科学者として思うところがあったのだろう。
【苦悩】
オハラ事件の際にクローバー博士を会話をしていた五老星はサターン聖だったことが、エッグヘッド編におけるロビンのモノローグで判明した。
もとより、攻撃命令を下した際に描かれたシルエットはサターン聖の姿だったわけだが、会話そのものが五老星が交互に話していたのではなく、サターン聖が1人で話していたようだ。
しかしながら、エッグヘッド編を経た今となっては、これは些か意外な描写と言える。
サターン聖は「人間の命など虫だと思え」と言い放つなど、五老星の中でも特に冷酷な人物として描かれていたからだ。
(ちなみに私は赤犬がオハラで避難船を撃ったのは、サターン聖の非公式命令に従ったからだと考えている)。
そんな彼が、オハラへの攻撃を決断した際には、頭を抱え、苦し気な表情まで浮かべていたのだ。
【命の餞別】
これはおそらく、クローバー博士やオハラに集まった考古学者たちが、実績のある有能な人物だったからだろう。
サターン聖は科学者である。
政府として廃棄と決めたエメトを、密かに隠して研究するよう命じた程だ。
きっと、オハラの学者達の研究に対しても、それなりに敬意を抱いていたのだと考えられる。
有象無象の人間は「虫けら」であり、死んでもなんとも思わずとも、優秀な人間を手にかけるのは、サターン聖にとっても辛いことだったわけだ。
ベガパンクの抹殺を「残念」と語ったのも、本音だったのだろう。
【オハラの無念】
五老星たちが「オハラの無念」と口にしたのを、「グロテスク」だとする感想を当時よく見かけたが、サターン聖ですら断腸の思いでオハラを滅ぼしたのだとすると、彼よりも穏健な他の五老星たちにとってはより一層、辛い決断だったろう。
オハラの学者達の無念さに思いを馳せたのは事実なんだと思う。
彼らとて、滅ぼしたくて滅ぼしているわけではないのだから。