思いのほか有能だったシマノ。
しかし、その人物評を果たして鵜呑みにして良いものか……?
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※以下、ネタバレ注意
【第三王子チョウライ】
チョウライさんやっぱ良い人で良かった。
できればこの人に生き延びてもらって王になってほしいなあ。
シマノによるとツベッパ王子も悪い人ではないそうだが、ツェリードニヒを「醜悪ではない」と見込んで手を結ぶとか、致命的に人を見る目がない時点で……。
あと、チョウライさんはそもそも何で敵対する王妃の警護兵だけこの大事な会談に立ち会わせてるんだろう……?
さすがに何か目論見があるんだとは思うけれど。
逆にこの2人は調略済みで、忠実な二重スパイに変えているとか?
【第五王子ツベッパ】
ツベッパ王子の私設兵も念能力者ゼロか。
こうなると、ツェリードニヒのところには偶然2人も能力者がいたのは補正がかかっていてちょっとズルく感じる。
そして、その側近は国軍の少尉と。
私設兵に軍籍を持たせているのはベンジャミンだけのはずなので、マオール少尉は私設兵ではなく、ツベッパ王子の実母である第二王妃ドゥアズル選抜の警護兵かな。
さて。
シマノの読みは一見もっともらしく聞こえるが、過信するのは危険である。
なんとなれば、現時点で既にツベッパ王子の目的を読み違えているのだから。
彼女はツベッパ王子が継承戦に加わった目的を、「上位王子に国政を握らせることを阻止する為」と好意的に解釈しているが、実際には、ツベッパ王子は自分が次の王になろうとしていることは358話にて既に明かされている。
ツベッパが次の王の座を狙っているとなれば、「現在の国王制の在り方に厳しい意見を持っている」というのも、外向きのポーズ、改革派や諸外国からの支持を得るための偽りに過ぎない可能性が高い。
同じく国王制に対して厳しい意見を持っており、本来なら同志となれるはずのハルケンブルグ王子と折り合いが悪いという情報も、この見方を補強する。
彼女の権力欲に塗れた本性を、実弟には見抜かれているのかもしれない。
シマノがツベッパ王子の本性を読み違えているとなると、彼女がわざわざ「下位王子達への恩赦を勝ち取」る殊勝な人物かどうかも極めて怪しい。
自身の主義に沿わない人間への粛清に拘泥する姿を見ても、幼子への慈愛など持ち合わせているかどうか甚だ疑問である。
……というか、もしかしてシマノさんってツベッパ王子の内通者なのでは?
「ゴゴゴゴゴ」の場面ではチョウライ王子の息がかかっているとミスリードし、実は有能な味方と思わせておきながら、チョウライさんを隠れ蓑にツベッパ王子との協力に誘導しているキャラという可能性はあるなあ。
こんだけものの見事にツベッパ王子の人物像を間違って捉えているというのも、妙と言えば妙なんだよね。
ベンジャミンとチョウライさんの正しい情報を織り交ぜたうえで、ツベッパ王子の偽の人物像を流すことで、ワブル王子の味方になりうるとクラピカに思い込ませようとしたとか?
「導く薬指の鎖(ダウジング・チェーン)」での尋問の際にクラピカが侍女達に聞いたのは、「ワブル王子の味方か?」ではなく、あくまでも「継承戦について知っていたか?」だけだから、継承戦のことまでは知らされていなかったシマノが、独自に状況判断してツベッパ王子の利益になるように活動しているということは考えられる。
【第一王子ベンジャミン】
先週の時点では「素直に降伏して命乞いをすれば助けてくれるのでは?」という印象だったベンジャミンさんだが、やはり第一印象通りの狭量なオジサンだった。
まあ、下位王子が国王の監視の目で半強制的に参加させられていると理解しておいてなお、「他の王子に殺されたならば幸運に思え!! 俺様は、ただでは殺さぬ……!!」とか考えちゃう人だからね。
多少は話が解るからといって期待し過ぎたこっちが悪かった。