのか」という疑問も生まれるのです。

一体彼らはどういう経緯でこのような人間と化してしまったのでしょう。

彼らの生い立ちがそうさせたのだとすれば、他の流星街の住人達の知らないどういった経験を彼らは味わったのでしょうか。

どうやら、クロロ、ウボォー、ノブナガ、マチ、シャルナーク、パクノダ、フランクリン、フィンクス、フェイタンの9人が創立時からのメンバーで流星街の仲間達のようなので、クモ設立前からの付き合いの中で今の彼らの精神性が培われていったのか。

他者への情けを見せず、旅団以外の一切を尊重しないその姿勢を、しかも複数の人間が同時に持つというのは並の経験では起こりえないことだと思うのですけども。

それこそ特殊な訓練を幼少時から受けてたとしか。

いや、全員が念能力の強力な使い手であることを考えればありうるのか?

他のメンバーにしても包帯グルグルの人以外は出生が不明なので、彼らも流星街の後輩なのかもしれませんね。

そういえば包帯グルグルの人は少数民族の戦死の末裔らしいですが、その誇りを持っていながら、女子供を皆殺しにして目玉を抉り盗るなんて連中に加わっていることに羞恥心はないのだろうか。

それとも彼の部族にとっては、他民族は獲物でしかなく、女子供や非戦闘員を殺すことに罪の意識を抱くような文化はないのでしょうか。

彼がクモに加わった経緯は興味深いですが、これ以上の描写はないでしょうね。多分。

あまり関係のない話に飛びますが、団長であるクロロは、ノストラードの娘と話したりゾルディックと戦っていた、髪を下ろした時の姿こそが素なのだと、これも最近気がつきました。

旅団を作って自らを団長とするまでは、鎮魂歌を奏でているときのモノローグでそうだったように、ウボォー達年上の仲間のことは「さん付け」で敬語だったんでしょうね。

最初に読んだ時は「いつも呼び捨てだったのに何で急に『さん』付けなんだろう」と疑問に思っていました。

クロロがたしか26歳で、ウボォーはノブナガと同じ30歳かなあ。だとすると4歳差か。

それでも昔からクロロが仲間内の中心的存在だったのでしょうから、すごいカリスマです。

普段の彼の言動が「演じている」姿だということは、旅団設立を宣言している回想の場面で、マチが「あれ、クロロ・・・?」と戸惑っていることからも読み取れます。

あの時から彼は団長としての姿を団員に対して常に示すことを己に課し、口調も変えたのでしょう。