ネオ天草のジャンプ感想日記

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トーリカと師匠、カマセ犬説【チェンソーマン 第57話】

 もうすぐ見納めになるから、ファンの皆さんは師匠の一挙手一投足をよく目に焼き付けておくべきだ。

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 デンジに向けられた刺客達の中でトーリカと師匠のみ国籍が伏せられている。

 その事から、師匠こそが真の「ドイツのサンタクロース」ではないかと予想する向きもあった。

 

 第54話の感想にて私はその説を否定したわけだが、最近の話を読むにつれ、逆のパターンならばあり得るのではないかと考えるようになった。

 つまり、「実は最大の脅威だった」ではなく、「実は大したことの無いカマセ犬だった」というミスリードだ。

 

 それくらい師匠達の行動には不審な点が多い、

 

 第一に挙げられるのはもちろん、デンジに対して呪いの悪魔の能力を使用していることだ。

 デンジのような悪魔合体人間は死んだとしても、特定の条件を満たすことで何度でも復活できる。

 カースに法外な対価を支払ってまでデンジを殺せても、それは一時的なものに過ぎないのだ。

 

 もっとも、そんな事は師匠も承知の上、という可能性は当然考えられる。

 あくまでもデンジの無力化が目的であり、彼が死亡している隙に心臓なり遺体なりを持ち去る為に殺そうとしているのかもしれない。

 

 だが、もう一つ、どんなに好意的に考えても、彼女の暗殺者としての力量に疑問符をつけねばならぬ事がある。

 それは、「デンジに接近したこと」そのものだ。

 

 デンジの存在が電波に乗った事で、各国は彼という貴重な悪魔合体人間を狙うようになった。

 当然のことながら、日本政府はデンジの周辺を固め、他国からの襲撃者がいないか最大限の警戒をしているはず。

 外国人である自分達がデンジに接近すれば、その時点で日本当局に捕捉されてしまう事くらい、まともな情報を得ていれば容易に想像ができるはずだ。

 

 だが、彼らは何の変装もせず、デンジ達に近付いた。

 もし、公安がまともに機能しているのであれば、彼らは既に追跡され、米国三兄弟の次男のようにいずれ殺される事になるだろう。

 

 つまり、トーリカと師匠は国から全く情報を与えられていないか、状況を知りながら迂闊に近づいてしまった素人という可能性が極めて高い。

 

 前者だとすれば、ソ連による真の刺客の為の捨て駒ということになるだろう。

 この場合、デンジが死んでも復活できる事すら知らされていないかもしれない。

 

 後者の場合、実はトーリカと師匠はソ連の刺客ではなく、ソ連の衛星国、あるいは東側陣営に属する小国に属していることが考えられる。

 要するに、師匠は悪魔ハンターとしては達人であっても、対人の暗殺活動は全くの未経験であり、彼らを派遣した国は「この程度の刺客しか用意できなかった」ということだ。

 

 そして、後者であれば、トーリカと師匠だけ国籍が伏せられたままなのも納得がいく。

 彼らをソ連の刺客だと読者に思わせておいたところで、真のソ連からの刺客を投入する。

 いかにもタツキ先生が好みそうな手法ではないか。

 

 考えてみれば、ボムの悪魔と合体したレゼですら失敗しているのである。

 その後任が呪いの悪魔の力でチクチクと命を狙うような人間では、いかにも役者が不足している。

 

 大国の名に恥じぬような、レゼにも勝るソ連の秘密兵器が投入される前フリだと見た方が自然だ。

 

 その場合、デンジの護衛任務に就いている日下部、玉置、吉田、あるいは更に遠くから監視している公安の面々は、トーリカと師匠の存在を捕捉していると考えられる。

 元より、「対人護衛のエキスパート」であるはずの彼らが(いや、エキスパートでなくても)この状況で外国人の接近を全く怪しまないなどあり得ぬ話なのだ。

 

 トーリカと師匠は殺人の素人である為、不用意にデンジに近付いてしまい、公安は彼らの意図と技量を図るべく監視しながら泳がしている。

 彼らがあっさりと公安に始末された直後に、満を持してソ連の刺客が登場する。

 

 これならば公安の格も、ソ連の格も落ちることはない。

 今後の展開としては十二分に考えられると言えるだろう。