ちょっと思っていた感じと違った。
100点満点で70点。
※以下、ネタバレ注意
予告を観たときには、もっと復讐劇に焦点が置かれたアクション映画を想像していたんだけど、思いのほか静かな映画だった。
どちらかと言うと、過酷な環境で生き延びようとする主人公の姿を通して、自然信仰というのか、精神世界的なものを描いた作品だったと思う。
退屈……、というわけではないものの、予想していた雰囲気と違ったこともあり、やはり刺激には欠けていて、いま一つ気持ちが乗らなかったかな。
ただ、映像は素晴らしいし、白人入植者による侵略時代の殺伐とした空気は興味深かったから、観て損はない映画ではある。
ちょっと気になったのが、ディカプリア演じる主人公グラスが、役どころの割にあまり有能では無かったこと。
例えば、冒頭で無警戒にも銃声を鳴らして狩りをしたことなんかは(実際にそのせいでインディアンを呼び寄せたのかどうかはともかく)、フィッツジェラルドの言う通り愚かな行動としか思えなかったし、グラスが示したルートに逆らって砦を目指すという、普通なら死亡フラグとしか思えない行動をとった仲間たちが無事帰還していたり、グラスの指示で二手に別れたせいで仲間が殺されたりと、主人公の格を落とすような描写がやたら多かった。
「インディアンの女と結ばれ、隊で唯一、山に精通している」という設定なら、普通はもっと万能なキャラクターでもおかしくなさそうだけど、これは意図的にやっていたのかな。
フィッツジェラルドも極悪人というわけではないし、グラスが完璧な人間ではないことを強調することで、「主人公が善で、仇が悪」という構図からわざと外そうとしたのかもしれない。