要するに、ヤルル様がハラルド王に天竜人を引き合わせたんだと思う。
【好みのタイプ】
ヤルル様の年齢は408歳であり、世界最高齢とされている。
ウソップの言う通り、彼以上に年齢を重ねた女性は公的には世界に存在しないことになる。
これだけならただのギャグで流すところだが、『歳上の女』がサブタイトルになっていることを考えれば、ヤルル様の好みのタイプには大きな意味があると見るべきだろう。
公的には存在しないはずの400歳よりも年上の女性。
イム様以外には考えられまい。
【ヤルル様とイム様】
即ち、ヤルル様はイム様と面識があり、彼女に惚れ込んでいるのである。
彼は元々は巨兵海賊団の頭目として海に出ていた。
その航海の中で、聖地マリージョアへと赴き、イム様と謁見したのだろう。
世界政府は数百年前から巨大化研究を推進している。
今回の神の騎士団の任務もまた、エルバフの戦士達を世界政府の指揮下に置く為のものだから、政府が巨人に執着していることに間違いはない。
世界政府との断交状態にあるウォーランド王国と接触するために、イム様が自らヤルル様を招待したのかもしれない。
【ハラルド王】
世界政府とエルバフが交流を持つようになったのは約100年前、巨兵海賊団残党の処刑をシスター・カルメルが中止させたことがきっかけだが、それよりもっと昔からヤルル様が世界政府と通じていたとなると、この茶番劇自体、政府のみならずエルバフ側も承知の上で企てられたのかもしれない。
つまり、イム様の頼みを受けたヤルル様がウォーランド王室を説得して世界政府との仲を取り持っており、水面下では既に両国政府の間で国交を結ぶ話はついていたわけだ。
しかし、それだけでは民の納得が得られない。
何しろ、当時、巨兵海賊団は海を荒らしたお尋ね者として手配されており、プライドの高いエルバフの戦士達に略奪よりも交易の方針を納得させるのは容易ではなかったのだろう。
そこで、シスター・カルメルを雇い、あのような茶番が実行されたのである。
【ヤルル様は内通者?】
世界政府とヤルル様との繋がりが匂わされたことで、シャムロック聖や軍子聖をエルバフに呼び寄せたのが彼なのではないか、と推測している人を見かけたが、これは考え難いと思う。
もし、ヤルル様が手引きしたのなら、シャムロック聖たちはロキの居場所を捜す必要はないはずだからだ。
ヤルル様に教えてもらえばいいだけだし、王城ではなく冥界に呼び出した方が合理的だ。
今回の作戦は、ヤルル様にも知らされずに実行されていると考えられる。
思うに、ヤルル様はイム様の為に世界政府とウォーランド王国を仲介はしたものの、それ以外の点では特に政府に協力的ではないのだろう。
彼を頼れないからこそ、ハラルド王という協力者を失った神の騎士団は、別の手段でエルバフを制御下に置こうと画策しているわけだ。