果たして今回の話を読んで四葉さんの恐ろしさに気付けた読者が何人いるか。
五等分の花嫁 第89話『私と姉妹②』感想はこちら
※以下、ネタバレ注意
【ストーカー】
一見、四葉さんの一方通行の想いの切なさを感じさせるこの台詞。
だが、彼女のこれまでの所業を考えると、その印象は一変する。
思い返してみて欲しい。
今回描かれたように、五月が家出して上杉家に転がり込んだ夜の会話を草むらで盗み聞きしていたのは四葉だった。
夜中に偶然、そんな場所にいるわけがないから、四葉は最初からフータローと五月を尾けて草むらに潜り込んだことになる。
しかし、彼らが夜中にあの公園を出歩いたこと自体は、あくまでも五月の思い付きなのである(四葉と示し合わせていた訳では無いことは今回確定した)。
つまり、86話の感想でも書いたように、四葉は上杉家に五月が転がり込んだことを知り、夜中まで家の前で見張っていたことになるのだ。
こっわ……怖すぎるでしょ……。
極めつけは、中野 四葉、全ての黒幕説で言及した、千羽鶴事件である。
彼女はフータローの誕生日の為に、模擬試験の勉強の合間を縫って、千羽鶴を折り続け、それをプレゼントした。
さて、上記のことを踏まえて、もう一度画像を見て頂こう。
私の言わんとすることが理解できるだろう。
【演技】
四葉の「私、嘘つくの下手みたいで」という発言。
端的に言って、これ自体が嘘である。
そも、今週の冒頭からして、フータローのことを知らないフリをしているのだ。
これを嘘と言わずして何と言おうか。
フータローに「この中に、昔俺に会ったことがあるよって人―?」と問われた時も顔色一つ変えてはいない。
「好きだからというのは嘘」という嘘を吐いた時もこれ以上ない程の笑みを浮かべていた。
お分かりだろう。
四葉は嘘が上手すぎるのである。
要するに、彼女は「自分が嘘吐きだと自覚していない嘘吐き」なのだ。
己すら騙す嘘と演技によって、本当の気持ちを覆い隠し、自分は純粋に姉妹の為に行動しているのだと思い込んでいる。
だが、実際にはフータローへの想いを抑え込むことができず、上記のストーカー行為や異常なプレゼント、そしてあまりにもあざとい頬への舌舐めといった行為に及んでいる。
その矛盾と欺瞞が行きついた果てが、シスターズ・ウォーにおける黒幕的な振る舞いだった。
四葉は姉妹達を後押ししているのだと(己自身にさえ)思い込ませる傍ら、姉たちの関係に亀裂を生じさせ、フータロー争奪戦を膠着状態へと誘導した。
要するに、今回の90話は、「本当の四葉(表編)」とでも言うべきものだろう。
彼女自身でさえも無自覚だった(あるいは心のどこかで自覚していながら目を逸らし続けていた)本当の振る舞いが描かれる、裏編が今後描かれていくはずである。
【その他】
・よくフータローだと分かったな、あんた。凄すぎる。
・フータローと距離を取ろうとして「上杉さん」とよそよそしく呼んだのは良いとして、家族以外には同い年でも敬語という口調になった経緯が分からない。
・「ふーん」「本当に???」→「よかったよかった」
・そんな訳がないんだよな。
・一花は最初にフータローに会ったのが四葉だと覚えてたんだ。
・ということは、四葉の演技を真に受けて、彼女は覚えていないと思い込んじゃったわけね……。
・88話の感想でも書いたが、幼少期にフータローを横取りしたことを四葉に持ち出された時も、本当に何のことか思い当っていない可能性が高そう。
・内心、はらわた煮えくり返ってたろうな、四葉さん……。
・ボートの「零奈」の時点で五月が演じていたという発想は無かった。
・三玖は専門学校かあ。
・四葉もこれで、普通の勉強に拘る必要など無く、得意を活かせば良いんだと気づいて欲しいけど……。
・何もかもヘボ監督が悪い。
・助けて陸上部の部長ーー!!
・いや、真面目な話、部長が在籍してる陸上の強豪大学に進学というのが四葉のゴールな気はする。
・回想以外で一花の出番が無かったので貼っておく。
一花、真の花嫁説【五等分の花嫁 9巻感想】