ネオ天草のジャンプ感想日記

ジャンプ感想を主に書いています。

シャンクスが赤ん坊の頃ロジャー海賊団に拾われた設定はREDを機に作られた件について

 FILM REDの副音声が完全に闇に葬られたようなので書いておく。

 

※以下、ネタバレ注意

【副音声】

 何だかんだで当然FILM REDの円盤特典となるであろうと思っていた尾田先生と谷口監督の副音声を聞く方法が無くなってしまったようなので、記録の意味を込めてこの記事を書いておく。

 無論、ここで引用する尾田先生の言葉はあくまで当時聴いた記憶とツイッターでの呟きを基にしているため、正確ではないことはご承知いただきたい。

 

【シャンクスの過去】

 さて、尾田先生が副音声で語ったシャンクスの設定に関する大意はこうだ。

 

・REDの話が来て、ウタの過去を作る中で、弱冠20歳だったシャンクスが自ら赤ん坊を育てると決意したことに説得力を持たせる必要があった。

・シャンクスの設定はワンピースのキャラの中ではガチガチに固められている方。

・しかし、外部のメディアと交流する中で、キャラクターの過去を「発見」することがある。

・シャンクスが赤ん坊の頃にロジャー海賊団に拾われた設定は、そうして「発見」された。

 

 これを私は、「FILM REDの企画に参加する中で、シャンクスは赤ん坊の頃にロジャー海賊団に拾われたことになったのだ」と解釈し、Twitterでもそう呟いた。

 

【異常者との対立】

 ところが、何気なく書いた上記の呟きに対して、話の通じないツイッター民がやたらと粘着してきた。
 当初は対話を試みたものの、まともに会話の成立する相手ではなかったので詳細は割愛するが、彼らの主張は以下の2点であったようだ。

 

・シャンクスがロジャー海賊団に赤ん坊の頃に拾われた設定は、REDの前からあったはず。

・その根拠は、ワンピース大好き神木さんが動画で説明してくれている。

 

 基本的に私はワンピース考察動画は見ないようにしているのだが、あまりにしつこく言ってくる、というか、根拠としてそれしか挙げてこないのと、このやり取りが神木さん自身の目に留まってしまい、わざわざ補足してくださったこともあり、当該の考察動画を見てみた。

 

【解釈の違い】

 その動画がどれだったかについては、Twitterが現在死んでいるため探し出せなかったのだが、要するに神木さんは、シャンクスが赤ん坊の頃にロジャー海賊団に拾われた過去を尾田先生が「発見した」と言っていたことを根拠に、REDの企画の前からその設定はあったと解釈されたようだった。

 だが、この解釈には少々無理があるだろう。

 

【ウタを育てる「説得力】

 そもそも、この副音声における尾田先生の話の発端は、「若干20歳のシャンクスが赤ん坊を育てることに説得力が要る」ということから始まっている。
 だが、本当にFILM REDの企画前からシャンクスがロジャー海賊団に拾われた設定があったのだとすると、そのような迂遠な言及の仕方になるはずがない。

 もし、シャンクスのその設定があった上で、ウタが赤ん坊の頃に赤髪海賊団に拾われた設定を尾田先生が考えたのであれば「シャンクスと同じような過去にした」と言うだろうし、もし別の人間が考えたのだとすると、「奇跡的にシャンクスの設定と同じだったからOKした」と説明するだろう。

 だが、実際にはそうではない。
 「年若いシャンクスが赤ん坊を育てることを決めたことについての説得力が必要だった」と尾田先生は語っていたのである。

 また、シャンクスが赤ん坊の頃に拾われた設定が最初からあったのなら、「シャンクスの設定はワンピースキャラの中でもかなりガチガチに固まっている方」などと強調したことが意味不明になる。
 普通に「元々あった設定を、REDに援用した」と言いたいのであれば、シャンクスの設定が他のキャラよりも固まっていることをわざわざ強調する必要はない

 

【「発見」とは】

 つまり、尾田先生が副音声で言っていたのは、

 

シャンクスが赤ん坊の頃にロジャー海賊団に拾われた設定は、本来は無かった(おそらく、バギーや黒ひげのように少年時代に船に乗った設定だった)。

・FILM REDの物語を作る中で、赤ん坊のウタを若干20歳に過ぎないシャンクスが育てる決心をしたことに説得力を持たせる必要が生まれた。

・そこで、シャンクス自身も、赤ん坊の頃にロジャー海賊団に拾われた設定を新たに加えた

 

 ということだったのである。

 シャンクスはワンピースのキャラの中でも、設定がガチガチに決まっている方。
 だが、そんなキャラであっても、アニメや映画といった原作以外の媒体との関わりの中で、本来は無かった設定が新たに作られることもある。

 その事情を尾田先生は「シャンクスの過去を『発見』した」と、「後付け」のようなメタで興覚めな言い方を避けて、説明したのである。

 神木さんはこの「発見」という言葉を根拠に、シャンクスが赤ん坊の頃に拾われた設定はRED以前からあったと解説されていた(たしか。違ったらごめん)が、本当にそうだとしたら、「発見」などという言い回しすらしないだろう。
 上記の通り、「ウタの過去はシャンクスの設定から引用した」or「奇跡的に誰々が持ってきたウタの設定がシャンクスの過去と合致していた」と語るはずだからだ。

 

【終わりに】

 神木さんは単純に解釈の仕方を間違えているだけで他意は無いとは思うが、私にツイッターで突っかかって来た人達は、いくら言葉を尽くして説明しても、全く納得しなかった。

 どうも、一部のワンピース読者の中には、「映画のような原作以外のメディアのせいで、尾田先生が原作の、しかも主要なキャラの設定を作り変えるなどあってはならない」という思想があるように感じた。

 私としては、いずれにせよ尾田先生自身が考えた設定なのだから、映画の企画を機に(まだ描かれていない)設定が変更されたとしても何の問題も感じないのだが、どうしても受け入れられないらしい。

 そもそも、ウタの影響でシャンクスの設定が変わったと認めるのが嫌なだけの、単なるウタアンチだったのかもしれない。

 私の意図したことではないとはいえ、連中が引用したことで巻き込んでしまった神木さんには本当に申し訳ない気分になった。