※以下、ネタバレ注意
タイトル通りである。
お姉ちゃんが大好きで純朴な少女と見えるフウゲツ王子は、実はその姉以外には興味の無い異常者ではないだろうか。
根拠は大きく分けて一つ。
守護霊獣が醜悪だからだ。
これまでの傾向を見る限り、醜悪な性質の王子には醜悪な姿の守護霊獣が憑く。
代表的なのがもちろん、下衆の3兄弟こと、ベンジャミン王子・カミーラ王子・ツェリードニヒ王子の守護霊獣だ。
ご覧の通り、三体ともとんでもなく気色の悪い姿かたちをしている。
一方、全王子の中で最も高潔にして、誰よりも王に相応しいチョウライ王子の守護霊獣は……。
もはや神々しさすら感じられる。
チョウライ王子の王としての器が映し出された美しいデザインである。
「既に根っからの悪人ではないと描かれているルズールス王子の守護霊獣も醜い」、「高潔な男であるはずのハルケンブルグ王子の守護霊獣の形状は化け物ではないか」、という反論が予想されるが、これらの守護霊獣と上記の三クズの守護霊獣とは明らかに違う。
まず、ルズールスの守護霊獣は百足という実在の生物がモチーフにされており、彼の守護霊獣の醜さはあくまでも「百足という生物が世間的に醜いと見られている」ことによるものでしかないし、ハルケンブルグの霊獣にしても、生理的な嫌悪感を催すような軟体動物や深海魚的な外見ではなく、哺乳類ないし鳥類を模した念獣だ。
一方で、フウゲツ王子のワーム型守護霊獣は、明らかに3クズのものに近い。
3クズ程ではないにしろ、大変気持ちの悪い見た目だ。
彼女が下衆王子達に近い感性の持ち主なのは明らかであろう。
つまり、王子達+αのうち人間性が下衆なのは、
・国王ホイコーロ
・第一王子ベンジャミン
・第二王子カミーラ
・第四王子ツェリードニヒ
・第八王子サレサレ
・第十一王子フウゲツ
以上の6名ということになるだろう。
腹黒い一面を見せたモモゼ王子が入っていないことを意外に思う方もいるかもしれないが、彼女は自身を「王の器に足る」と自負し、母や弟を憐れんでいただけで、実際に他人を害そうとしたわけではない。
また、ホイコーロ王の守護霊獣の説明からすると、その能力の強さも持ち主の器が反映されるようだから、「念獣の問いに対して、『暇だ』と答えさせなければ操れない」という
更に、守護霊獣の能力が王子の性向に関係していることも既に明らかである。
つまり、モモゼ王子とは、「自分は王の器だと自惚れながら、実際にはそれだけの才覚は持ち合わせておらず、母に愛されぬ寂しさから、誰かに構って欲しいと願う哀れな少女」であったわけだ。
ドーモ君のような一際可愛らしい外見の守護霊獣が憑いたのも、納得というものだろう。
……なんか書いてて今更悲しくなってきた。
あと何人、罪の無い王子が死ぬんだろうか。