故意か無意識にかは判らないけどね。
私はこれまで空白の100年で海面上昇させたのは、当然のことながら世界政府の前身たる連合国が所有するウラヌス(仮)だと考えていた。
しかし、第1138話『神典』に書かれた歴史(あるいは予言)の中に、ウラヌス(仮)らしきモノの記述は無い。
その代わり、第二世界の最後に書かれているのは、『海の神は荒ぶった』という記述だ。
『海の神』。
即ち、古代兵器ポセイドンである。
第二世界において海面が200mも上昇した原因となったのは、連合国が所有するウラヌス(仮)ではなく、ポセイドンの方だったわけだ。
ポセイドンは人魚姫そのもの。
つまり、第二世界の滅びは人魚姫によって齎されたと考えられる。
現在、世界政府は自由にウラヌス(仮)を使うことができないでいる。
私はそれを「現在ウラヌスに搭載されている燃料に限りがあるから」と考えている。
マザー・フレイムはウラヌス(仮)の動力足り得るエネルギーではないのだろう。
イム様が実験場に「近い」という理由でルルシア王国を選んだのも、ウラヌス(仮)の燃料を節約する必要があったからと見るべきだ。
これは空白の100年で連発し過ぎて燃料を使い切ったからだと私は考えていたのだが、そもそも世界政府(イム様/連合国)はウラヌス(仮)を入手してからまだ一度も自由には使えていないのかもしれない。
正直に言うと、薄々矛盾を感じてはいて見ないフリをしていたのだが、ウラヌス(仮)を撃った場合、その痕には大穴が開きっぱなしになる。
1発撃つごとに1m海面が上昇するから、もしも海面を200m上昇させたのがウラヌスなら、世界には200個もの大穴が開いてるはずだ。
だが、ルルシア王国の跡地(跡海)を見た際の海兵の反応からしても、世界が穴だらけになっている様子は無い。
800年前に海面を上昇させたのがポセイドンだったからである。
ウラヌス(仮)が連発されたことは、歴史上まだ無いのだろう。
世界政府は確かにウラヌスを自在に使うことで更なる海面上昇を引き起こそうとしている。
だが、空白の100年で世界の沈没を実行したのは連合国ではなく、人魚姫だったのだ。
当時のポセイドンである人魚姫が、意図して世界を沈めたのかはわからない。
地上の人間に絶望し、ジョイボーイ達から離反したのかもしれないし、あるいは何かしらショックな出来事があって、彼女の力が暴走したのかもしれない。
ジョイボーイが人魚姫に謝罪文のポーネグリフを贈っているように、いずれにせよ、2人の間に何かしらの悲劇が起き、それが永遠の別れとなったのは間違いなさそうだ。