河松こそ日和様と共に20年前に取り残された家臣ではないかという話。
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※以下、ネタバレ注意
935話にて、兎丼の囚人採掘場に幽閉されている男が河松だということが明かされた。
ここで、以前描かれた河松、アシュラ童子、傳ジローのシルエットを確認してみよう。
向かって右の男は、おそらく髪型からして「鎌ぞう」と同一人物だと考えられるから、この男が傳ジローなのだろう。
となると、残った左端の人物こそが河松ということになるわけだが、そのシルエットからするとどうやら比較的背の低い、笠を被った男のようだ。
このシルエットは、日和様と共に過去に取り残されたもう1人の家臣と合致する。
私も今回になってようやく気が付いたのだが、河松こそが何らかの理由で未来に飛ぶことができずに、おでん城に残された家臣だったのである。
また、アシュラ童子の回想にて、彼と共にカイドウと戦っていたのは鎌ぞうこと傳ジローだと思われる。
さらに錦えもんの話と総合すると、どうやら「赤鞘九人男」のうちアシュラ童子と傳ジローだけは当時別行動をとっていたようだ。
つまり、おでん公が処刑された当時、「錦えもん・カン十郎・雷ぞう・菊・河松・イヌアラシ公爵・ネコマムシの旦那」の7人は花の都で処刑の様子を目撃。
主の処刑が執行されたことで、残された主家を守る為に九里のおでん城へと下った(途中、イヌアラシ公爵とネコマムシの旦那がオロチ様の部下に捕まる)。
一方、アシュラ童子と傳ジローの2人は、おそらくはおでん城を守る為にカイドウと対決するも敗北。
その後、カイドウ率いる百獣海賊団がおでん城を襲撃した、という流れだったのだろう。
そして、おトキ様の能力発動後、残された河松・アシュラ童子・傳ジローの3人は、それぞれワノ国でバラバラに活動していたことになる。
過去に置いていかれた日和様の傍には、同じく残された家臣が一人いたはずなのにどうして彼女が遊郭に入る羽目になったのだろう、と思っていたのだが、どうやらそれは日和様を守っていた家臣こと河松が追手に捕まって牢に入れられていたからだったようだ。
さて、ここでもう一つ注目すべきなのが、「日和様と共に過去に残された河松が、花のヒョウ五郎親分と同じ刑務所に入れられている」という事実である。
ヒョウ五郎親分は光月家への忠義が篤い任侠であった。
当然、日和様を連れた河松が助けを求めれば、何をおいても匿おうとしただろう。
日和様と最後まで一緒にいた河松と、花の都の大親分であったヒョウ五郎が同じ刑務所にいて、新たな大親分となった狂死郎が、小紫(=日和様)と一芝居打っている。
これを偶然と片付ける方が難しい。
要するにだ。
日和様と河松を匿うヒョウ五郎であったが、とうとうそれが黒炭オロチに発覚してしまう。
しかし、日和様の存在まではバレていないことに気が付いた河松とヒョウ五郎は、当時まだ組の若衆だった狂死郎に日和様の身を託したのだと考えられる。
杯を貰った親分から託された少女。
彼女を何としてでも守り抜く為に、狂死郎は一計を案じる。
それこそが遊郭である。
オロチ様に取り入り、一端のヤクザとなった狂死郎は遊郭を経営し、日和様を禿という身分につかせた。
彼女の美貌を逆手に取り、「大金を積んでも買えない遊女」に仕立て上げることで、「誰も手を出した事の無い花魁」を作り出したのではないだろうか。
狂死郎は待ち続けた。
黒炭オロチに媚びたヤクザとして。また、光月家復活の噂を笑い飛ばす男として。
そして今、河松とヒョウ五郎親分が伝えた言葉通り、20年後の光月家復活が実現したのである。
屈辱に耐え、任侠の風上にも置けないヤクザの悪名を背負いながらも待ち続けた好機に際して、彼は小紫こと日和様の死を偽装し、光月家と合流させようとしているのだろう。
狂死郎の行動はまさに、20年もの月日を経た仁義の物語だったのだ。
ヒョウ五郎親分と狂死郎の涙の再会の時が今から楽しみで仕方がない。