五老星の台詞からすると、そういうことになるよね。
※以下ネタバレ注意
【食い合わせが悪い】
ルフィと巨人族が並び立つのを見た時に出たサターン聖のこの台詞。
一見すると、単純に不都合な相手が揃った状況を指しているようにも思えるが、それにしては何とも違和感のある言い回しだ。
そもそも、巨人族は世界政府が積極的に海軍の高官へと登用している。
つまり、政府は巨人族そのものに対しては特別敵視はしていないと考えていいだろう。
となると、「食い合わせが悪い事だ」という台詞は、ニカと巨人族が並び立っている状況の不自然さに対して向けられたものではないだろうか。
【そいつが誰だか】
しかしながら、「太陽の神ニカ」はエルバフに伝わる神として信仰されており、むしろニカとは相性が良い組み合わせのはずだ。
ならば五老星が指しているのは「ニカ」そのものではなく、「モデル:ニカの能力を覚醒させた能力者」のことと考えるべきであろう。
つまりは、ジョイボーイである。
「そいつが誰だかわかっているのか!?」
ルフィを好意的に見ている相手に対する言葉ではない。
明らかに、五老星視点ではルフィは巨人族にとっても好ましくないはずの存在だからこそ、紡ぎ出される言い回しだ。
800年前に『ヒトヒトの実(幻獣種)モデル:ニカ』を覚醒させたジョイボーイは世界政府(の前身たる連合国)だけではなく、巨人族にとっても脅威だったのだ。
【神の国】
もっとも、巨人族とジョイボーイが対立していたというのは必ずしも正確ではないとも思う。
実際には巨人族の側が一方的にジョイボーイを敵視していたのかもしれない。
私はジョイボーイの国、つまりは空白の100年において20ヶ国の連合国との戦争に敗れ、滅んだ国はルナーリア族の「神の国」だと予想している。
そして、神の国が20ヶ国もの国々と戦争することになったのは、当時の覇権国家であったルナーリア族の国が、他国を搾取し続けていたからだ、とも。
巨人族の国エルバフもまた、神の国から抑圧されていたものの、連合国とは共闘せず、独自に対立していたとすればどうであろうか。
【ニカの歴史】
まとめるとこういうことになる。
まず、太古の昔、ニカという人物がいた。
彼は当時世界に君臨していた圧政者から人々を解放して伝説を残し、その偉業は死後も言い伝えられ、長い年月の中で巨人族やバッカニア族から「神」として崇められることとなった。
その「神」に対する人々の思念から、『ヒトヒトの実(幻獣種)モデル:ニカ』が誕生する。
それから、どれだけの時間が流れただろう。
世界はルナーリア族による「神の国」が支配し、巨人族を含めた他人種に圧政を敷いていた。
しかし、900年前、20ヶ国の王達が同盟を組み、「神の国」に反旗を翻す。
それから100年後。
「神の国」にジョイボーイが誕生する。
ジョイボーイは『ヒトヒトの実(幻獣種)モデル:ニカ』を食べ、ニカの姿に覚醒するまでに至った。
ジョイボーイはとある思想を掲げ、彼はリュウグウ王国や光月家、ミンク族、象主、果ては敵対しているはずのアラバスタ王国のリリィ王女すら味方につけてしまう。
しかしながら、100年続いた戦争の果てに、連合国はジョイボーイ達の思想を危険視し、「神の国」ごと滅亡させる。
残されたジョイボーイの同志達は、“D”を隠し名として抱えたまま、ポーネグリフと共に各地へと散らばっていった。
とまあ、真相はこんなところだろう。
【ニカとジョイボーイは別物】
エルバフは海軍に自国民を輩出してはいるものの、世界政府に加盟したわけではなく、政府の干渉を排して独立を保っている。
もし、ジョイボーイの一味がエルバフと共闘していたのなら、国はもっと空白の100年に関する情報を残していてよさそうなものだが、これまで登場した巨人族からはそういった情報は得られなかった。
Dの一族であったサウロ元中将の生家、ハグワール家が例外的にジョイボーイの同志となっていたようだが、それだけだ。
エルバフにとっては、カヤの外だった空白の100年にまつわる歴史など大して残す意味も無い出来事だったと考えられる。
巨人族にとって重要なのはニカであり、ジョイボーイではないのだ。