シャンクスが天竜人であることは大前提なので、それが認められない読者はおいていく。
ハッキリいってこの話題にはついていけない。
※以下、ネタバレ注意
【シルエット】
第1083話で描かれた「神の騎士団」のシルエットを見て、確かに私もシャンクスのことを思い浮かべたのだが、単に似ている以上の感想を抱かなかった。
しかしながら、読者の中には実際にシャンクスが「神の騎士団」の一員であると捉えた方も多かったようだ。
【神『の』騎士団の意味】
シャンクスが神の騎士団であると私が全く想像しなかった理由の一つは、神の騎士団のことをあくまでも「天竜人に仕える組織」だと決めつけていたことにある。
「神の〇〇」と呼ばれるものは、通常、『神の所有物』あるいは『神の齎す何か』を意味することが多く、「神の騎士団」の構成員が神=天竜人である可能性は極めて低いと考えていたわけだ。
だが、騎士団を率いる団長だけが神=天竜人ならば、「神の騎士団」という名称とも矛盾しない。
シャンクスという<神>が長を務める騎士団、故に「神の騎士団」と呼ばれているのだとすれば確かに筋は通る。
【存在意義】
「神の騎士団」の名が出てきた当然、私は彼らのことを「天竜人を守る為に存在する近衛」だと見ていた。
しかしながら、どうやらそうではなかったようだ。
もし、「神の騎士団」がそういう性質の組織ならば、神々の地が襲撃されている状況で、戦闘を大将に任せて、自分達が全く防衛に出てこないのはおかしい。
つまり、神の騎士団は聖地マリージョアには常駐しておらず、天竜人を守る為の組織ではないことになる。
革命軍が「神の騎士団」を表舞台に引きずり出すことを目的として今回の「兵糧攻め」を実行した以上、現行の天竜人体制の要となる存在なのは間違いなさそうだが、単純な天竜人の護衛軍とは別物なのだろう。
【ミョスガルド聖】
上記を念頭に置いた上で、「神の騎士団」の名が初めて出てきた際の赤犬と黒馬の会話を読み直すと、一気に印象が変わってくる。
当時私は、ミョスガルド聖が「チャルロス聖暗殺未遂犯」を逃がした件について既に神々の地で審議されているのなら、その審議に「神の騎士団」が介入する必要は無いと考えた。
天竜人の揉め事を天竜人の中で話し合っているのならば、その審議に任せておけば良いだけのことだからだ。
故に、「神の騎士団」が介入したのは審議ではなく、海軍の捜査のことだろうと解釈していた。
当初は海軍の捜査対象となっていたミョスガルド聖を、下々民ではなく神々自身の手で調査する為に「神の騎士団」が介入し、捜査を強引に打ち切らせて、神々の地での審議に持ち込んだのだ、と。
だが、「神の騎士団」の長がシャンクスであり、盲目的に天竜人を信奉する組織ではないのだとすれば、話は変わってくる。
つまり、「神の騎士団」はミョスガルド聖を他の天竜人達から守る為に、神々の地での審議に介入したのではなかろうか。
ミョスガルド聖は数少ないまともな天竜人である。
現体制の維持を志向しつつも、天竜人の腐敗そのものは憂慮しているシャンクスら「神の騎士団」が、重い処罰が下されかねないミョスガルド聖を救い出す為に、彼を糾弾する天竜人達と対立したことでややこしい事態になっている、というわけだ。
これならば筋が通る。
シャンクスの真意は未だ不明なままだが、五老星との協力関係を見ても、彼は現行の秩序を守ろうとしていると思われる。
ミョスガルド聖を味方に引き込み、いずれは彼を五老星のように世界政府の統治に関わる天竜人にしようと目論んでいるのかもしれない。