ソロモンに次ぐ最強の人間となって蘇生してくるかも。
……いや、レックスと互角以上なんだから、もう既に現世で最強の人間か。
【仮死状態】
『空飛ぶ情03』にて東郷善の「遺体」が描かれたわけだが、本当に彼が死亡しているとは到底考え難い。
だが、サタナキア六王陛下によると、善は全く夢を見ておらず、もう既に死んでいるはずだという。
となると、真相は一つしかあるまい。
即ち、東郷善は仮死状態となっており、故に夢を見ることもないのだろう。
【天国への旅路】
では、東郷善は一体なにを目的に仮死状態となっているのか。
通常、人間は死ぬと天界へとその「たましい」と「こころ」が送られる。
例外は地獄の扉を開いた者や、骸者に躰化した者たちだけだ。
そして、東郷善はそのどちらでもない。
つまり、彼の「たましい」と「こころ」は現在、天界へ行っている可能性が高い。
仮死状態のまま天界に赴き、そこで何かを得て蘇生するつもりではないだろうか。
稀男やルーサーが地獄で体験したように、死後の胎界に赴いても、いのちの緒さえ繋がっていれば帰還は可能なのだ。
【強大な力】
東郷主水と雁城下士によると、三竦み崩れた現在では管理者リョースには「あの御方」の力が必須とのこと。
「あの御方」とは当然、東郷善のことだろう。
しかしながら、いくらレックスに比肩する強者とはいえ、あの気位の高い管理者が文化汚染の罪を免じてまでも人間如きを必要とするだろうか。
レックスの熱光線にしても、メフィストフェレス君主陛下の鏡壁で防がれた。
王族魔王クラスが複数投入されれば、おそらくレックスも東郷善も勝ち目はないだろう。
彼我の戦力差を引っ繰り返す程のカードにはなり得ない。
東郷善は天界にて、悪魔に対抗できる程の何らかの力を得ようとしているのではないか。
そして、それが現実的に期待できると認めているからこそ、管理者リョースは裏東郷相手に制裁をくだせないと考えられる。
【天肢】
裏東郷と管理者リョースの目論見のヒントとなりそうなのが、天肢の存在だ。
リョースは(何故か分からないけど)天肢を掌握しており、自身の軍団として使役している。
そして、東郷主水もまた、管理者に依頼し、ホムンクルスと高位天肢を合一させた存在を製造させている。
天界から更に多く、より高位階層の天肢をロックヘイムに召喚して、強大な天肢軍団でも作るつもりなのだろうか。
【レックスとの対比】
リーブ曰く、レックスは「地獄そのもの」だという。
その言葉通り彼は地獄を自身の庭のように使い、第七階層に住まうヌン=アダムの四大神獣すら使役してみせた。
もし、東郷善が「天界そのもの」となれば、ある意味レックスとは対極の存在と言えるかもしれない。
生み出した命を奪い続けるレックスに対して、何万もの命を増やし続けた善ならば、「いのち」の司神、アトン=イヴの力にも相応しいのもたしかだ。
【悪魔=元天肢?】
また、ベールゼブブ陛下の「我らが古き肉」という台詞から、悪魔は元々は天肢であり、四大魔王はアトン=イヴの四大神獣だったと考察されている訳だが、東郷善が天界の力を得たならば、レックスが地獄の神獣を使役しているように、天界の神獣であった悪魔たちに対して何らかの影響を及ぼせるとしても不思議ではない。
管理者リョースが悪魔への対抗策として東郷善を欲していることを考えれば、その可能性は十分にあると言える。
例えば、四大魔王によって感染させられた悪魔達の「自我」が、天界の力を得た善になら「矯正」できるとすれば……悪魔達にとってこれほどの脅威はないだろう。
案外、アストロト君主陛下が主から自我が「解放」されてしまったのも、天界の力に触れたからなのかもしれない。