ニューダンガンロンパV3 第1章『私と僕の学級裁判』感想はこちら
※以下、ネタバレ注意
事件自体は比較的分かりやすかったかな。
一人で体育館に残ったという情報が出た時点で明らかに東条斬美が怪しかったし、窓から窓を移動させた仕掛けも捜査パートで概ね想像できるものだった。
1章の感想で書いた通り、私は東条斬美と春川魔姫の二人に自由時間を費やしていたのだけれど(もっとも、主人公交代で絆はリセットされたし、2章では春川さんを選択できなかったので、実際には最原君視点になってからは東条さんだけに費やしたが)、プレゼントをしくじったのか東条さんとの絆が4つまでしか溜まらなかった。
体育館組の中で一人だけ獄原君に捕まらなかったと聞き、非常に嫌な予感がして、「どうか、どうかあと1章だけ待ってくれ……!!」と祈ったものだが、願い虚しくこのような結果に。
まあ、それはダンガンロンパというゲームの性質上、仕方のない話だから別に良い。
問題は内容である。
1・2に比べて今作は異常者が多すぎないだろうか?
王馬小吉を筆頭に、夜長アンジー、真宮司是清、入間美兎など、仲間の死を何とも思わず、神経を逆撫でする発言を繰り返すキャラが4人もいる。
例えば1ではこれに該当するキャラは十神くらいであった(腐川やセレスも仲間を想う気持ちが強いとは言い難いが、比較的大人しくしていて暴言はあまり無かった)。
また、2でも2章で九頭龍が改心し、口の悪い西園寺も被害者の死を本気で悲しんでいたため、場を乱すような言動をするのは狛枝だけだった。
異常者が4人というのはあまりにも多い。もう少しまともなキャラを増やせなかったのだろうか。
ただでさえモノクマーズのせいでモノクマの茶番が冗長になっているのに、異常者4人がいちいち余計な口を挟むせいで感傷に浸ることもできない。
犯人の東条さんもなあ……。うむ……。
気に入っていたキャラだったんだけど、事件の動機に関しては全く共感できなかった。
例えばこれが「才囚学園の超高校級達を殺さなければ、日本国民全員が危機に陥る」という事態だったのなら解る。
しかし、「私がトップに立たなければいけないから、仲間を殺す」という思考は、単なる傲慢以外の何物でもないだろう。
いかに志が高かろうと、地位に汲々とするようになった時点で、その人は組織にマイナスの影響しか与えない。
普通に考えれば東条さんがいなくなろうとも、空白を埋めるシステムもあれば、代理となる人物もいるはずであり、「何が何でも総理に戻る」という情念は理解し難い。
それにあっさりと感化されて一斉蜂起を起こそうとしたうえ、百田君の言葉でこれまたあっさりと手の平を返した茶柱さん達が浅薄な馬鹿にしか見えなかったし、どうにも上手くない動機だったと思う。
そして、仲間の死に対するキャラの反応が軽い。
夢野秘密子など、裁きの祠から出た第一声が「頭を使い過ぎて疲れた」で、正直目を疑った。
散々世話になった東条さんの墜落死を見た後に言うことがそれか?
異常である。王馬等のように暴言を吐くわけではないとはいえ、良識というものが全くない。
これに感情移入しろというのは無理な話だ。
はっきり言って、V3は魅力的なキャラが少ないんだよなあ。
異常者の割合が大きいうえに、比較的まともなキャラも、上記のように少し足りない人間が多い。
まあ例え足りなかろうが、それでも異常者が多いよりはマシだから、第3章では何とか異常者の数を減らして調整して欲しいところだ。
王馬君と夜長さん辺りを殺し合わせるくらいしないと、どんどん異常者の割合が大きくなってゲームの快適性が下がってしまう。
あと、「おしおき」がつまらなくなっているのも残念。
前作までの(特に1の)おしおきは、残虐さの中にもユーモアがあるのが特徴だったのに、V3の「おしおき」はただただ痛めつけるだけで、何の面白味も感じられない。
アニメ版ダンガンロンパの絶望編(未視聴)でも、七海千秋を単に痛めつけるだけのおしおきで殺して顰蹙を買っていたが、その傾向がV3にも表れている。
アイディアが尽きたのかもしれないが、グロに逃げたせいで劣化しているんだよなあ。
今のところ桑田や大和田、花村のように完全に自己中心的な理由で殺人を犯してる人間がいないのも気になるところで、3章と言えば前作では悪党寄りのキャラが犯人だったこともあるし、今作でもそうなるんじゃないかと期待しておこう。