そう考えるのが一番自然な気がする。
【北米州】
現在、軍閥競争を繰り広げるルキフグ派の四大公軍は全て北米州を拠点としていることが、ドイツ帝国シフト総統であるアーデルハイト総統の口から語られている。
北米州には東部・西部・北部・南部方面にそれぞれの大公軍に属する代行組織が存在するということなのだろう。
しかしながら、ルキフグ派の領地は北米州だけでなく、南米州や大洋州にも及ぶはずである。
一体なぜ、北米州だけに代行組織が集中しているのだろうか。
【モロク大公領】
当初は単純に北米州=旧アメリカ合衆国が超大国であるが故に、利便性を考えて北米州のみに集中しているのかとも考えた。
だが、魔王にとって国の豊かさがさほど重要だとも思えないし、そもそも各軍閥の領土はアメリカ合衆国が建国される前から決まっていたはずだ。
実際、ベリアル派大公軍は文明の発展度合いとは無関係に、大欧州と阿州に領土を別け合っている。
そこで発想を逆転してみた。
ルキフグ派の四大公軍は北米州を選んで集まっているのではなく、北米州しか与えられなかったのではないだろうか。
即ち、南米州と大洋州は、旧モロク大公軍=現モロク独立部隊が全て所有しているというわけだ。
その他の4つの大公軍は、狭い北米州に押し込められたのである。
【アスタロト大公軍】
なぜモロク軍だけそのような特別扱いされるのか、おかしいではないか、と思われる読者もいることだろう。
だが、これはモロクだからではなく、アスタロトだったから特別な待遇を受けていたと考えれば良い。
そう、モロク独立部隊は、君主制度が成立する以前は、アスタロト大公軍だったのである。
君主たちはかつては大公の地位にいた。
つまり、アスタロトもまた魔王達が所属する大公軍を所有していたことになる。
それこそが現在のモロク独立部隊なわけだ。
オセ軍やパイモン軍を見ても、貴族魔王達は明らかに大公に属し、忠誠心を抱いているのだから、そうでなければヴァラク子爵閣下がアスタロト君主陛下に仕え、崇拝しているのはおかしい。
君主制の成立によってアスタロト大公が君主の位に昇格し、公爵だったモロクが大公軍を引き継いだ。
そして、モロク大公猊下が精神崩壊したことで、大公軍から独立部隊に格下げされた後も、所属魔王たちはアスタロト君主陛下に仕えているのだろう。
君主という地位に選ばれるに相応しく、アスタロトはルキフグ派五大公の中でも別格の実力と実績を有し、その結果として南米州・大洋州の広大な領地が与えられていたわけである。