沙夜がうぐいすパンの店主を助けなかった件について
他の方の感想を読んでいると、「パン屋の旦那さんは助けなかったのに作業員は助けるのかよ。基準が分からん」というツッコミが結構ありますね。
自分はそれほど疑問に思わなかったので、これだけツッコミを入れている人がいるのに少し驚きました。
あれは単に「もう少し様子を見よう」と窺っていたら殺されてしまった、というだけの話だと思います。
4話の古きものは異形の生物で、作業員を攻撃しようとしていたのが明らかだったのに対して、3話の電車型は、最初あれが何なのか、何が起ころうとしているのか理解不能なものでしたから。
自分も、電車がトンネルから現れてパン屋さんがそれに乗った時は、ぽかーんとしていましたから。
「え? なにこの電車。これから古きものの棲む異世界に行く為とか? 千と千尋の神隠しみたいな。思ったよりファンタジーな世界観だな」くらいに考えていました。
「電車」という時点で、「これからどこかに行く」と考えるのは自然な発想ではないかと。
自分もそうですし、沙夜もまさかその場ですぐ殺すとは思わなかったのでしょう。
「じゃあ、何で電車型になってたんだよ。最初から怪物の姿でとっとと食えばいいだろ!」という話になりますからね。実際そうなったわけですが。
つまり、沙夜はパン屋さんがすぐに殺されるとは考えず、これから何が起こるのか様子を窺っていたが、想像より早く古きものが食事に移った、ということなのではないでしょうか。
パン屋は昨日の晩(たしか)から帰ってきていないわけですから、「ほぼ丸一日古きものの暗示の中にあり、その間にいつでも食べられたはずなのに食べなかったということは、他に狙いがある」と考えても不思議ではありません。
あるいは、そもそもあの電車が古きものかそうでないのか判断に迷っていたのかもしれませんね。
そう。
1,古きものはなぜもっと早くパン屋のご主人を食べなかったのか。
2,なぜ古きものは電車型をしていたのか(これは地蔵など他の奴らにも言えますが)。
これらは未だに不明なんですよね。
古きものは、そういった不条理で、非合理的な存在というだけの話なのかもしれません。
沙夜は合理的に考えたせいで古きもののこういった不条理さを読めず、パン屋の主人を助けるタイミングを逸してしまった、ということなのだと思います。