藤乃家当主が内通者だと疑ってる読者がいることを知ってビックリしたので。
※以下、ネタバレ注意
【儡脊】
陰陽寮が把握できていなかったレベル4の幻妖集団。
彼らの中に、陰陽師の内通者がいることは間違いないと思う。
レベル4の幻妖たちは、陰陽寮に存在を把握されないほど静かに人間社会の中に潜んできた。
だからこそ、レベル4同士の会合ですら人間の姿を保ったままでいる。
彼らにとってはそれだけ「人間に馴染むこと」が日常化しているわけだ。
しかしながら、その中において儡脊なる人物は、異様な姿を隠そうともしていなかった。
彼だけはレベル4の幻妖たちとは全く異なる感覚を持っており、その上で、レベル4集団の行動を主導していることになる。
明らかに異質な存在だ。
【内通者】
この異質な儡脊なる存在のことを、私は陰陽寮の内通者だと考えている。
もっと正確に言うと、陰陽寮の内通者が操る人形ではないだろうか。
「儡脊」というあからさまに操り人形を表す名前がそれを示唆している。
レベル4は『鏖』の復活を早める道具の存在から始まって、その隠し場所と警備、更にはそれらを守るカラス天狗の結界を守る術すら把握していた。
これらは内情を知る陰陽師の協力無しには成し遂げられないだろう。
私の見立てでは、陰陽師の何者かが「儡脊」なる人形を使ってレベル4を言葉巧みに操作し、利用しているのではないだろうか。
【藤野家当主は内通者ではない】
そして、その内通者の正体こそが藤乃家当主、あるいは藤乃家当主はレベル4に操られているのだと主張する読者が存在することに最近気付いた。
しかしながら、これは極めて考え難い話だろう。
まず、藤乃家当主は代葉の目を通して鵺の代行者たる学郎たちの動きを把握しているはずだが、レベル4は明らかに学郎チームの介入に備えられていなかった。
また、藤乃家が管理している狂骨をむざむざと向かわせて、レベル4集団の目的や、鵺の契約者である学郎の殺害の妨害を許しているのも、藤乃家当主が内通者であれば考えられないことだ。
藤乃家当主が内通者である可能性は、限りなく低いと言っていい。
彼はたしかに非人道的な人物ではあるが、その根底にあるのは「鏖の脅威から人類を守る」という確かな信念なのだろう。
【内通者の正体】
儡脊を通した内通者は、レベル4集団の知らぬ情報を把握している一方で、陰陽寮の情報収集のために、事務員という機密に触れるのが難しい立場にレベル4を潜入させている。
これらから察するに内通者とは、
・陰陽寮の持つ機密情報にかつては近づけた
・現在は陰陽寮の情報を気軽に知ることはできない
立場にいることが伺い知れる。
例えば陰陽師の「元隊長」ながら、幹部には昇進せず、陰陽寮組織の運営からは離れた人物辺りに紛れていそうだ。