ネオ天草のジャンプ感想日記

ジャンプ感想を主に書いています。

「ゾロとロブ・ルッチは『互角』」という読み方が浅薄である理由

 2人の置かれた状況を考える必要があるよね。

 

※以下、ネタバレ注意

 第1107話にて、ゾロがロブ・ルッチに手こずっている場面が描かれていたことで、憤ったり、失望している読者を見かけた。

 ロブ・ルッチはCP0の中でも、特級エージェントに及ばぬ半マスクの新人に過ぎないわけで、四皇最高幹部であるキングに勝利したゾロがいつまでも彼を倒せないことに納得できない読者がいることは理解できる。

 しかしながら、敢えて言う。
 そういった読者は、これまでのゾロの活躍をきちんと読めていないだけに過ぎない、と。

 たしかにゾロは四皇最高幹部であるキングを倒している。
 しかし、その過程の中でゾロは、使用者の覇気を吸い続ける閻魔を全力で使い、その結果としてキングとの戦闘後は行動不能にまで陥った。

 鬼ヶ島での決戦は負ければ全てを失う決死の戦いであり、また、カイドウやビッグマムと戦ってくれる頼もしい同盟者達もいた。

 対して、エッグヘッドにおける勝利条件はあくまでも「脱出」であり、しかも、周囲を海軍の大戦力に囲まれている上、ルフィでも勝てるか解らない大将黄猿を突破しなければならない。

 このような状況でゾロが閻魔を全力で使用してしまったらどうなるだろう。
 例えそれでロブ・ルッチを倒せても、脱力し、行動不能となったゾロが後に残されてしまう。
 それでは結局、味方の脱出の足を引っ張ることになるし、大将と戦っている仲間を助けることもできない。
 何の意味も無いのだ。

 一方、ロブ・ルッチの側は本人も言っているように、ゾロを足止めすれば良い。
 大将が率いる海軍が包囲している以上、時間を稼げば政府側の勝ちだからだ(ルッチはパシフィスタの離反や巨兵海賊団の介入は知らない)。
 遠慮なく後先考えずに全力をもってゾロと戦うことができる。

 つまり、現在の両者の戦いとは、ゾロは全力を出すことができないのに対して、ロブ・ルッチは全力を出せている状況なのである。
 「『70%程度のゾロ』と『100%のロブ・ルッチ』が互角」なのが実状なわけだ。

 もっとも、これはゾロにとってもあまり褒められた力関係ではない。
 【後先考えず全力で戦えば四皇最高幹部も倒せるが、制御すればロブ・ルッチすら倒せない】ことを意味するからだ。

 ルフィもまたギア5の反動は大きいが、それはゾロも同じなのである。
 安定的に全力を出すことが出来ないという点で、2人はまだまだ発展途上ということなのだろう。