ネオ天草のジャンプ感想日記

ジャンプ感想を主に書いています。

【胎界主】インドとベール派新大公、そしてパイモン軍に関するアレコレ

 例の大インド帝国シフトに関する補足を読んでの考察。

【辻褄合わせ】

 胎界主第1部では大亜州の一部であり、ベール派領とされていたインドが、第3部のシフト総統議会ではベリアル派領となっていた。
 これについて私は単純に、「ベール派を吸収したルキフグ派が、ベリアル派にインドを恵与した」と解釈していたのだが、この度、尾篭先生より驚愕の真相が明かされた。

 曰く、「インドがベール派だってことを忘れていた」そうだ。

 そして、その辻褄合わせの為に足された設定がこちら。

taikaisyu.fanbox.cc

 (正直、3時間以上かけてこんな複雑な設定を作らずとも、普通に「バランス重視の副王がベリアル派にインドを譲った」だけで筋は通ったと思うが)。

 インド八人衆がベール派の選抜に参加していたことを覚えていれば、こんな間違いはしないはずなので、ネットの胎界主読者の間で延々語り継がれているインド八人衆の存在も、当の尾籠先生にとっては大した印象は残ってなかったんだな……。
 当然と言えば当然の話だけど。

 

【2人の大公】

 この辻褄合わせの中で私が最も気になったのが、

消される前は、ベール派にも二名の大公がいて
ベールフェゴール行方不明の後はその直下の公爵魔王と
軍閥競争してましたが二人とも消されたため

 と、かつてのベール派について補足した部分だ。
 この説明を読んで私が真っ先に思ったのが、

「え!? 八大公は元々は十大公だったの!?」

「ベール派の大公が最初は3人だったのなら、本来の最弱派閥は実は大公が2人しかいないベリアル派だった!?」 

 という二つの疑問である。
 だが、冷静に考えてみれば、これはどちらもあり得ない。
 3000年前のソロモンキングダムの時点で既に、八大公という呼び名が使われているからだ。
 ベール派の大公はベールフェゴール猊下ただ1人だけだったことになる。
 また、上記の通り私は当初、「消される前はベール派には(ベールフェゴールの他に)2名の大公がいた」と解釈していたのだが、ベールフェゴールは現代でも大公の1人と位置付けられている。
 つまり、『ベール派にも二名の大公がいて』とは、ベールフェゴール猊下と、他にもう1人大公がいた、という意味なのである。
 要するに、このもう1人の大公は、ベールフェゴール猊下が行方不明となった為、代わりとして新たに大公に任命されたわけだ。
 魔界は一時的に『九大公』だったことになる。

 

【軍閥競争】

 さて、このベール派の新大公(以下、Aと呼ぶ)は、その後のベール派の主導権を巡ってベールフェゴール直下の公爵(以下、Bと呼ぶ)と軍閥争いを繰り広げていたらしい。

 わざわざBのみ「直下」と書いているのだから、逆に言えばAはそうではなかったのだろう。
 ベールフェゴール健在の頃のAは、Bよりも立場が弱かったのだと考えられる。
 侯爵だったのかもしれないし、同階級の公爵ではあっても、ベールフェゴール猊下からの信頼度に差があったのかもしれない。

 いずれにせよ、新大公を選ぶにあたり、本来はベールフェゴール猊下に次ぐ地位にいたB公爵は除外されたことになる。
 当然と言えば当然ではある。
 ベールフェゴールはソロモンの悪夢というカタストロフィを引き起こした元凶とされているのだ。
 その彼と近かったBも連座的に責任を問われ、昇進の機会を失ったのだろう。

 だが、格下と思っていた魔王にいきなり階級を追い抜かれて面白いはずがない。
 そこでBは自身と同じくベールフェゴール猊下に近しかった魔王を率い、新大公となったAに対抗し始めたわけである。
 いわば、現在の主流派たる新大公派と、かつての主流派だった親ベールフェゴール派の勢力争いと言える。
 主たるベール大主陛下及びベールゼブブ君主陛下が狂気に陥っており、部下達を掣肘できなかったことも、軍閥競争勃発に影響していそうだ。

 

【弱小派閥の悲哀】

 貴族魔王の総数は60名とされている。
 ベールゼブブ陛下は「ことによると本当の総数はそれ以上かもしれない」と推測していたが、階級一覧に(現在は60名に満たない)と注意書きされているのはソロモンに消された魔王たちの分であろう。
 魔王の消失を作中の人物は認識できていないことから、この注釈は作者自身によるものだと考えられるので、貴族魔王の総数が60名なのは間違いないはずだ。

 となれば、各大公軍に属する魔王は(軍団長の大公も含めて)7~8名ということになる。
 即ち、各派閥の貴族魔王の総数は以下の通りだ。

 

ルキフグ派:35~39名

ベリアル派:14~16名

ベール派:7~8名

 

 ベール派の軍閥競争とは、魔王の数が3対3、ないし4対3の(他の派閥と比べれば)小規模な争いだったと言える。
 しかも、ベールフェゴール大公ですら、ルキフグ派で換算すれば侯爵魔王程度の強さだったのだから、A大公やB公爵などはそれ以下、アロケル伯爵程度だったと思われる。

 

【パイモン大公軍の領土は?】

 さて、ベール派の話はこのくらいにして、現在大インド帝国のシフト-Bが属するパイモン大公軍について考えてみたい。

 シフト総統議会の場において、東部方面以外の北米シフト総統が来ていない理由は語られたものの、シフト-Bの総統が2人しかいないことについては一切触れられなかった。
 どうやら「シフト-Bの他の総統が来ていない」のではなく、「シフト-Bには2人しか総統がいない」ようだ。
 つまり、大欧州のシフト-Bは、ドイツ帝国のハイジ・アーデルハイト総統が全域を統括しており、それは即ち、彼女が属するアモン大公軍が欧州の全てを支配していることを意味する。

 では、今回の再編成でようやくインドを正式に領土として受領したパイモン大公軍は、それまでどこを支配域としていたのだろうか?
 ずばり、阿州ことアフリカ・アラブ地域であろう。
 大惨事において領地を失い、そこから数百年間、借り物のベール派領インドを代替地としていたわけだ。
 パイモン大公猊下にとっては、耐えられぬ程の屈辱だったろう。

 阿州を失ったのはレイスが2体もやってきた不幸と言うしかないが、そもそも、大欧州と阿州とでは発展度合いにもかなり差があったはずだ。
 パイモン猊下に関しては健在の六大公の中では最弱と思しき描かれ方をされているが、アモン大公猊下とは同じベリアル派大公であっても、両者の実力差は極端に大きい可能性が高い。

 上位魔王に本格的に焦点が当たるようなってきたら、今で言うベリト閣下のような扱いを受けそうな予感がしてならないのであった。