どうも誤解があるようなので。
第790話 『天と地』 より。
レイリーの言ったこの「別の方法」を、「ギア4を超える新たなルフィの能力」だと解釈している人を偶に見かける(この中でも「ルフィはギア4以上の奥の手をまだ持っている」という考えの人と、「大猿王銃はギア4を超える能力である」という考えの人の二種類に分かれるが)。
たしかに、レイリーはその後に「ギア4は身体への負担が大きすぎる」とも述べているから、一見してそう解釈した読者がいるのも頷ける。
しかし、身体に負担の大きいギア4の代替が、単にギア4よりも強力な能力だとすると、話が全く繋がらなくなってしまう。
ここで注目すべきは、そもそもルフィとレイリーが話していたのは「猿王銃(コングガン)が効かない相手への対策」だという点だ。
要するにレイリーが勧めているのは「ギア4を超える新たな能力」ではなく、「ギア4の範囲内で猿王銃を超える新たな技」であり、それこそが「大猿王銃(キングコングガン)」だと解釈すべきなのである。
猿王銃の効かない相手とそのまま戦っていては、ギア4状態での長期戦を強いられることとなる。
身体への負担が大きすぎるギア4でそれは望ましくない。
だから、短期で決着をつけられる「別の方法」を考えるべきだ。
レイリーがルフィに促したのはそういう意味だろう。
ここで今度は、「では、なぜ最初から大猿王銃を使わなかったのか?」という疑問が生まれる。
負担の大きいギア4をなるべく長時間使用しないために生み出したはずの技なのに、ドフラミンゴ相手には当初「猿王銃(コングガン)」「犀榴弾砲(リノシュナイダー)」「大蛇砲(カルヴァリン)」「獅子(レオ)・バズーカ」等の技を使って倒しきれず、一度はギア4が解除されてしまった。
だが、その理由も大猿王銃を放った後のルフィの姿を見れば一目瞭然だ。
一発で覇気は解除され、そのうえ失神している。
ギア4連発の影響もいくらかあるとしても、威力がある分だけ通常のギア4の技の反動よりも、大猿王銃を使った後の反動の方が大きいのだろう。
もし、大猿王銃一発でドフラミンゴを仕留めきれなければ? 全ては終わりだ。
その危険を考慮したからこそ、最初にルフィは身体への負担を押して長時間のギア4(バウンドマン)使用を選び、そして、あと一撃でドフラミンゴを倒せる確信を得たからこそ、大猿王銃でトドメを刺したわけである。
以上のことから、おそらく今のルフィにはまだギア4以上の能力は無いと考えられる。
ローを交えた戦いでかなりのダメージを受けた後のドフラミンゴのことすら、大猿王銃を使っても一撃では倒せなかったとなると、四皇との戦いの厳しさはその比ではないだろう。
今のままのルフィでは、ローや仲間たちと同時に立ち向かったとしても、カイドウには太刀打ちできまい。
少なくとも、大猿王銃の連続使用は必須となるのではないか。
現在のホールケーキアイランド編を経て、ワノ国編でどれだけルフィがまた強くなっていくのか。今からとても楽しみだ。