獏さんやお屋形様が五回戦で何を狙っているのかを考察。
我ながら、かなり近いところまで辿り着いたんじゃないかと思う。
週刊ヤングジャンプ15号 感想はこちら
※以下、ネタバレ注意
昔のヤンジャンを読み返したところ、ラロがギリギリまで空気を吸った直後の一回戦開始時には、今週出てきたガラス片が既に描かれていた。
そして、まさにラロが最後の空気を吸っている最中、獏さんの手元に「ガンッ」という擬音が書かれている。
おそらく、ガラス片はこのタイミングで壊された何かの一部ということなんだろう。
次に、この前後で描かれたモノの中で、円形のガラスが付いていそうなものを探してみたところ、エア・チップに接続するレギュレーターのメーターくらいしか見当たらなかった。
(メーターがガラスで覆われていたかどうかは正直言って絵からは判断できないが、他に該当するものも無いし、おそらく間違いないと思う)。
これらのことから考えると、獏さんはレギュレーターのメーターを覆っていたガラスを破壊し、針を動かすことで、空気残量を表す数値を自由に操作しているのではないだろうか。
すなわち、まだ空気が残ったままのチップを、メーターをゼロにすることで、さも「使用済み」であるかのように扱い、温存しているということになる。
ラロは勝負を降りた場合の残りチップを同数だと考えているから、もし獏さんが空気の残った「使用済み」チップを隠し持っていれば、フォールドした時点でラロは死亡が確定する。
これこそが課長(真鍋立会人)の言う「地雷」だと考えられる。
一回戦直前の獏さんとラロの行動の違い。
「二人の違いが後に大きく響く」という語りは、ラロの「ギリギリまで空気を吸う」という行動が裏目に出ることを暗示しているのだろうとは思っていたが、これは「ラロが見ていない隙に、メーターを壊したこと」を指しているのかもしれない。
ただ、ラロにフォールドさせてサドンデスに持ち込むことが獏さんの策だとすると、お屋形様と梟の勝負が全く関係なくなってしまうのが難点ではある。
そこで思ったのが、ひょっとすると、このメーターの仕掛けすら、ラロに気づかれることが前提なのではないかということ。
実際、ラロは獏さんが何かを仕掛けていることを警戒しているし、「ラロならば空気残量の操作を見抜くだろう」と想定していてもおかしくはない。
つまり、獏さんの真の狙いは、フォールドすれば死ぬことに気づいたラロを勝負に引きずり込み、そのうえで賭けに勝利することではないだろうか。
お屋形様が四回戦でわざとミスをすることでカードを温存していれば、この五回戦でストレートフラッシュを作ることが可能になるはず。
そして、お屋形様は少なくとも三回戦終了後には、「四回戦はわざとミスする必要がある」ということを知っていたと思われる。
四回戦直前のこの場面。
「最強役を作る」ことを考えている梟に対し、お屋形様が考えていたのは「『だが』、ダメだ。アレ(ビッチペイン)はもう喰らえない」というものだった。
『だが』という逆説の前には、「四回戦はわざとミスをしなければならない」という言葉が入ると考えれば筋は通る。
つまり、お屋形様は「獏を勝たせるためには、四回戦をあえてミスし、カードを温存したうえで五回戦でストレートフラッシュを作る必要がある」ことにこの時点で気づいていたのだ。
しかし、ビッチペインによる死痛への恐怖から、それを躊躇していたのだろう。
そこで、完全体となったお屋形様の出番である。
彼のこの台詞。一見すると、「梟にミスさせなければならない」という意味だと解釈できる。
その後、梟がミスをしたことが描かれたことから、「お屋形様が梟のミスを誘発した」と考えた読者が多いのではないか(実際、私がそうだった)。
しかし、これはおそらくミスリードだ。
お屋形様が「何としてでもミスをさせねば」と画策している対象は梟ではなく、「お屋形様自身」だと考えらえる。
ようするに、ビッチペインを恐れる自身の本能を抑えつけることで、意図的に四回戦をミスしようとしているのだ。
死痛を食らうことを拒絶する自らの「防衛本能」を打破し、敢えて死痛を受ける選択肢を選ぶ。
常人には絶対に不可能なはずのこの行動こそ、お屋形様の言う「己に根差す機能を自由自在に操ること」なのだろう。
真鍋立会人の驚愕も、どんな人間であっても心折れるはずのビッチペインを、自ら受けることを選択したことへのものだったのではないか。
そしてまた、梟が四回戦でキングのフルハウスの作成に「一度は」失敗したのも、梟自身が意図的に犯したミスなのかもしれない。
上述のように、彼は四回戦開始前の時点では最強役を作ることを志向していたものの、四回戦の間に何かに感付いた。
例のごとく「理由」は分からないが、おそらくこのときに梟は、「四回戦で嘘喰いは63よりも強いカードを出してくる可能性が高い」と推測したのだと思う(もしかしたら、「25」のストレートフラッシュということまで読んでいたかもしれない)。
結果、彼は四回戦を捨て、敢えて使用済みのハートのキングを選んだ。
しかし、ここからが問題だ。
両者共にミスをした場合、再び100秒が与えられ、役作りをやり直すことになる。
五回戦の開始が遅れたことからも、今回「やり直し」があったことはまず間違いないだろう。
その結果、どうなったか?
私はここで、梟が折れてしまったのだろうと考えている。
四回戦で獏がラロの最強役を上回るカードを出してくると予想した梟は、あてえミスをし、五回戦のためにカードを温存しようとした。
ところが、お屋形様側も同様にミスをしたため、再び役を作り直すことになった。
完璧でない梟は、二度目は本能を打ち破れなかったのではないだろうか。
獏さんがここで切り札である「25」を使用すると梟が考えていたのならば、例えここで最強役を成立させ、五回戦でクイーンが使用できなくなっても、五回戦で「26」に負けることはありえない、と、ここまで思考を巡らせたのかもしれない。
いずれにせよ、梟は「ミスを選んであえてビッチペインを受ける」ことを止めてしまったのだと思う。
一方で、お屋形様は再びミスを選択し、三度目の死痛を食らった。
そして、梟は四回戦の結果を聞かされ、獏が出したカードが自身の予想を裏切るものだったことを知った。
お屋形様や梟がどうやって残りの手札を推測できたのか? ということを筆頭に、色々と疑問は残るものの、自分の頭ではこの辺までが限界である。
とはいえ、それなりにイイ線はいっているのではないかと思うので、今後の答え合わせを期待しながら待ちたい。